ドイツ発の産業革命「インダストリー4.0」とは? 部品が自動で動いて完成品に!?

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ドイツでは第4次産業革命「インダストリー4.0」が国を挙げてのプロジェクトとして進められています。「インダストリー4.0」とはそもそもどのような動きなのでしょうか。「インダストリー4.0」が推進される背景や今後予想される製造業の変革について触れていきます。

「インダストリー4.0」とは?

これまでの産業革命の歴史を振り返ると、1760年代にイギリスで始まった第1次産業革命では、石炭をエネルギーとする蒸気機関の開発によって、機械工業化がもたらされました。第2次産業革命は1860年代にアメリカで起こり、石油エネルギーと電力の活用で大量生産が可能となり、工場の生産体制は分業化していきました。1970年代からの第3次産業革命では、IT技術を用いた生産の自動化や機械の制御が進められています。

そして、第4次産業革命とも言われる「インダストリー4.0」は、ドイツが国家プロジェクトとして推進しているものです。ドイツ政府の「ハイテク戦略2020」の「未来プロジェクト」のひとつとして、2011年に初めて「インダストリー4.0」の提言が発表されました。

「インダストリー4.0」では、IT技術による生産の自動化にAIを活用する「CPS(サイバー・フィジカル・システム)」が構築されたスマート工場の実現を目指しています。CPSは、注文が入ると設計や部品の調達、生産の工程を自動的に計算し、人手不足の解消や生産の効率化を図るものです。

例えば、第3次産業革命によって製造機械には生産情報が組み込まれていますが、さらに部品にも生産情報を組み込むことで、消費者からの注文を完全に自動化して生産できると考えられています。部品が注文内容に合わせて自動的に加工機械や組み立て機械へと移動し、完成品になっていくのです。

さらに、スマート工場や倉庫、販売店などをネットワーク化し、ドイツ全体を1個の工場と見立てて生産を効率化することも目標とされています。

ドイツが「インダストリー4.0」を進める3つの理由

ドイツが「インダストリー4.0」を推進する背景には、大きく分けて3つの理由があります。ひとつ目として挙げられるのは、グローバル化による産業の空洞化への危機感です。これまでドイツは高い技術力を武器に国際競争力を高めてきた結果、製造業は基幹産業となりました。経済産業省の「製造基盤白書(ものづくり白書)2015年版」によると、2013年のドイツのGDPに占める製造業の割合は22.2%(日本は18.8%)で、先進国の中では高い比率となっています。また、就業者数に占める製造業比率も、2012年を例にとると日本が16.9%なのに対してドイツは19.8%あります。

しかし、自動車メーカーなどのドイツの製造業は、労働力の安さから海外への製造拠点の移転が進みました。そのため、新興国に技術力の面で追いつかれたらドイツの製造業は衰退してしまうと危惧されているのです。

2つ目の理由としては、アメリカのIT企業がビッグデータなどを利用した新しい製造業のビジネスモデルを牽引していることが挙げられます。IT企業の下請けとしての製造業であるとするなら、大きな利潤を生むのは難しく、低コストの生産による新興国との価格競争が懸念されることからも、技術力で勝負することがドイツの製造業には必要なのです。

さらに、3つ目としては、消費者のニーズが変化し多様化してきたことが挙げられます。カスタマイズ化した商品を大量生産品と同様のスピードや価格で提供することにより、新たなビジネスチャンスが得られると期待されています。

「インダストリー4.0」は社会に変革をもたらす動きに

インダストリー4.0
「インダストリー4.0」は、これまでの大量生産によって低価格な商品を提供するという製造業のモデルに変革をもたらすものです。今後はオーダーメイドされた商品を手にするのが、あらゆる製造業の分野で当たり前になる時代がやって来るかもしれません。

例えば、これまで一般的な自動車メーカーでは、カスタマイズは決められた仕様の範囲に限られていました。「インダストリー4.0」によって、デザインやカラー、装備などの自由度が高まり、標準車と変わらない納期でカスタマイズ車をスピーディに手に入れることができると考えられます。

また、「インダストリー4.0」は大企業だけに関わる話ではありません。ドイツや日本で産業の中心となっている中小企業も、スマート工場の部品工場などとして関与していくものです。「インダストリー4.0」の実現には、AIやビッグデータなどを活用したプラットフォームが必要になるため、巨額の投資やスキームづくりが必要となります。中小企業を含めた製造業、ひいては産業界全体で、これまでの社会構造を大きく変革する動きが求められてきます。

日本はAIを活用したロボットの面では世界の先端を行く技術を持っているものの、「インダストリー4.0」に対する取り組みでは後れを取っていると言われています。グローバル化が進む中、日本の製造業が生き残っていくためには、スマート工場化への動きが日本でも必要とされるでしょう。

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