【後編】個人投資家に対する企業の姿勢はどうあるべきか〜東証IRフェスタにて〜『投資家との距離を縮め、共通の価値を創造していく』

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前編では、東証IRフェスタを開催する目的などについて、このイベントの主催者、あるいは参加企業の立場から個人投資家との距離感を軸にお話しいただきました。

後編では、まず「東証IRフェスタ2018」にて女性視点での投資について講演を行った経済株式評論家でJPX女性講座グランドマスターの木村佳子氏(写真右)に、個人投資家に対する企業の姿勢や株式投資の今後の展望などを伺っています。
また、レオパレス21経営企画本部 経営企画・IR担当の宮尾取締役常務執行役員(写真左)の講演内容をご紹介するとともに、東証IRフェスタで投資家に伝えたかったこともお聞きしました。

個人投資家向けIRを熱心に展開する企業に注目!

Q:個人投資家と企業の距離感についてどうあるべきだとお考えですか。

木村:個人投資家は自分自身の大切なお金が周囲の経済環境に負けないように何らかの手段で守り、育てようと考え、その運用の一環として株式投資に目を向けます。そして、実際に気に入った企業の株式に投資するわけですが、その企業との日々の接点はコマーシャルだったり、株価だったりということが圧倒的に多いものです。投資先企業の現状を知る機会があまりないままに株価が上がった、下がったと一喜一憂する方もいるのではないでしょうか。

企業との接点を求めて、年に一度の株主総会に出掛けていくこともあるでしょうが、日頃から感じていることや聞いてみたいことを、企業の役員たちと実際に話すチャンスは少ないでしょうし、質問があっても会場の雰囲気に呑まれたり、時間や進行の都合上、なかなか難しいと思います。

そこで企業が開催している「個人投資家向けIRセミナー」やこうした「東証IRフェスタ」のような場を活用するのが有効な方法です。
投資家と企業の関係において両者が情報を共有していこうとする姿勢を明確に打ち出し、個人投資家向けIRを熱心に展開している企業は積極的に評価したいですね。

Q:企業のサスティナビリティにとって必要と言われる要素「見える価値」と「見えない価値」についてどう思われますか。

木村:企業価値には「見える価値」として収益力があります。株主はその収益力から株主還元として配当や株主優待を受けるので、とても具体的で分かりやすい価値だと思います。しかし、企業の「見えない価値」にも目を向けたいですね。これは無形資産とも言い換えられますが、豊富な人材、経営力、社員一人ひとりが誇りを持って仕事を推進していくことができる企業文化であったりします。

株主との対話力というのも、この「見えない価値」に含まれる重要な要素でしょう。株主には国内外の機関投資家、取引先企業、従業員持ち株会、個人投資家など様々な方たちがいますが、どの株主も企業経営の情報開示力、対話力について、近年、特に重要視しています。対話で企業をより深く知ることができ、その取組が厚みのある株主層を作り、株価上昇への可能性を高めると考えられます。

Q:企業と投資家はどのような関係が望ましいでしょうか。

木村:国の指針として上場会社には国の指針としてスチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードに適う経営が求められています。
すなわち、投資信託にしろ年金運用にしろ、機関投資家は運用代理人として委託者に成り代わってしっかり企業と対話し、配当政策など株主に最良の執行が成されるよう行動してもらいたいということです。役員候補者が利害関係上適切なのか、人材選出の道筋に偏りのない意思決定をしているか、モニターとしての役割も果たしてくださいということですね。

ガバナンスについても適切な意思決定のもと、納得できる公正な経営が行われているか、投資家は見極めるべきなんですよね。
経営側はそうした点を情報開示することが企業価値の最大化につながり、持続可能な経営の源になると認識しています。投資家は自身の資産運用のパフォーマンスを高めるためにも、「株を買った」「今日は株価が上がっている」「今日は下がっている」という点だけでなく、「株価を上げ、配当を増やす根源となる、社会からも応援されるビジネスが展開されているか?」への目配りが大切です。

企業を通して、自身のお金によって社会貢献をしていく意気込みが持てれば株式投資は単にお金の運用に留まらず、社会との接点が深まり、楽しいものになると思います。企業は経営を通じて、投資家は投下資金を通じて、共通価値の創造を膨らませていけると良いですね。

個人投資家にとっては、「波乱時こそが大切な仕込み期」

東証IRフェスタ
Q:今後の株式投資の展望についてお聞かせください。

木村:株式市場は金利の上昇を警戒して変動しやすくなります。目下、アメリカ、ユーロ圏ではリーマンショック後に続けてきた金融緩和からの脱却、すなわち金融正常化の動きが見られ、株式市場も相応に反応していくと思います。また、2018年11月にはアメリカで現大統領の2年後の再選可能性を占う重要イベントとなる中間選挙が実施されます。トランプ大統領は2018年前半と2019年、アクセル全開状態で再選に挑むでしょう。

アメリカ国民の支持を得るため、対外的に為替、貿易、軍事面で強力な施策に打って出る可能性が高く、株式市場は上振れもあるかもしれませんが、それ以上に下振れもあり得るため、大波乱含みと言えるでしょう。

