カンボジア・ミャンマーが解決するアジアの少子高齢化問題

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少子高齢化問題
日本では少子高齢化による人手不足が問題になり、シンガポール、タイでも高齢化社会が進行しています。
ASEAN諸国の中でも、人口ボーナス期を迎えているカンボジアやミャンマーが、今後アジアの労働力になっていくと期待されていることについて解説します。

日本だけではない、高齢化を加速させているASEAN諸国

日本ではますます少子高齢化が加速しています。2018年3月に総務省が公表した人口推計では、75歳以上の人口が1770万人に達し、初めて高齢者全体(65歳以上)の半数以上を占めることとなりました。一方で、日本の総人口では1億2652万人と、前年同月から23万人の減少が見られています。そして今やアジアでは、このような日本を上回るスピードで高齢化が進んでいると言われています。

2018年2月、シンガポールで開催されたワークショップ「アジアにおける高齢化と人口変動」では、そのような現状が報告されており、現在シンガポールの65歳以上の高齢者は約50万人で、2030年には90万人にまで膨らみ、その時点における総人口の約4分の1を占めるようになると予測されています。次いでタイでも2035年に、ベトナムでも2050年には同じような高齢化が訪れるであろうと指摘されました。

人口は国力のバロメーター。労働を支える人口を有するのはどの国か

このように人口が注目されるのは、それが労働力の点でも消費力の点でも、国力に大きく関わり、投資を呼び込みやすいためです。
日本の高度経済成長期に当たる1960〜70年代においても15歳以上65歳未満の「生産年齢人口」が継続して増加を見せ、15歳未満の若年人口プラス65歳以降の老齢人口を足した「従属人口」を支える構造が社会を形成していました。こうした人口分布にある時期のその国は、好景気になりやすいのです。人口による特別手当が得られるという例えから「人口ボーナス期」にあるという言い方もあります。また、bonusからbを取った、重荷という意味のオーナスを用いて、「人口オーナス期」という表現もあります。これは「人口ボーナス期」とは反対に、生産年齢人口が減り続けると同時に従属人口比率が増え続けるというもので、近年の日本がまさにこれに当たるわけです。「人口オーナス期」の国は景気後退や低迷に陥りやすいため、国としての対策が求められることになります。

既に「高齢化社会」となっている、タイやシンガポール

少子高齢化問題
経済分野をはじめ、社会に与える影響が大きい人口動態ですが、ここではASEANの状況をさらに詳しく見てみましょう。

少し前のデータになりますが、社会開発・人間安全保障省次官事務局・情報通信技術センター(タイ国家統計局)が発行した『ASEANの高齢者人口 2016年6月 社会統計全書』によれば、2015年時点でタイの総人口は6796万人、その内65歳以上人口割合の高齢化率は10.47%でした。将来予測としては、2030年に19.45%、2050年には30.07%にまで達するとされています。つまり、65歳以上人口が7%超と定義される「高齢化社会」、同じく14%超の「高齢社会」、21%超の「超高齢社会」というステップを確実に進むであろうと予想されているのです。

そして、同刊行物で、タイ以上にこのステップを加速させているとされるのがシンガポールです。2015年時点におけるシンガポールの総人口は560万人とややコンパクトではありますが、65歳以上人口は11.68%と、ASEAN諸国の中でタイと並んでいち早く「高齢化社会」を迎えています。2030年には現在の日本に近い23.33%となる見込みで、タイよりも先に「超高齢社会」の仲間入りをすると見られているのです。

人口増加のピークを迎え、経済発展が見込めるカンボジア、ミャンマー

少子高齢化問題
アジアにおいて、比較的若いイメージで勢いのある経済成長の牽引役と見られているタイやシンガポールですが、2015年の時点で既に高齢化に突入しているのです。それでは、これから人口増加がピークとなる「人口ボーナス期」を迎え、アジアの労働力の中心を担うのはどの国なのでしょうか。

世界銀行が2015年末に発表した「長く、幸せに生きる:東アジア・太平洋地域の高齢化」という報告書において、同地域で最も「若い国」と示されたのが、カンボジアでした。実際、前出の『ASEANの高齢者人口』でもカンボジアは、2015年の総人口1558万人の内、65歳以上人口は4.12%とかなりの低水準なのです。2030年でも6.87%との予測で、「人口ボーナス期」を迎えるのもこれからであり、プラスの影響を長いこと享受できると言えるでしょう。

一般に、ひとり当たりのGDPが3000ドルを超えると耐久消費財の消費が活発になることから、その水準が内需全体の拡大サインと見なされますが、カンボジアのひとり当たりのGDPは2014年時点で1000ドルを超えたところなので、まさに内需拡大の「夜明け前」とでも言うべき絶好機にあります。

また、2015年の総人口がASEANではタイに次ぐ5390万人のミャンマーにも期待が高まります。同年の65歳以上人口は5.36%、その後2030年、2050年も8.67%、13.32%という予測であり、まだまだ長期にわたって人口ボーナスを享受できそうです。

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