マンションの管理規約は見直すべき!? 民泊新法への対応とは

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民泊新法
2018年6月、民泊に関する新しい法律である「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が施行されます。民泊新法により、民泊を合法的に始めやすくなる反面、マンションでは民泊によるトラブルも懸念され、禁止したいと考える所有者もいます。

そこで今回は、民泊を禁止するための「管理規約改正」などの対応について詳しく解説します。目前に迫っている民泊新法の施行にきちんと対応できるようにしましょう。

民泊新法とは?

民泊新法が施行されることでマンションの管理規約を見直すべきか、まず民泊新法の内容を理解する必要があります。

●民泊新法の内容
民泊新法の内容をひと言で言うと、「民泊を始める手続きを簡単にした」ということです。そもそも、以前の民泊物件は「簡易宿泊所」と同じ扱いだったので、カプセルホテルを営業する時と同じ届け出が必要でした。つまり、行政はもちろん保健所や消防局などへの届け出も必要だったのです。

そのため、一般的に許可を得るためのハードルが高く民泊運営を行うのは困難でした。このような点を解消するため、民泊新法を施行したというわけです。

●民泊の状況
民泊新法を制定したもうひとつの理由には、無許可での違法な民泊運営が多かったことが挙げられます。その理由が前述の申請の厳しさであるため、それを改善した民泊新法が誕生しました。

ここでは、民泊状況と民泊を必要とする大きな理由である「訪日観光客の増加」についての確認をしていきましょう。これらを確認することで、マンション内での民泊を禁止すべきかが分かってきます。

許可物件の状況

2017年時点の民泊の許可状況は以下の通りでした。
全体の状況です。

・許可2505件(16.5%)
・無許可4624件(30.6%)
・物件特定不可・調査中等7998件(52.9%)

次に、地域別の許可状況です。

(1)大都市圏中心都市
・許可150件(1.8%)
・無許可2692件(32.8%)
・物件特定不可・調査中等5358件(65.3%)

(2)上記以外
・許可2355件(34.0%)
・無許可 1932件(27.9%)
・物件特定不可・調査中等 2640件(38.1%)

実際のところ、許可しているかどうかは行政への届け出をしていればすぐに分かります。
そのため、上記の「物件特定不可・調査中等」は無許可物件が大半でしょう。大都市圏では、ほぼ全ての物件が無許可で運営していたということです。

訪日観光客は増加

民泊新法
一方、民泊は訪日観光客の増加に伴う受け皿(=宿泊場所)として期待されています。訪日観光客は2020年に4000万人を目指して、以下のように順調に推移しています。

・2014年:1341万人
・2015年:1974万人
・2016年:2404万人
・2017年:2869万人

また、2018年4月までの統計では単月で2017年を上回っており、このペースが続くと2020年に4000万人という目標も不可能な数値ではありません。言い換えると、民泊ニーズは高まる可能性が高いとも言えます。

民泊新法におけるマンションの管理規約

次に、民泊新法においてマンションの管理規約をどのように見直すべきか? という点を以下で解説していきます。

・管理規約と民泊の関連性
・管理規約の文言の変更
・留意点の提示

マンションの管理規約の設定・変更・廃止は、区分所有者及び議決権の3/4以上が必要な特別決議によって決まります。賃貸マンションなどは全住戸が同じオーナー(所有者)の場合もあります。その場合は、オーナー側が一方的に規約変更することも可能です。

●管理規約と民泊の関連性
マンションの管理規約と民泊は、「マンション標準管理規約」の第12条が関係してきます。「マンション標準管理規約」の第12条は、「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」という文言です。

つまり、第12条に「専有部分(室内)をどのような用途として利用するか?」が記載されるため、その文言によって民泊という用途に利用して良いか否かを決めることができるのです。

●管理規約の文言の変更
具体的には、第12条の文言に以下を追記します。
「区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる(又は、してはならない)。」

上記の、「住宅宿泊事業法第3条第1項」及び「同法第2条第3項」とは、行政に届け出をして民泊運営をするということです。つまり、上記の文言で住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊運営がOKかNGであるかを明確にできるのです。

●留意点の提示
また、全て一様に民泊を禁止するのではなく、以下のように条件によっては民泊を認める、もしくはさらなる規制を加えた文言にすることも可能です。
・家主居住型のみOK
・民泊新法で民泊運営するのであれば管理組合への届け出を求める
・民泊を禁止し、さらに広告への掲載も禁止する

家主居住型とは、そこに住んでいる人がいる状態での民泊です。つまり、ホームステイのような形態であり、ほかの居住者に迷惑が掛かりにくい状態になるので、そのケースだけは民泊を認めるということです。

また、民泊を認めていたとしても、そのマンションが独自に民泊に関する届け出を求めるというルールにすることもできます。逆に、民泊を禁止にし、さらに広告への掲載も禁止するという、さらなる規制をすることも可能です。

マンションの管理規約は見直すべきか?

民泊新法
結論から言うと、マンションの管理規約は見直すべきです。民泊をOKにするかどうかはマンションによって判断が分かれますが、以下の点に留意しましょう。

・民泊NGかどうかを明確にする
・民泊OKの場合は問題点を理解する
・管理組合が行うこと
・行政のヘルプもある

●民泊NGかどうかを明確にする
まずは、そのマンションでの民泊がNGかどうかを明確にすることが重要です。前述のように、残念ながら現状で違法民泊をしている物件は多く、何かしらのトラブルに発展しているケースもあります。従って、入居者への周知のためには、管理規約で明確に示しておくことが重要です。

●民泊OKの場合は問題点を理解する
そもそも、民泊をNGにするかを判断する理由は、民泊をOKとすることに以下のような問題点があるからです。
・不特定多数の出入りがある
・共用部の使い方が悪くなることがある
民泊の宿泊者は入れ替わるので、不特定多数の出入りが生じます。さらに、民泊の利用者には外国人も多く、民泊物件以外の入居者である日本人とは文化や生活様式が異なります。そのため、夜遅くまで騒いだり非常識なことをしたりと、ほかの入居者とのトラブルを招く可能性があるのです。

また、マンション内で決められている共用部のルールを守らない民泊者も予想されます。例えば、ゴミ出しの日でない日にゴミを出したり、共用部で食事をしたりなどです。このような近隣住民とのトラブルを含め、マンション内の環境が悪化するという問題点があるので、民泊をNGにするかの判断をする必要があるのです。

●管理組合が行うこと
管理組合で行うことは、総会などを開き相談することです。賃貸のマンションの場合にも、入居者への通知などを行い理解してもらうことが重要になります。民泊新法による民泊が始まるのは間もなくです。そのため、なるべく早くマンションとしてのスタンスを明確にし、明文化しておきましょう。

●行政のヘルプもある
マンション内やオーナーだけで判断がつかない時には、行政からのヘルプを利用しましょう。例えば、神奈川県では、「一級建築士・マンション管理士・弁護士等、マンション管理の専門家によるマンション管理組合への相談会」を実施しています。

このような専門家に相談することで、的確なアドバイスをもらえることもあります。全ての自治体で実施しているとは限りませんが、行政窓口で確かめてみる価値はあるでしょう。

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