【後編】生涯自立した生活を! 介護現場で活躍する「マッスルスーツ」の今と未来

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株式会社イノフィス(以下イノフィス)が開発、普及に取り組むウェアラブルロボット「マッスルスーツ」は、現在様々な介護の現場で活躍しています。

後編では、前編に引き続き代表取締役社長の古川尚史CEO(写真右)と、企画部広報担当の森山千尋さん(写真左)に「マッスルスーツ」の導入事例や反響、今後の展望について話を伺いました。

「マッスルスーツ」開発に当たって

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Q:「マッスルスーツ」の開発時に苦労された点などはありましたか。

古川:東京理科大学の研究室と製造現場である工場、そして私どもイノフィスという産学連携で「マッスルスーツ」を含めた製品をつくっているのですが、実際にでき上がった商品をユーザーに使ってもらう体制をつくり上げるのには苦労しました。私自身が製品の開発や製造に携わっているわけではありませんが、色々な人の協力を経て、世の中で使っていただけるような商品を実現させていくというプロセスが、たいへんではありますが逆に楽しくもありました。

Q:「マッスルスーツ」はどのような現場で活用されているのでしょうか。

古川:現在、「マッスルスーツ」は介護現場だけでなく、工場や物流・農業・建設といった様々な現場で活用されています。介護現場でも、もともとは主に人を抱えたり移動させたりする際に活用されていましたが、今ではおむつの交換や寝たきりの方の体勢を変える時など色々なシーンで「マッスルスーツ」が使われています。

Q:「マッスルスーツ」に使用条件などはあるのでしょうか。

古川:気温マイナス5〜50℃を「マッスルスーツ」の使用条件として設けていますが、今後はもっと寒い環境で使用できる製品の試験も実施していく予定です。また、「マッスルスーツ」の構造上、使用するにはある程度の身長が必要になります。ただ、身長制限とは言っても大体120cm以上ある方なら基本的に装着可能なので、一般成人の方なら問題ないと思います。「マッスルスーツ」は、2サイズ展開しており、男女問わずご使用いただけます。

Q:「マッスルスーツ」の反響について教えてください。

古川:ちょうど自転車に乗るのと同じで、「マッスルスーツ」も使い慣れるまでに少し時間が掛かります。見慣れないせいもあってか、最初はユーザーの方に小首をかしげられることもありますが、長く使っていただくにつれ、「作業が楽になった」という声だけでなく、「休日よく眠れるようになった」「身体の疲れが減った」といった声もいただいています。「マッスルスーツ」を装着することで劇的に速く動けるようになるというわけではありませんが、普段の作業が楽になるだけでなく、作業による疲れの蓄積量が違うという面でも好評をいただいているようです。

森山:弊社では、自社で直接「マッスルスーツ」の販売をしていますし、代理店での販売も行っています。実際に装着して試していただけないと、「マッスルスーツ」でどのようなことができるのか、どのくらい作業が楽になるのかなどを理解してもらえないと思うので、現在は介護や建設・農業など色々な業界の展示会に出品したり、ショッピングモールなどで試着してもらう機会も設けています。

Q:現時点で課題などありましたら教えてください。

古川:現在、「マッスルスーツ」1体当たりの販売価格は70万円程となっています。企業だけでなく、家庭で介護を行っている個人の方からも「マッスルスーツを購入したい」というお問い合わせが多く寄せられているのですが、購入費用の高さがネックとなってしまっているのが現状です。今後は個人のお客様に気軽に購入していただけるようコストダウンを図っていきたいと思っています。また、さらなる軽量化やサイズダウンも課題として考えています。

生涯自立した生活を実現するために

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Q:最後に今後の展望についてお聞かせください。

古川:例えば先に述べた東京理科大学の研究室では、「マッスルスーツ」とともに、自力で動くことが困難な方のための歩行支援機器の開発も行っています。こちらは、現在研究室で公開されており、実際に身体に麻痺のある方などに訓練で使用していただいています。

寝たきりになると、体力の低下や、心臓や肺の機能低下を招く危険性があります。しかし、寝たきりの方が立ち上がるという行為を行えるようになると、心肺機能の回復が見られるほか、筋力アップにもつながり、身体に良い影響をもたらすことが分かっています。また、この歩行支援機器により、長く寝たきりだった方が自分の足で立って歩く、そのような姿を見ることができるということで、ご家族の方からも喜びの声をいただいています。

将来的にはこうした歩行支援機器も医療機器として販売していきたいと思っています。また、「マッスルスーツ」に関しては、今後、腕の補助も可能にした新しいモデルの販売も開始する予定です。

森山:「マッスルスーツ」の利用シーンが拡大していく中で、これからもっと色々な人に役立てていただくために、この「マッスルスーツ」とイノフィスをどんどん世に広めていきたいです。まずは「マッスルスーツ」を知っていただくために、介護や農業、物流といった各業界の展示会への出展をはじめ、メディアに向けた情報発信など、様々な角度から広報活動や販売活動に力を入れていきたいと思っています。

(プロフィール)
株式会社イノフィス
代表取締役社長CEO
古川 尚史

1995年日本銀行入行。その後、2000年から約2年間、ボストン・コンサルティング・グループに勤務した後、不動産投資ベンチャー企業を創業、代表取締役社長を務める。2004年よりベンチャーの経営支援に携わり、2007年から2015年には経営共創基盤(IGPI)でディレクターを務める。サンバイオ株式会社執行役員を経て、2017年より現職。
趣味は、ボード、スノーボード等。

企画部
広報担当
森山 千尋

2018年入社。
趣味はフラメンコ。

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