高齢者問題 高齢者の定義は「75歳以上」に変わる? 変更が検討される理由とは

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内閣府は、2016年度の段階で国内における65歳以上の人口は3459万人となり、高齢化率も27.3%にまで上昇していることを明らかにしました。
国内では年々高齢化率の増加が見られ、2065年には総人口の減少と相まって、高齢化率が38.4%に達し、国民の約2.6人に1人が65歳以上の高齢者になるという社会が到来すると予測され、現状でも既に高齢者問題が危惧されています。

そのような中、日本老年学会と日本老年医学会では、高齢者の定義を従来の65歳以上ではなく、75歳以上に変更することを2017年に提言しました。
今回は、高齢者の定義年齢引き上げの理由や、それに伴い危惧されることなどについて説明していきたいと思います。

移り変わる高齢者の定義

高齢者と言われると何歳くらいの人を思い浮かべるでしょうか。それぞれ個人差はあると思いますが、2014年度に内閣府が実施した高齢者の日常生活に関する意識調査によると、「一般的に何歳頃から高齢者だと思うか」を聞いたところ、「70歳以上」と答えた人が29.1%と最も高い数値だったという結果が出ています。さらに同調査によると、「支えられるべき高齢者は何歳以上だと思うか」という質問に対して、「80歳以上」という回答が25.2%と最も高い割合を占めたことも明らかになりました。

そもそも高齢者という言葉には厳密な定義はありません。国連が1956年の報告書で高齢者を65歳以上だとしたため、日本でもその線引きが採用されているだけに過ぎないのです。

ちなみに日本の平均寿命は、2015年度の段階で男性が80.75歳、女性が86.99歳となっていますが、今後さらに伸び、2065年には男性が84.95歳、女性が90歳超えの91.35歳となると考えられています。その反面、出生率においては減少が見込まれており、同年では出生数が現状の半分程度にまで落ち込むと考えられているのです。
こういった数値を見るだけでも、将来的にはより深刻化した少子高齢社会が到来し、今以上に様々な高齢者問題が浮上することが予測されます。

高齢者の定義が75歳以上に変更される? その理由とは

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日本老年学会と日本老年医学会では、従来の高齢者の定義が現状に合っていない状況が生じているという考えから、高齢者の定義を75歳以上に引き上げることを提言しました。その理由として、両学会では2013年から合同ワーキンググループを立ち上げ、近年の高齢者の心身の健康に関するデータを検討した結果、10〜20年前と比べ、高齢者における加齢に伴う身体的機能変化の出現が5〜10年ほど遅れていることが判明したことを挙げています。特に65〜74歳の前期高齢者においては、心身の健康が保たれており社会活動も活発に行うことが可能だという人が多数を占めていることを明らかにしました。

このような結果から、両学会は65〜74歳を准高齢者、75〜89歳を高齢者、90歳以上を超高齢者として定義づけることを提言しています。さらにその意義として、「従来の高齢者とされる世代を社会の支え手である存在として捉えなおすこと」、そして「超高齢社会を明るく活力あるものにすること」の2点を挙げています。

高齢者の定義引き上げによる影響を危惧する声も

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日本では現在、いわゆる超高齢社会に突入しています。それに伴い、政府は現状の高齢者問題を整理し、これまでの「人生65年時代」を前提とした高齢者の捉え方を「人生90年時代」へ転換すると意思表示しています。日本老年学会と日本老年医学会が今回提言した高齢者の定義年齢引き上げは、高齢者への意識改革や高齢者自身のモチベーションアップという面では、高齢者問題の解決策のひとつになり得るかもしれません。しかし一方で、高齢者の年齢が引き上げられることで、社会保障制度が改悪されるのではないかと変更を危惧する声も上がってきています。

実際に、高齢者の定義を65歳以上から75歳以上に引き上げることが年金支給年齢の繰り上げにつながるという可能性もゼロではありません。そうなると65〜74歳の准高齢者においては、家族や親族が現状以上に経済的に支える必要が出てきてしまい、ますます家族介護を選択する人が増加すると予測されます。

また、高齢者の定義引き上げに伴い定年が繰り上がるとすると、若年層の雇用に影響を与える可能性も出てきます。今回、高齢者の定義引き上げを提言した日本老年学会・日本老年医学会も、提言をそのまま社会保障制度に結びつける議論は慎重にするよう訴えていますが、今後危惧の声が高まる可能性も低くはないでしょう。

高齢者の定義引き上げは高齢者問題の解決策となるか

世界で類を見ないほど高齢化が急速に進んでいる日本において、高齢者問題への対策は不可避だと言えます。
医療技術が進歩し、昔に比べて元気な高齢者が増えている中、高齢者の定義引き上げは高齢者のモチベーションアップや超高齢社会に活力を与えるという面では素晴らしい考えだと言えますが、その反面で社会保障や働き方において若年層を圧迫する結果につながりかねないことも事実です。
いずれにせよ、今後の動向を慎重に追っていく必要があるでしょう。

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