「企業版ふるさと納税」を活用したCSR活動が地方創生の切り札に!

ソーシャル

関連キーワード
企業版ふるさと納税
近年個人を対象としたふるさと納税制度が注目を集めています。
そんな中、内閣府は従来の個人向けのふるさと納税制度とは内容も対象も異なる「企業版ふるさと納税」制度を2016年に創設しました。

今回はこちらの企業版ふるさと納税制度の概要や寄付を行う際の流れ、企業側のメリット、活用事例などに触れながらその特色を紹介していきたいと思います。

「企業版ふるさと納税」とは? 従来のふるさと納税制度との相違点も

「企業版ふるさと納税」とは、簡単に言えば企業が自治体へと寄付をする制度のことで、正式名称を「地方創生応援税制」と言います。
そもそも従来のふるさと納税は個人を対象にした制度となっており、自治体に2000円以上の寄付を行うとお礼の品としてその地域の特産品を謝礼品として送ってもらえるほか、所得税や住民税の控除対象となるという内容の制度でした。ふるさと納税制度はもともと都心部に住んでいる人などが、故郷を離れてもふるさとを支援できるようにという目的で誕生した制度です。最近では寄付する側の節税対策になるほか、謝礼品の多彩さなどでも人気を博していました。

それに対し、2016年に創設された企業版ふるさと納税とは、自治体が実施している地域創生事業に対して企業が寄付を行うという内容の制度であり、従来のふるさと納税制度とは違って謝礼品などの贈呈は基本的にありません。もし謝礼品として自治体から何らかを贈られた場合でも、法人は謝礼品の時価相当額を受贈益として利益に計上する必要があるので注意が必要です。また、寄付をする対象も内閣府に認可された地域創生事業のみと限定されており、寄付金額の下限も10万円と定められています。

法人が企業版ふるさと納税を活用するメリットは主に2点

企業版ふるさと納税
企業版ふるさと納税制度は、日本が世界に先駆けて迎えている「人口減少」「超高齢社会」といった社会問題に対応するために、地域創生を活性化することを目的として制定されました。民間企業が企業版ふるさと納税を活用して、地域創生事業に対して理解を深めることで地域創生の取り組みに対する民間資金の流れを新たにつくりだす狙いがあります。

では、企業版ふるさと納税制度を活用することは企業側にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。企業側のメリットとしては大きく分けて税制面とCSR活動のPRという2点が考えられます。

・寄付額の約6割が税額控除対象に
企業版ふるさと納税制度を活用し、実際に地域創生事業に対して寄付を行った場合、寄付額の約6割の額が税額控除対象となります。現行では企業が地域公共団体に寄付を行った場合、損金算入措置により寄付額の約3割が税額控除の対象と定められていましたが、企業版ふるさと納税制度を活用するとさらに寄付額の3割に相当する額が控除対象となるため、合わせて寄付額の約6割に相当することとなりました。これにより企業の節税効果が2倍になるほか、従来よりも少ない負担で地域創生事業を応援できるようになっています。なお、税目ごとの特例内容は以下の通りです。

法人住民税:寄付額の約2割が税額控除対象
法人事業税:寄付額の約1割が税額控除対象
法人税:法人住民税の控除額が寄付額の2割に満たない場合、その残りが法人税の控除対象(寄付額の1割、法人税額の5%が上限)

・CSR活動のPRの場として
企業版ふるさと納税制度では内閣府が認可した地域創生事業のみが寄付の対象となるため、従来の個人を対象にしたふるさと納税よりも寄付の目的や用途が明確となっています。従って企業側は、寄付自体を信憑性のあるCSR活動としてアピールすることが可能です。また、積極的に地域創生事業に取り組み地域を応援するという姿勢が、企業のイメージ向上にもつながることが期待できます。

企業版ふるさと納税の仕組み

企業版ふるさと納税を行うには、以下のような流れとなります。

1. 地方公共団体が地域創生事業を企画・立案した後、企業に相談し寄付の見込みを立てる。
2. 企業が地域創生事業への寄付を行うかどうかを検討する。
3. 地方公共団体が「地域再生計画」として地域創生事業を内閣府に申請する。
4. 内閣府が事業を認定・公表する。地方公共団体も併せて事業を公表する。(この時点で企業が事業への寄付を検討することも可能)
5. 地方公共団体が地域創生事業を実施し、費用を確定させる。
6. 企業が地方公共団体に寄付を行う。
7. 地方公共団体が企業へ領収書を発行する。
8. 企業が領収書に基づき、企業版ふるさと納税の適用がある旨を申請する。

つまりは、地方公共団体が地方創生事業を企画立案し、内閣府の認可を受けて事業自体が確定した後に、企業が寄付をするという流れとなります。

企業版ふるさと納税を活用するに当たっての注意点

企業版ふるさと納税を活用にするに当たって、企業側が注意すベき点を紹介していきます。

・税制の対象外となる地域もある
従来の個人を対象としたふるさと納税とは違い、企業版ふるさと納税制度では寄付できる地方公共団体に制限があり、基本的には内閣府が認定した地方創生事業に取り組んでいる地方公共団体しか寄付を行うことはできません。また、企業の本社がある地域や地方交付税の不交付団体である都道府県、なお且つ全域が地方拠点強化税制の支援対象外地域とされている市町村は企業版ふるさと納税制度の対象とはならないので注意が必要です。ちなみに2017年度は東京都、埼玉県戸田市、和光市、三芳町、千葉県市川市、浦安市といった地域は企業版ふるさと納税制度の対象外でした。

企業版ふるさと納税の活用例

企業版ふるさと納税
企業版ふるさと納税における企業と地方公共団体の活用例として、北海道夕張市と岩手県二戸市の事業を紹介していきたいと思います。

・北海道夕張市の「まちづくり」分野における企業版ふるさと納税活用例
北海道夕張市では「コンパクトシティの推進加速化と地域資源エネルギー調査」という事業を2016〜2019年の期間で実施します。夕張市の主要幹線の中心にある清水地区に児童館や図書館などの機能を兼ね備えた複合型拠点施設を整備し、町のコンパクト化を図ると同時に、地域資源を活用するための調査を行います。

・岩手県二戸市「うるしの郷」再生プロジェクト
岩手県二戸市では「稼げる地場産業」として漆産業を確立し、2018〜2019年に掛けて地域産業の振興を目的とした事業を進めていく予定です。漆産業に携わる方の所得向上を図るため、漆掻きなどを志す若者に対するOJT研修の実施や経費補助、生漆の生産量確保などに取り組んでいきます。

企業版ふるさと納税制度は地域創生の切り札となるか

創設から2年が経過した現時点で、企業版ふるさと納税制度の活用例として興味深い事例が既に少なからず挙がってきています。
そういった実際の活用例を見ても、今後企業版ふるさと納税制度が企業と地方公共団体の両方にメリット生み出すだけでなく、人口減少や超高齢社会といった日本が抱える国家的問題に対応した地域創生の切り札となる可能性を有すると言えるでしょう。

その他のソーシャルの記事

キーワード一覧

 ページトップ