【前編】世界最先端の低炭素都市を目指す東京都の環境への取り組みとは『東京都のEV普及のカギとなる、集合住宅における充電設備補助事業〜東京都環境局〜』

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東京都全体の二酸化炭素排出量の内、約2割を運輸部門が占めており、その8割が自動車からの排出です。2020年東京五輪は、日本の環境先進技術も世界の人たちにアピールできる機会であり、それに向けてEVなど次世代エコカーの普及が急務です。
そこで、東京都環境局が行っているEV等推進の施策について、環境改善部自動車環境課長の堀哲氏に伺います。

2030年に乗用車新車販売の50%をゼロエミッションビークルに

Q:まず、東京都の自動車環境に関する取り組みについて教えてください。

A:私ども自動車環境課は、もともと石原都政下でディーゼル車規制を担当していた部署です。当時は大気中のSPM(浮遊粒子状物質)やNOX(ノックス、窒素酸化物)が大きな課題であり、それらを減らしていくことに取り組んでいました。都民の皆様や事業者のご協力もあり、現在では大幅に改善してきています。
2016年11月にパリ協定が発効し、世界中の国や都市がCO2の削減に向けた取組を加速させています。都もCO2の削減に向けた取組を進めており、私たち自動車環境課では、自動車からの二酸化炭素の削減対策を進めています。
2018年5月にヒルトン東京で開催された東京都主催の国際会議「きれいな空と都市 東京フォーラム」では、大都市共通の環境課題である廃棄物処理・資源循環及び大気汚染対策について、一堂に会した世界22都市の代表によって議論されました。その中で、東京都の取り組みとして小池都知事が、乗用車の新車販売に占めるゼロエミッション・ビークル(ZEV、ゼブ)の割合を2030年までに5割まで引き上げることを宣言しました。都内での販売台数は年間20万台ほどですから、その内の10万台を目指すということです。現状は2%程度なので、あと10年と少しでというのは意欲的な目標だと考えています。国は2030年までにEVなどの割合を最大30%に引き上げる目標を掲げていますので、東京都が国を上回る目標を率先して掲げることで全国での機運が高まればと思います。

Q:ゼロエミッション・ビークル、ZEVとはどのようなものでしょうか。

A:走行時に排出ガスを出さない、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)の総称です。EVは従来のエンジンのみで走行するガソリン車と違って、電気をエネルギー源として電気モーターで走行する次世代エコカーの代表格です。この普及が大きなカギと考えられるでしょう。後者は、トヨタのMIRAI(ミライ)など水素を燃料とする電池を搭載して発電し、モーターの動力で走るものです。
トヨタのプリウスPHVのように、普段はバッテリーに蓄えた電気でEVとして走行し、電気がなくなった場合にガソリンで走行するプラグインハイブリッド自動車(PHV)も、このカテゴリーに入ります。

Q:小池都知事の発言では、2018年の年頭に「2040年代までにガソリン車の販売をゼロに」との報道もありました。

A:あの新聞報道の見出しはミスリードであり、記事の中での知事の発言も「2040年代にはガソリン車を購入しなくてよい環境を整えたい」というものでした。
そのためにも、EVでは充電設備、FCVでは水素ステーションと、インフラ整備が欠かせません。購入者が好きな車を選べるよう、それらの環境整備を進めていくことが重要なのです。

都民の6割が住む集合住宅にEV用充電設備、補助金で普及を促進

充電設備補助
Q:実際に今年度の事業が進んでいるそうですね。

A:東京都では「ゼロエミッション東京」の実現を目指しており、自動車部門については、今年度からEV普及に向けて新たな事業を数多く実施しています。まず、ZEV普及に向けた調査を行い、ガソリン車やディーゼル車から次世代自動車への普及を進めた場合の影響などを検討・分析し、インフラ整備などにおける課題を整理することにしています。
また、東京都には伊豆諸島や小笠原諸島など、11の島からなる島しょ部があります。そこを対象として地域特性に合わせた再生エネルギーの導入や水素エネルギーの活用を進めるゼロエミッション・アイランド(ZEI)の実現も目指しており、EVの普及に向けた調査を行います。

