高齢化社会、認知症予防プログラム「ソーシャルウォーキング」で健康寿命を延ばす

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ソーシャルウォーキング
「ソーシャルウォーキング」は、健康的にシニアライフを過ごすために身体の機能を維持することと、脳を刺激して認知症の予防をすることを目的としています。
単に健康を維持するだけではなく、積極的な社会参加を促し、新たな生きがいを見つけることも「ソーシャルウォーキング」の目的のひとつです。

ウォーキングは認知症の予防にも効果的

年齢とともに徐々に衰えてくる身体機能は、定期的な運動をすることで維持できます。とは言っても、これまで運動の習慣がなかった人がいきなりジョギングをしたりトレーニングジムに通うのは、ハードルが高すぎます。そうした中でウォーキングは、あまり運動が身近でなかった人でも割と気軽に始めてみようと思える運動です。

ウォーキングは、肩甲骨と股関節の両方を使って足を前に運ぶ動作です。左右の足を正しく運び出すことで、全身の前後左右のバランスも整えられます。ウォーキングの動作は脚だけでなく、体全体の筋肉がまんべんなく収縮と弛緩を繰り返すことで、血流を刺激し毛細血管まで活性化させるのもメリットです。

ウォーキングによって活発になった血流は、肥満などの生活習慣病や骨粗しょう症など運動不足から起きる病気の予防・改善を促す医学的効果や、筋持久力やバランス機能の回復・維持を促し転倒やケガを防止する体力増進効果を期待できます。さらに自然や景色を見ながら得られるリラックス効果、外に出ることでほかの人とのふれあいが期待できるなど、心理的・社会的効果もウォーキングのメリットのひとつです。

また、ウォーキングは認知症の予防にも効果が期待できると注目されています。活発になった血流は、脳の働きにも刺激を与え活性化させることから、認知症の予防や進行を抑えられると言われているのです。

社会参加と歩行を組み合わせた「ソーシャルウォーキング」

2025年に日本における認知症患者は、65歳以上高齢者の約5人に1人に達すると見込まれています。認知症を治す特効薬は未だ発見されていませんが、認知症の予防や進行を抑える効果が期待できる研究は次第に成果が報告されるようになりました。

認知症の予防には運動などによって脳の活性化を促す生理的予防と、美術館などに出掛ける文化的な刺激や会話などの対人的刺激で脳を活性化させる認知的予防の2つが挙げられます。この生理的予防と認知的予防を組み合わせたのが、「ソーシャルウォーキング」です。

運動のためにウォーキングを始めてもなかなか習慣にならず、継続するのが難しいという人も少なくないでしょう。「ソーシャルウォーキング」は誰もが日常的にウォーキングを続けられるよう、社会的活動とウォーキングを組み合わせた点にその特徴があります。

普段している買い物やごみ出しのタイミングで、ウォーキングもついでに行うことにより自然と習慣に取り込めるようにするのが目的です。組み合わせる社会活動は日常的な行動から積極的な社会活動まで、何でも問題ありません。

ウォーキングはノルディックスタイルがおすすめ

ソーシャルウォーキング
効果的にウォーキングを行うポイントは4つです。息が弾んで汗ばむ程度のウォーキングを、1回15?30分行うこと、週に2?3回を目標にすること、歩幅を広めにすること、早歩きを意識することが、ウォーキングの効果を上げるポイントです。

2本のポール(ストック)を使ったノルディックウォーキングは、体力に関係なく誰でもウォーキングに挑戦できる方法です。ポールを使ったノルディックウォーキングのメリットは、正しい姿勢をサポートして運動効果を上げられることと、腕の動作を大きく一定に保ち全身運動になることです。ポールがあることで歩行自体もサポートしてくれます。

体の正面に真っ直ぐに立てたポールのグリップが大体へその位置辺りに来るくらいが、ノルディックウォーキングに最適なポールの長さです。左右の手に持ったポールは踏み出した足と反対側のポールが地面に垂直になるように突いて歩きます。顎を引いて目線を上げ、姿勢を正しくするように気をつけるのもポイントです。

日常的な行動と合わせて気軽に歩こう!

多くの人が行っている日常的な行動に、ウォーキングをプラスするのもおすすめです。これまであまり出掛ける習慣のなかった人でも買い物やごみ出しでは外に出ることを想定し、その行動にウォーキングを結びつけることで、習慣的に運動できるようにするのが目的です。

ごみ出しや買い物など毎日決まった時間に外に出るようにし、ご近所の人たちに挨拶することから「ソーシャルウォーキング」が始まります。会話をした後はちょっと遠回りをしてウォーキングを行えば、社会参加と適度な運動が習慣的に身につくようになります。

「ソーシャルウォーキング」には定期的な運動を促すことのほかに、社会参加をすることも大切な目的です。挨拶などから始まる人との会話や、買い物などでお金の計算をしたり、夕飯のメニューを考えたりする行為は、脳の働きを刺激して認知症の予防にもつながります。

目的をもって積極的に外に出よう!

ソーシャルウォーキング
ウォーキングに慣れてきたら、目的を持って積極的に外に出るようにしましょう。花や鳥が好きな人はカメラや双眼鏡を手に、また地図を片手に神社や仏閣など史跡を巡るのも楽しそうです。好きなことをするのは、脳に刺激を与える要因になります。運動以外に何かもうひとつ目的があれば、ソーシャルウォーキングに出かけるのも楽しい習慣になるはずです。

同じような場所を訪れる回数が次第に増えると、同じような趣味を持った人たちに出会う可能性もあります。好きなものが似ているから会話もいちだんと弾みます。友人たちを誘って出掛けるのもおすすめです。一緒にウォーキングをするようになれば、出掛ける回数も増えるかもしれません。

自然や名所旧跡を巡るだけでなく、買い物や食事に出掛けるのも「ソーシャルウォーキング」に適しています。出掛けるために事前に下調べをしたり、お気に入りの店ができることで店の人たちの名前や顔を覚えたりと、脳を刺激する要素がいっぱい詰まっています。

目標はウォーキングからの積極的な社会参加!

「ソーシャルウォーキング」の理想的な形は、積極的な社会参加をすることです。定期的にボランティアに参加したり、仕事に就いたりすることで、社会に貢献している喜びを実感できます。その行き帰りにウォーキングをプラスすれば、定期的に運動もできて一石二鳥になります。積極的な社会参加は、脳にもより多くの刺激を与えてくれます。

もちろんボランティア団体や仕事を見つけることだけが、積極的な社会参加ではありません。近所の小学校の児童の登下校時に横断歩道の安全を見守ったりする活動も、積極的な社会参加のひとつです。定期的な社会参加は生活にリズムをつけ、脳を定期的に刺激できるメリットがあります。

介護保険制度の改正で、元気なシニア世代が近所を支援する仕組みも始まっています。生活の中のごみ出しや買い物支援をはじめ、部屋の電球を取り替える程度のちょっとしたサポートも「生活支援サービス」と呼ばれる立派な地域の社会活動です。

誰もがいずれは年を取り、高齢者と呼ばれるようになります。超高齢社会を迎えた日本では、高齢者は既に少数派ではありません。一歩外へ出てみれば、自分と同世代の仲間たちが数多く存在していることに気づくはずです。積極的に社会に参加しながらウォーキングで身体機能を維持することにより有意義なシニアライフを送れるようになります。「ソーシャルウォーキング」は、これからの超高齢社会を楽しく過ごすための大切な一歩を踏み出すきっかけを与えてくれます。

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