それでも、為替、株価とも思いがけない価格帯まで突っ込む可能性を今から意識しておくと、いざという時、慌てなくて済みます。

個人投資家にとっては、「波乱時こそが大切な仕込み期」です。というのも、往々にして株式市場が順風満帆の時に誰もが知る国際優良株の高値を仕込みがちで、そういう投資をしていると利益確定までにとても時間が掛かります。今年、来年は国際優良株を安く仕込んだり、内需型のビジネスモデルで円高の影響が比較的少ない企業への投資にチャンスが多いと割り切って、緩急つけた投資を実行していただきたいです。

また、株式市場が変動している時ほど、株主との対話を深める企業と信頼関係を結ぶと良いですね。調子の良い時だけのIRではなく、営々黙々と個人投資家との関係を深めている企業には信頼感が持てます。信頼のおける経営が持続可能の源泉なのでそうした企業を個人投資家向けIRセミナーなどで見つけ、関係を深め、経済環境に負けない資産運用の有力手段として大いに株式投資を楽しんでいただきたいですね。

【レオパレス21講演】宮尾取締役常務執行役員の講演内容まとめ

東証IRフェスタ
「東証IRフェスタ2018」にて、レオパレス21の宮尾取締役が会社説明の講演を行いました。冒頭、「30年一括借上げシステム」のビジネスモデルを解説した後、「数字でみるレオパレス21」として2017年3月現在の実績を紹介しました。前期年間平均入居率は88.53%で、今期は年間平均入居率90%を見込んでいるとのことです。管理戸数はワンルームに限れば業界1位(全体では業界第3位)、法人契約戸数では56.4%と半数を超えるシェアを獲得しています。

次に、「30年一括借上げシステム」の柱となる開発事業と賃貸事業についての解説を行いました。人口減少時代を迎える今、ワンルームの賃貸需要の今後が気になるところですが、一人暮らしの世帯数は、独居老人だけではなく、生産年齢人口でもほぼ横ばいのため1000万世帯を維持することが見込まれています。また、大都市圏への人口流入が続いているため、大都市圏へ集中的に物件の供給を行っており、さらに家具家電付きのワンルームに特化していることや、法人利用の優位性からも、安定した需要が見込まれます。また、賃貸住宅のIoT化による差別化として、スマホでの解錠や家電操作ができる未来型賃貸住宅「MIRANDA」「CLEINO」も映像で紹介されました。

そして、成長戦略事業として位置づけられる、「あずみ苑」(介護施設)を展開するシルバー事業と、サービスアパートメントやサービスオフィス、仲介事業を展開する国際事業についての解説、続いて中期経営計画による業績予想や株主還元の基本方針、自社株買いの実行、株主配当・株主優待制度の紹介がありました。

社会インフラに関わる企業としてニーズに応えていく

Q:レオパレス21が 東証IRフェスタで投資家に伝えたかった内容は何でしょうか。

宮尾:レオパレス21が、単身で上京した人に快適な一人暮らしができる住まいを提供する、企業が優秀な人材を確保するためのバックアップをする、土地の有効活用を図る、といった形で社会的インフラに関わる課題に応えている企業だということです。また、時代のニーズに合わせて、高齢者向けの施設や海外のサービスアパートメント、サービスオフィスの展開などを行っていることも知ってもらいたいと思っていました。

レオパレス21では投資家の皆様の期待に応える経営を進め、今後も経営方針や業績をタイムリーにお伝えします。機関投資家に向けてはミーティングや電話などで対話を行い、個人投資家に向けては今後もWEBサイトや今回のような説明会場の場で講演や若手社員のプレゼンを行い、情報を発信していきたいと考えています。

<プロフィール>
経済株式評論家、資産運用アドバイザー、ファイナンシャル・プランナー
木村佳子

生活経済情報研究所 株式会社ビューズ代表。
個人投資家向けの経済情報番組ラジオ・キャスターを長く務めた経験を活かし、経済全般、株式評論、資産運用アドバイザー、経済アナリストとして活動。
国内外の時事を踏まえた生活経済を基本に個人のライフプランに役立つ資産運用について、株式投資、為替、経済見通しについての講演機会が多い。認定・国際テクニカルアナリスト、一級FP技能士(国家資格)、日本FP協会上級資格CFPの資格取得。早稲田大学大学院フアイナンス研究科修了(学位/専門職MBA)。JPXフェロー(2013-2015)、女性講座グランドマスター(2015〜現職)。日本IRプランナーズ協会において「個人投資家のための企業IR研究会座長」、同協会理事を経て2016年より同協会理事長。
「初心者でも失敗しないカレンダー投資法」など著書多数。
YouTubeで毎月1日に「月刊木村佳子」、毎週水曜日に「木村佳子の経済都市伝説」を配信中。

趣味は、具だくさんの速攻食事作り。体幹と記憶を鍛えるためにバレエ、フラメンコ、ベリーダンス等の舞踊と舞台鑑賞。衣裳制作も。
あとは地図(標準高等地図)や路線図を見ること。

木村佳子のマネープラン
http://fp-money.life.coocan.jp/

株式会社レオパレス21
取締役 常務執行役員
経営企画本部 経営企画・IR担当
宮尾文也

1983年中道リース株式会社入社。
1990年株式会社レオパレス21入社。
経理部次長、リゾート事業本部部長、経営企画部長を経て、2013年に執行役員に就任。
2016年に取締役執行役員に就任。2017年に経営企画部・広報部担当に就任。
2018年より現職。

http://www.leopalace21.co.jp/ir/

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