外国人訪日客数が過去最高を更新!さらなる成長に向けた課題とは 

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2017年の外国人訪日客数と旅行消費額が過去最高になりました。
その中身を国籍別の訪日客数の割合や旅行消費額、1人当たり旅行支出などから分析し、日本が観光立国になるための今後の課題について考察していきます。

ビザ(査証)発給要件の緩和や訪日プロモーションが訪日外国人旅行客増に貢献

日本政府観光局(JNTO)の発表によれば、2017年中に日本を訪れた訪日外国人数は2869万1000人で、統計を取り始めた1964年以来の最高値を示しました。前年に比べると19.3%増であり、2011年から6年連続で最高記録を更新し続けたことになります。実数で言えば2016年の2403万9700人から465万人以上増えており、街中で外国人観光客を見掛けることが珍しくなくなったのも合点がいく増加の仕方です。

これらを後押ししたのは、国や自治体による訪日旅行プロモーションやビザ要件の緩和などの施策があります。日本は2013年頃からタイ、マレーシア、ベトナム、フィリピン、インドネシア、アラブ首長国連邦などに対し、徐々に一次ビザから一定期間に何度でも日本に入国できる数次ビザへの緩和や、指定旅行会社によるパッケージツアー客の一次観光ビザ申請手続きの簡素化などを進めています。中国に対しても徐々に発給要件を緩和し、経済力に応じて数次ビザの発給あるいは緩和を行い、それとは別に沖縄県や東北6県の訪問に限った数次ビザも扱うなど、人的交流の促進に努めています。

国籍別でも、主要な20ヵ国全てが過去最高の訪日客数を達成しています。なかでも中国、韓国はそれぞれ735万6000人、714万人と、1つの国単位では初めて700万人台に達しました。中国については、2017年5月のビザ発給要件の緩和によって、従来のツアー旅行とは別に個人旅行が増えたことと、クルーズ船寄航数も増えたことなどから、全ての月において過去最高となっています。韓国は外国旅行そのものが増えている中で、格安航空会社(LCC)の新規就航が相次いだのに加え、世代ごとのライフスタイルに合わせた「私らしくもっと、日本でもっと」訪日旅行キャンペーンなどの効果もあって、毎月40〜60万人以上の人々が日本を訪れ、初の700万人台につながりました。

その結果、中国や韓国に台湾、香港を加えた東アジア地域で訪日客の74.2%、4人に3人近くを占めることになりました。それに次いで米国(137万5000人)、タイ(98万7100人)、そしてマレーシア、フィリピン、シンガポール、インドネシアが続きます。また、伸び率で著しかったのがビザ発給要件が緩和されたロシア(40.8%増)で、訪日ツアーのピークである桜の時期、4月には前年同月比66.6%増の大幅アップを達成しています。極東地域発の新規就航・増便や航空運賃の値下がりといった要因もプラスに働きました。

JNTOの取り組みとして各国における訪日旅行プロモーションを強化しており、海外メディアを日本に招聘して情報番組や映画などで発信してきたことも功を奏しています。新たな現地事務所を2016年12月にモスクワ(ロシア)、2017年2月にハノイ(ベトナム)、3月にはクアラルンプール(マレーシア)、デリー(インド)、ローマ(イタリア)にも開設し、さらなる取り組みを展開しています。

モノからコトへ、消費の広がりを踏まえて日本ならではの魅力をアピール

外国人訪日客
過去最高を更新したのは訪日客数だけでなく、訪日客の年間累計旅行消費総額も同様です。4兆4161億円と2016年の3兆7476億円に比べて17.8%増であり、4兆円台となったのも初めてのことです。

その一方で、1人当たり旅行支出は15万3921円と前年から1.3%減っています。1泊1人当たりの計算では前年比増であることから、短期滞在が多く消費額の少ない韓国からの旅行客が増えたことが影響したと見られます。また、最も訪れている中国人の1人当たり消費額もやはり23万382円と、0.5%減少しました。これについてはツアー参加から個人旅行へシフトしていることから、リピーターが増えていたり、お土産のための消費が以前ほどではなくなっていることが考えられます。日本製の炊飯器といった家電製品を親族や知人のためにまとめ買いする、いわゆる「爆買い」がひと段落し、百貨店をはじめ上質な対面販売によって化粧品などを試し比べて購入する「自分買い」へのシフトも見られます。

また、どの国からの旅行者にも言えることですが、物欲を満たす「モノ消費」から、日本だから体験できるような「コト消費」へと興味の対象が広がっています。人力車や着物着付けなど日本文化の体験機会や、日本人らしい細やかさによるサービス提供シーンなど、魅力を感じてもらえるコンテンツの開拓が今後ますます求められていくことでしょう。

タクシー会社の日の丸交通では中国やブラジルなど11ヵ国出身の外国人ドライバーを擁して、運転だけでなく外国人旅行客に対する観光案内まで行えるサービス体制を採っています。
2020年東京五輪に向けて翻訳・通訳ツールの開発も進められていますが、ネイティブの外国人スタッフが対応して日本らしい「おもてなし」を提供することもひとつのやり方でしょう。

また、訪日中国人の消費促進のために、中国でモバイル決済のシェア54%を誇る「アリペイ(支付宝)」を導入する日本企業、店舗も増えています(2018年2月時点で約4万店)。そごう・西武やGINZA SIXなど高級路線の店舗・商業施設、さらに日本海庄やなど大衆割烹チェーンを展開する大庄はその一例と言えます。

訪日客に親しみやすく、より魅力的な消費をアピールするためにはコンテンツや手段など、色々と取り組むべきことがありそうです。

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