【後編】留学は究極のアクティブラーニング!海外で問題解決力を磨く「トビタテ!留学JAPAN」とは

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トビタテ!留学JAPAN
2013年に文部科学省がスタートさせた、初の官民協働留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」。
レオパレス21も支援企業として名を連ねるこのキャンペーンについて、前編では、社会機運醸成PRチームリーダー である西川朋子氏(写真右)に設立の背景や従来の海外留学支援制度との違いを伺いました。
後編では、プロジェクトディレクターの船橋力氏(写真左)にも加わっていただき、官民協働プロジェクトにおける支援企業様との関わり方を中心に話を伺っていきます。

「トビタテ!留学JAPAN」派遣留学生の7割が民間企業に就職、その内の4割は支援企業へ

Q:2017年6月現在で支援企業・団体は209社に上りますが、支援企業からの反響はいかがですか。

船橋:実際に渡航数が大学生2440人、高校生1315人となって、成果報告会でも一人ひとりが自分のテーマと対峙して解決しようと懸命に取り組んできた成長過程が見て取れますから、こうした実績があることへの評価は高いですね。これからの時代は社会問題がますます複雑化して、多様な価値観を持つメンバーでチームをつくって解決していく時代ですし、企業側の方々もそれを実感され始めています。ですから、このプロジェクト派遣留学生である「トビタテ生」のように様々な専門性を持ち、世界中の国々で人脈を築いてきた人材に対して、日本のため、あるいは自社のためにも財産となると感じていただけるのでしょう。

実際のところ、約500人のトビタテ派遣留学生が社会人になりましたが、7割が民間企業に就職し、その内の4割が支援企業様に入社しています。

西川:これは、私たち事務局がマッチングしているわけではなく、自然な流れですね。学生は採用面接で留学経験を話す際にも、「トビタテ!留学JAPAN派遣留学生」とは特に伝えなかったりもしますので、このプロジェクトによって日本の企業が求めるような人材が育っているからこその結果だと分析しています。

ただ、支援企業様には留学生の選考委員を務めていただいているほか、留学前後に行う研修の会場として自社スペースのご提供や、留学の目的・計画を明確化し経験してきたことを言語化して行動に結びつけるための講演やセッションなども行っていただいています。こうした出会いの場を設けていくといったサポートには、事務局として今後も力を入れていきたいですね。

船橋:留学生の選考会は80社から各社1名ずつ、人事担当の方が一堂に会して行われるのですが、「新鮮で、視野が広がる」といった趣旨のことをよく言われます。つまり、各々の企業様の採用活動では、その会社のカラーに近い学生しか集まらない、もっと言えば当の学生自身も、希望する会社の雰囲気に合わせた振る舞いしか見せない可能性もあるわけです。しかし、このプロジェクトでは多様性を重視していますから、いろいろなタイプの学生が集まり、それを目にすることになります。そうすると、自社の採用活動においてもさらに視野を広げるべきではないかと気づかされるというのです。

Q:それは貴重な気づきと言えそうですね。支援を募るに当たって、企業にどのように支援する意義をメリットとして訴求していますか。

船橋:5つあると考えていて、まず1つ目はCSRとして社会的に大義のあるプロジェクトに参画していただけるという点です。そして、2つ目は広報効果です。
支援企業のロゴを掲載したポスターが全国の駅や大学などに掲示され、学生を応援してくれる企業として学生の目に触れています。3つ目にはそうした認知度向上や、選考会や事前・事後研修、帰国後の報告会などの学生との交流機会の提供を通じた採用効果、4つ目として税制優遇が適用になる点を御説明しています。5つ目はこのプロジェクトならではですが、学生との交流を通じ支援企業の社員の皆様を刺激し、育成する機会となることです。一部の企業からはプロジェクト事務局に出向していただいていますが、これも社内とは全く違う異文化の環境を社員に経験させる機会として好評です。

3年間の実績を経て最近では、実際に支援企業様から、「トビタテは留学を超えた人材育成プログラム」と言っていただいたり、留学生が井戸掘りから紛争解決、ジェンダー問題、AI・ロボットといった最先端テクノロジーの開発など多岐にわたる社会課題を留学テーマとしている点を評価して「トビタテは世界規模の課題解決プロジェクトだ」と言っていただいています。

留学は、問題解決力を鍛える24時間360度のアクティブラーニング

トビタテ!留学JAPAN
Q:プロジェクトは4年目ですが、多くの学生と触れ、海外に送り出して、今の若者にポテンシャルを感じられますか。

船橋:情報と学習能力の点では皆一様に高い能力を有していると思います。学校教育も以前とは違って総合的学習になっています。従来の暗記、詰め込み型ではなくて、課題を実践的に解決しながら学んでいくアクティブラーニングが主流なんですね。二極化しているのは問題意識ではないでしょうか。自分で課題を見つけて、その解決を図ろうという部分の意識です。

西川:国立大学でも平成33年度までにAO・推薦入試を全体の3割に拡大の意向であるなど、問題解決力を重視していく方向ですが、アクティブラーニングを教育現場で行っていくにしても、実はそれを教室でどうやって指導していくのかというのは難しい問題なのです。私たちは、留学そのものが24時間360度の空間におけるアクティブラーニングなのだと考えています。

