住宅ローンの受付業務がAIになる!? メガバンクによる業務自動化の狙い

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銀行にもAI導入の波

銀行、とりわけメガバンクと呼ばれる都市銀行は大学生の就職希望先ランキングで必ず上位となる、エリートが集う超優良企業です。ほかの多くの民間企業とは一線を画し、独特の企業文化を形成し一般の人々からは見えない部分も多く、それゆえに小説やドラマの題材になるような世界でした。
しかし、ここ最近の「ビッグデータ」や「フィンテック」、さらに「AI技術」をはじめとする第4次産業革命の波はガラパゴス化した銀行の内部にまで確実に入ってきています。

背に腹は代えられない、銀行の台所事情

1990年代初頭、日本ではバブル経済が崩壊して「失われた20年」が始まりました。
1996年から2001年に掛けては、金融の安定化のために取られていた「金融機関の護送船団方式」が「金融ビッグバン」の名のもとに廃止され、2008年には「リーマン・ショック」で世界的に経済が冷え込みました。最近の日本では2013年から大規模な金融緩和を推進し、マイナス金利導入まで行ったものの、未だデフレからの脱却はできていません。超優良企業の銀行も利益を追求しなければ倒産してしまうような時代になりました。ますます加速するAIに関する技術の導入は銀行にとって渡りに船だったのかもしれません。

銀行の業務とAIの相性は?

2014年、オックスフォード大学の研究者から「雇用の未来―コンピュータ化によって仕事は失われるのか」という衝撃的な研究結果が発表されました。

日本のニュースでも紹介されましたので、ご存知の方も多いと思います。AIを含めたICT技術の発達で機械に取って代わられる職業を予測したものです。この中で90%以上の確率で機械に転換される職業として「ローン審査員」「銀行窓口係」などの職業がリストアップされています。しかし、これは当然のことなのかもしれません。結局のところ、銀行の業務は情報処理を中心に成り立っています。通帳更新や現金預金といった主要業務の一部はすでにデジタル化されています。融資の審査業務においても、これまでは書類の審査に「職人」的人材が欠かせませんでした。印鑑は適切な場所に押されているかなどの確認作業は細部にわたり、多くの経験が必要とされる職種でした。

しかし、融資の申し込みそのものが電子化され、コンピュータが間違いを指摘するようになっています。これまでのコンピュータを用いた技術ではプログラミングされたパターンのものにしか対応できませんでしたが、過去の膨大なデータからコンピュータが自ら学習し今までパターン化できなかった分野までパターン化を可能にしてしまうAIの技術は銀行業務の多くの職種と相性がとても良いのです。

メガバンクの狙い

銀行に限らず金融業界全体が、現在AI関連技術の導入に躍起になっています。とりわけメガバンクではAI関連技術の導入に積極的です。先のオックスフォード大学の研究者によるレポートにもあったように、「ローン審査員」はAIの技術向上によって人から機械へとシフトしていくようです。ローン審査では書類の不備を見極める作業にしても、ローンを申し込んだ人の属性を審査する業務においてもルーチンワーク的な部分が多いとされています。また、銀行はその取引先に多くの企業を抱えていますし、企業の動向については常に調査をしています。そうした基礎的な企業情報とローン申込者の属性を関連付けた信用度調査についてもAI技術を用いたディープラーニングが有効に働くと期待できます。

ルーチンワーク的作業はどんどん機械に置き換えて、人間はもっと人間らしい創造的な仕事をさせたいというのが銀行側の表向きの方針ですが、実際はその流れに不向きなセクションや人員はどんどん合理化の対象になるということなのかもしれません。

AI時代の住宅ローン審査は、私たちにとってメリットなのか

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AI技術を導入した住宅ローン審査は、私たちローンを申し込む側から見てメリットがあることなのでしょうか。

まず、審査期間は圧倒的に短くなると言われています。従来の住宅ローンの審査は1週間以上の時間を要していました。AIの導入後は最短で翌日には結果がでるようになるとのことです。審査期間の短縮は利用者からすればメリットでしょう。

また、より合理的な審査が期待できます。住宅ローンの審査では「会社役員(社長を含め)」や「自営業」の方々はなかなかローンの審査が通らないという話を耳にすることがあります。やはり支払期間が長期にわたるため、お店や会社の現在の業績からだけでは10年後、20年後の将来を予測して判断することは難しいからなのでしょう。メガバンクが持つ過去の企業の業績からディープラーニングが何らかの傾向をつかむことで、精度の高い予測をしてくれるかもしれません。ローン審査がより合理的に行われるようになるとすると、やはり私たちにとってはメリットであると言えます。

住宅ローンはあくまで申込者自身が住むための住宅への貸付なのですが、ルールを違反して車のローンとかを混ぜてしまう不届きな申込者がいる場合もあります。そうした不正が見逃されることはなくなるでしょう。

護送船団方式を捨て去った頃から、メガバンクをはじめ銀行は厳しい競争にさらされ、生き残りをかけた戦いが続いています。銀行の一番の収益はお金を貸してその利息を得ることです。AI技術の導入は銀行内部で働く人にとっては職を奪われる可能性にもつながりますが、銀行のサービスを利用する立場からすると、歓迎しても良いことなのかもしれません。

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