集合住宅のZEH化に補助金!ZEH2020に向けた新制度の概要を解説

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ZEH2020
ZEHという言葉をご存知でしょうか?簡単に言うと、ZEHとは省エネ住宅のことであり、数年前から政府が本格的に推進しています。そして、2018年3月にZEHに関する補助金事業など改正予定の草案がまとまり、ついに集合住宅でもZEH化に向けての補助金が決まりました。

政府としては、2020年を一旦の目標としZEH化を進めていく方針であり、これをZEH2020と呼びます。
今回は、そうしたZEH2020に向けた新しい制度の概要を紹介していきますので、ZEH住宅の購入を検討されている方はポイントを押さえておくことをおすすめします。

ZEHとは何か?

ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」のことで、通称「ゼッチ」と呼ばれます。要するに、断熱性能を大きく向上させ、効率の良い設備システムや再生可能エネルギーなどの導入により、エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した住宅です。

つまりは、環境と省エネに配慮した家を実現し、電力を自ら創り出し、その電力だけで生活しましょうということを言っているのです。高断熱の家とは、良質な断熱材を施すことで外気温が家の中に伝わりにくくし、夏の暑さや冬の冷気をカットします。

また、エアコンなどを利用した場合、夏は冷やした冷気を、冬は温めた暖気を外部に逃がさないという効果もあるのです。さらに、冷暖房機器を高性能にすることで、少ない消費電力で効率良く室内環境を快適に過ごしやすくすることができます。

具体的にどんな家か

ZEH2020
ZEHでは、高性能サッシと断熱材を用い、断熱性能を向上させます。サッシとは「窓枠」のことであり、種類によって窓枠の密閉度が変わってきます。当然、窓枠の密閉度が高いほうが、外気が入りにくく、室内の空気は外部に漏れにくいのです。つまり、室内を一定の温度に保ちやすいということです。

例えば、アルミ樹脂複合サッシは非常に断熱効果が高いため、ZEHによく用いられる部材です。また、断熱材には予算や環境、建物の部位、工法などに合わせて選べる様々な種類が揃っており、中でもコストと性能のバランスからグラスウール素材が比較的ポピュラーに使われています。このように、高断熱のための部材・素材を取り入れ、省エネ性能に配慮した家にすることがZEHの要素のひとつになります。

さらに、ZEHは「電力などのエネルギーを創り出す」という特徴を持つ家でもあります。そのエネルギーを創り出すという点で代表的な設備が、ソーラーシステムになります。ソーラーシステムは昔からあるものですが、現在のソーラーシステムは方位に関係なく太陽光を吸収できる形状だったり、庇を拡張する工事と合わせてソーラーパネルを設置したりするなどの工夫もあります。

そして、ソーラーパネルだけでなく、蓄電池システムもZEHでは重要になってきます。蓄電池システムとは、昼間に太陽光によって溜めた電力を夜間利用することができるシステムです。蓄電池システムにより、夜間に「足りない電力」部分だけ昼間に溜めておいた電力から供給し、利用することができます。

こうした「断熱」「省エネ」「創エネ」という3つのキーワードが、ZEHの基本的な考え方になります。

ZEHを取り巻く環境は?

そもそも、なぜ政府がZEHを推進し、ZEH2020に向けてZEH化が加速しているかというと、日本における「資源エネルギー事情」が最も大きな理由です。ご存知の通り、日本では石油が発掘できるわけではなく、エネルギーにつながる資源が豊富ではないので、資源の多くは輸入に頼っています。

しかし、空調設備や電子機器などはどんどん増えているため、電力消費量が下がることはありません。日本でも東日本大震災による原発事故などを経て、省エネの風潮は高まっているものの、ZEHという発想に行きつくようになかなか思うようにエネルギー削減が進捗していないことは分かります。

そして、2015年7月に発表された「長期エネルギー需給見通し」によると、石油危機後並みに消費エネルギーを改善するとなると、全体で35%程度の削減が必要になり、その実現のためには省エネを呼び掛けるだけでは限界があるのです。

そのため、根本的に消費電力を抑えるための断熱や効率の良い冷暖房などの「家づくり」、加えて、自らエネルギーを創り出すという「家づくり」が必要で、これを推進していくしかないということでZEH2020が策定されたという背景があります。

集合住宅への補助金について

ZEH2020
2018年3月に経済産業省から発表された「平成30年度 集合住宅におけるZEH支援事業の主なポイント」という資料を見てみると、最も大きな変化は集合住宅にもZEH化すれば補助金が受けられるようになったという点です。

●補助金額について
補助金額は以下のように、その集合住宅の階数によって異なります。
・高層(6階建て以上):補助対象経費の2/3以内(上限5億円/年)
・低層や中層(5階建て以下):定額70万円×戸数(上限3億円/年)

また、蓄電システムについては「3万円/kWh」と定められており、上限30万円/戸という規定です。ここでは階数によって補助金額が異なる点と、蓄電システムにも補助がある点に注意するようにしましょう。

また、高層と中低層のどちらの場合でも設備費についても補助対象になります。設備とは、例えばサッシをはじめ高効率の給湯設備や換気設備、照明設備などが該当します。ただし、高層の場合のみ設計費なども対象になるケースがあるので、総じて高層階のほうが補助金は高額です。

●補助金を受けられる業者
集合住宅の補助金は誰でも受けられるというわけではなく、対象となる業者には以下2つの種別があります。

・マンションディベロッパー
・建築請負会社

まず、自社にZEH普及計画を有するマンションディベロッパーです。これは自社で供給するマンションを全体的にZEH化するという計画になるので、そもそも供給戸数が限られるマンションディベロッパーは難しいかもしれません。

政府としてはZEHの住戸を増やしたいという意図があり補助金を拠出するので、継続的に多くの住戸を供給するマンションディベロッパーに補助金を集中させたいということです。

補助金を受けることができるのはマンションディベロッパーだけでなく、建築請負業者も可能です。ただし、ZEHに関する問い合わせに対応できる専用の相談窓口を設けるなど、ZEHの実現に関わる具体的な行動を示す必要があります。

建築請負業者も補助金対象としたのは、法人ではなく個人がマンション建築する場合も配慮したからです。個人がマンション建築する場合は、マンションディベロッパーを通さずに、直接建築請負会社に建築依頼することが多いため、その建築請負業者も補助金を得られるような形にしたというわけです。

このように、ZEH2020に向けて、集合住宅にまで補助金が出ることが決まりました。確かに一戸建てに補助金を拠出するよりも、戸数が多い集合住宅に拠出するほうがZEHを増やすには効率が良いと言えます。そのため、今後は「新築分譲マンション! ZEHの対応した省エネマンション!」などの物件が増えるかもしれません。

事業者側としては省エネであることをアピールポイントにできるので、ほかの物件と差別化することができます。一方、購入者側からすれば快適な生活が送れる上に、電気代やガス代などの節約につながるというメリットがあります。ZEH2020によって、マンション業界にも変化があると思われるので、その動向は気になるところです。

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