Q:アクティブラーニング的な、実践的な機会に満ちあふれているということでしょうか。

西川:海外で決められた留学プログラムに参加するだけでも異文化体験ですが、「トビタテ!留学JAPAN」ではさらに現地でインターンやボランティア、フィールドワークといった実践活動を自分のテーマにおいて実践してくることを課しています。そうすると、そこではもう日本であれば信じられないような状況に陥ったりするんですね。

例えば、インターン先として申し込んでおいた企業に、直前になってキャンセルされることは日常茶飯事です。そうすると学生は、大学などの授業と並行して新たに自分を受け入れてくれる先を必死になって探すわけです。
アメリカの大学の研究室に入るので英語を勉強して現地に行ったら、実は研究室の学生が優秀な中国人ばかりで、プライベートでは中国語が飛び交い、コミュニケーションを取るのに慌てたという話もあります。空き巣、置き引きのようなトラブルも日常的で、それらをひとりきりでどう乗り越え、サバイブしていくかを経験することで、学生はひと皮むけてくるんですね。
日本での安心な生活という枠から踏み出してストレッチゾーンに入り込むことで、自身の可能性について根拠のある自信が身につくということです。まさに、24時間360度のアクティブラーニングで磨かれた賜物と言えるでしょう。
こうしたトビタテ式ともいえる留学スタイルを、今後、日本中の学校などに導入してもらえたらと考えています。

1万人がそれぞれ世界のリーダー候補10人とつながり、産業界から外交へ広がりを

トビタテ!留学JAPAN
Q:目標は2020年までに1万人を海外へということですが、その後の展開などはどのようにお考えですか。

船橋:支援企業様からは、この人材輩出の仕組みの継続を求められていますし、帰国後のトビタテ修了生のコミュニティーにも大いに可能性を感じていますから、何らかの形で続けていきます。運営も企業様からの寄附に加え、個人の方々からも募る仕組みを考えて、「あしなが育成会」や「ユニセフ」のように世の中全体で持続的にバックアップしていただけるスタイルを目指したいですね。例として、現在60兆円とされる遺贈マーケットにおいて、遺言信託での寄附を考える人が20%ほどいると言われています。実際に寄附するのは0.1%に留まりますが、これは寄附先が広く知られていない現状のためなのです。この周知を広げて、日本の未来のために、あるいは地域のためのレガシーにしていきたいですね。

実は、2016年4月の熊本地震の2ヵ月後に、福岡で個人の方々にトビタテへの寄附を呼びかけるプレゼンテーションの機会がたまたま予定されていました。地震の直後というので延期やキャンセルも検討されましたが、私自身、東日本大震災後の東北の復興支援にも携わってきた経験から、生活復旧のための支援に加え、この地域を何とかできる人材の育成こそ切望されるという実感を持っていました。そこで福岡では、熊本の復興支援のための人材を留学を通じて一緒に育てませんかとお話をした結果、予想以上のご賛同が得られました。このように、地方や地域でも切実に必要とされているのは、人材なのです。

トビタテ派遣留学生のコミュニティーの運営も強化していきます。1万人の全員が若いうちの留学経験を持ち、多様な専門性を持つといった団体は、日本にも世界にも例を見ません。しかも、留学する学生には、現地で少なくとも10人の将来のリーダーと友人になってくるように言っています。そうすると、1万人の留学生が、世界の10万人の同世代のリーダーとつながることになります。これが継続していけば、外交や安全保障の観点からも貴重なネットワークとなり得ます。コミュニティーやネットワークと言うと、ふんわりと漠然としたイメージを持つかもしれませんが、アクティブな「自立心」「個性」「行動力」を持ち合わせた人材の固まりです。全国で学生による同窓会支部もできつつありますから、支援企業の力も借りながら、これまで以上にこのコミュニティーの運営、活発化には力を入れていきたいと考えています。

(プロフィール)
トビタテ!留学JAPAN
プロジェクトディレクター
船橋力
横浜生まれ、アルゼンチン、ブラジル育ち。
1994年上智大学卒業後、伊藤忠商事株式会社に入社し、ODAプロジェクトを手掛ける。
2000年、株式会社ウィル・シードを設立し、企業と学校向けの体験型・参加型教育プログラム提供事業を携わる。
2009年世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーに選出。
2011年一般財団法人教育支援グローバル基金Beyond Tomorrow代表理事に就任。
2012年NPO法人TABLE FOR TWO International理事に就任。
2013年より「トビタテ!留学JAPAN」プロジェクトディレクターとして同プロジェクトを取りまとめ、牽引している。

トビタテ!留学JAPAN
社会機運醸成PRチームリーダー
リーダー
西川朋子
大学卒業後、留学情報メディア運営会社の経営に携わった後、PR・マーケティング代理店トレンダーズ株式会社でプランナーとして新規事業立ち上げ等の経験を積む。ITベンチャー企業株式会社ココナラの広報を経て、2014年から「トビタテ!留学JAPAN」プロジェクトチームに参加。

トビタテ!留学JAPAN
http://www.tobitate.mext.go.jp/

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