Q:ZEVの普及そのものに向けた取り組みはどのような内容でしょうか。

A:まず重要なのは、EVの充電設備の設置です。そのため、集合住宅におけるEVの充電設備導入促進事業として、100基分・1億2200万円の予算を確保しています。 戸建て住宅であれば、その所有者がEVを購入し、併せて自宅に充電設備の設置することまで自由意志で行うこともできます。一方都民の6割が居住する集合住宅では、充電器が設置されているケースは限られていますが、集合住宅に充電器を設置する場合には、住民の合意形成や誰が費用を負担するのかといった課題があり、集合住宅の居住者はEVを購入したくてもしにくい状況にあります。
そこで、集合住宅に充電設備を導入する際の設備購入費や設置工事費について、補助制度を用意しました。設備購入費の補助額は補助対象経費の1/2、設置工事費の補助額は補助対象経費から国の補助額を除いた額という設定で、それぞれ従来からある国からの補助金と合わせれば10/10補助となり、集合住宅の所有者負担はほぼゼロ(※)、という具合になっています。ちなみに、設備費・工事費は数十万円から200万円程度で、機種や設置場所等により幅があります。
国の補助制度は以前からあるのですが、設置者に費用負担が生じるため、住民の合意形成が困難でなかなか利用が進んでいませんでした。国と東京都の制度を合わせて利用することで負担がゼロになれば、充電器の設置が進むと期待しています。東京都の補助事業は2020年度まで3年間の予定ですので、対象となる方にはその間にぜひご検討いただきたいですね。

Q:この補助を受けられる対象者について教えてください。

A:集合住宅の所有者、マンションデベロッパー、マンション管理組合、集合住宅でカーシェアリングを行う事業者などとなっています。
アパート経営をなさっているオーナーの方にも関心を持っていただけるのではないでしょうか。ほかの賃貸物件との差別化になりますし、これからの時代、EVを利用しやすい居住環境であることは不動産物件にとって大きな付加価値となるでしょう。むろん東京都としても、都民の6割が居住する集合住宅に充電設備が設置されていれば、EVの購入も推進できると考えています。

まずは足下から。都有の施設、車両においてもEV化に注力

充電設備補助
Q:そのほかにZEV普及のための取り組みはありますか。

A:公園や公共施設など都有施設においても、都の事業としてEV充電設備を設置していきます。
2018年度は10基の設置に向けて担当部署との調整を進めています。
また、都庁で所有する車両を徐々にEVに入れ替えていく取り組みも進めています。全庁で1万2000台余りの内、今年度はまず37台を切り替えます。EVで市販されているのは LEAFなど車種が限られていますので、車種として該当するもの、そしてその中から更新期が到来したものについて切り替えます。
東京都では都営バスもあり、運行する交通局では水素エネルギーで走るFCバスを既に5台導入し、実際に走っています。EVと同様に排ガス防止と温暖化対策、それに音が静かというのも都市生活には重要なメリットです。

Q:EV以外ではいかがでしょうか。

A:一般にはまだ珍しいのですが、電動バイクがあります。
電動自転車はかなり普及が進んでいますが、電動バイクはこれからですね。車種もまだ少ないため、5年間で400台という目標ですが、東京都としても後押ししていきます。イメージとしては宅配やケータリングで利用してもらえれば、音も静かなので住宅地での生活環境改善にもつながるでしょう。

(プロフィール)
東京都環境局
環境改善部
自動車環境課長
堀 哲
1999年入庁。多摩ニュータウンの開発・宅地販売を実施していた多摩都市整備本部、知事の政策立案を担当する知事本局(現、政策企画局)を経て、5年前より環境局に。FCV(燃料電池自動車)に長く関わり、2018年より現職。

ゼロエミッション・ビークルの普及に向けて
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/vehicle/sgw/promotion/index.html

集合住宅における充電設備等導入促進事業
https://www.tokyo-co2down.jp/individual/subsidy/mansion-evcharge/index.html

「きれいな空と都市 東京フォーラム」
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/governor/governor/katsudo/2018/05/22_00.html

※補助金には上限あり。消費税は対象外。

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