プレミアムフライデー導入の効果は?働き方改革への影響を考える
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しかし、実際に導入する企業は少なく、仕事量の多い「月末金曜日」という設定には無理があるという声も上がっているようです。
プレミアムフライデーの導入によって働き方は変わったのか、働き方改革の効果をまとめます。
働き方改革プラス消費活動への刺激が大命題
経済産業省を中心に構成されるプレミアムフライデー推進協議会の公式ホームページで示されている過ごし方は、「ちょっと長めの休日で普段は行けない『2.5日旅』へ」「大切な人と夕方からゆっくり『アーリーディナー』」「平日昼間にゆったり贅沢『午後ブラショッピング』」「昼からたっぷり『アフター3エンタメ』を楽しもう」「家族でそろって料理を作って『午後パー』しよう」「月末金曜日は、うちの会社もみんなで『早あがり』」といったもので、そうした過ごし方に向いた、各企業・団体が提供するサービスが紹介されています。
このプレミアムフライデーでは、働き方改革の推進に加え、消費活動の促進も大きな目的です。各地の商業施設などにイベントやキャンペーンを企画してもらい、ショッピングや外食、旅行といった幅広い分野における消費を喚起する、というのが大命題なわけです。ですから、主にサービス業では消費に結びつきそうなイベントを提供するとともに、製造業などそれ以外の業界の会社では従業員に早い時間からの退社を促して、できれば消費活動を行ってもらうというところまでが本来の目的なのです。
プレミアムフライデーを利用できれば、約9割の人が豊かな時間を過ごせたと実感

4月末のプレミアムフライデー実施を受けての実態調査でも、早期退社に取り組む企業数は、2月時に比べて3倍以上の410件となっています。業種では製造業、IT、建設・不動産の上位3つで半数強を占めますが、100人未満の企業が増えて約半数になるなど、決して大企業だけで取り入れられているのではないという状況が垣間見えます。
プレミアムフライデーを利用した人の声としては、9割近くが「豊かな時間を過ごすことができた」といった満足の評価です。家族と過ごした人が4割以上、20代は国内旅行、30代はショッピング、40代はスポーツ、50代は映画・音楽鑑賞など世代ごとに過ごし方にも特徴が見られるようです。ただし、「家でゆっくり過ごした」という声も多く、消費活動に直接どれだけ寄与したのかはやや疑問が残ります。
また、消費喚起を狙って給料日後の週末に設定されたわけですが、初回の2月は月の日数が少なく、3月は年度末、4月は大型連休の直前と、総じて多くの職場が普段よりも忙しく、タイトなスケジュールで動いているタイミングであったこともあり、時期の設定に無理はなかったかとう点も問題視されました。職種で見ても、営業や経理など月末近くは忙しいのではという声も無視はできません。つまり、利用できれば満足を得られるプレミアムフライデーですが、広く利用されるための環境整備こそが重要と言えそうです。
早帰りで自分の時間、家族との時間の価値に気づくことが働き方改革の促進へ

上記の実態調査では「プレミアムフライデーに参加できるようになるために必要なこと」も聞いています。その答えは、勤務する会社の「経営層の意識改革」55.7%、「上司など管理職の意識改革」36.2%と上層部や管理職の意識が変わることが求められています。次いで「社員の働き方の改革」33.4%、「フレックスタイム/テレワークといった柔軟な働き方の拡大」29.3%と仕事のシステムの工夫や業務効率アップへの取り組みの必要性が感じられる結果となっています。これはそのまま、働き方改革を自分事として考えるきっかけになりそうです。
「早く帰ることで、ちょっと良い時間を過ごせた」、そんな実感を持つ機会が少しでも増えれば、日々の業務を効率化して、日頃からわずかずつでも早く帰れるようにしたいと心掛ける人が増えることでしょう。そこまで到達すれば、プレミアムフライデーが働き方改革の一助になったと言えるかもしれません。
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