カンボジアが日本の高齢化社会を救う?! 介護士不足を補う試み

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日本の介護士不足を補うべく、カンボジア人労働者に注目が集まっています。
9月には日本への派遣向けの介護士訓練センターが開設され、フン・セン首相も日本の介護施設で働くカンボジア労働者を増加させる方針を発表しています。ここでは、その詳細について紹介します。

「介護離職ゼロ対策」のためにもますます必要とされる介護人材

介護の現場で働く人材の不足は以前から言われていますが、少子高齢化の流れを受け、さらに深刻となっています。
2018年5月に発表された経済産業省の試算によれば、介護人材は2015年時点で183万人です。その時点で4万人ほど不足していましたが、政府が目指す「介護離職ゼロ」のため、さらに介護サービス需要が積み重なることもあり、2025年の見込みでは人材供給が215万人でも不足が43万人に拡大するとされています。
また、2035年には団塊世代が85歳という超高齢に達しますが、そこで必要となる介護人材は228万人で、それに対する不足が79万人にもなるとの分析です。2015年からの20年間で不足する人材の数が20倍近くに膨れ上がるというわけで、大変深刻です。

プノンペンに日本の介護職を目指す大学を設立

そうした状況に向け、明るい材料となるのがカンボジアの動きです。
まず、2017年末にカンボジアのフン・セン首相が移住労働者数の増加策として、日本の介護施設への送り出しがそのひとつであると公の場で発言しました。フン・セン首相によれば、それに先駆けて同年8月に来日した際に「安倍晋三首相とこの計画について話し合った」とのことです。ただ、同国労働省のヘン・サワー報道官が指摘する通り、日本で働く外国人介護士を増加させようとしている国はカンボジアだけではありません。そのため、カンボジアでは日本の介護施設で働けるよう訓練するためのトレーニングセンターとして「カンボジア日本技術大学」を、2018年9月に首都プノンペンに開設させました。まずは日本の介護技術をカンボジアに伝え、そこから世界に発信することを目的として国際社会福祉学部日本介護学科を創設しています。

この開設に当たったのは、ミューズグループのグループ会社である株式会社JQCです。プノンペンのセンソク地区に総額300万ドルを掛けて開設したこの施設では、1学年定員を180名としてカンボジア人学生に日本の介護士を目指すトレーニングが行われます。日本で働くのに必要な日本語教育なども含む2年間の課程を経て基準を満たせば、日本に技能実習生として3年または5年間派遣される予定です。また、日本の介護資格である 介護職員初任者研修や実務者研修に相当する国家資格の創設をカンボジア政府にも働き掛けているとのことで、モチベーションの高い人材が集められると期待されます。

このような、外国人技能実習生送り出し支援を行うコンサルティング会社は増えており、アジア各国からの送り出しルートができつつあります。その中でも素直で忍耐強く、何事も引きずらない性分のカンボジアの国民性は、ホスピタリティや優しさが求められる介護の仕事に向いていると言えるでしょう。

外国人技能実習生制度における介護職の普及・浸透に期待

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EPA(経済連携協定)に基づき2008年に始まった外国人介護士候補者受け入れでは対象国をインドネシア・フィリピン・ベトナムのみとしていましたが、もともと先進国の知識・技術を新興国が取得するためのものである外国人技能実習生制度の対象国はベトナム・中国・フィリピン・インドネシア・タイ・その他と多岐にわたっており、カンボジアもそのひとつです。これまで技能実習生は、農業や機械・衣料・金属といった、日本人の労働力が十分に確保されない職種で多く受け入れてきましたが、2017年11月の「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」の施行に合わせ、介護職種が追加されました。

介護技能実習制度の対象業務は、入浴・食事・排泄の介助などの身体介護に掃除・洗濯・調理などの支援と記録・申し送りなどの関連業務などとなっています。求められる日本語レベルは入国1年目には日本語能力試験のN4(基本的な日本語の理解)で良いのですが2年目にはN3と、日常で日本語が使えることとなっています。漢字の読み書きも介護現場で触れる程度のものは必要となるでしょう。

受け入れ人数の上限も受け入れ施設の常勤介護職員数に応じて定められていますし、技能実習生5名につき1名以上の技能実習指導員を置かねばならないなど、受け入れ側の体制構築が必要です。報酬についても日本人が従事する場合の報酬と同等以上であることと定められています。技能実習生には自国に技能を持ち帰るという志がありますから、日本の若手人材がなかなか定着しづらい現状に比べれば、色々と期待ができるとも言えます。

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