【後編】世界最先端の低炭素へ東京都の環境に対する取り組みとは『家庭の省エネ対策を積み重ね、気候変動対策を目指す〜東京都環境局〜』

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世界有数の大都市、エネルギーの大消費地としてCO2を排出しない環境先進都市「ゼロエミッション東京」の実現を目指す東京都。
前編ではCO2排出の多くを占める運輸部門、中でも自動車を通じての環境への取り組みを伺いました。
後編ではそのほかの取り組みとして東京都環境局が行っている気候変動対策と家庭の省エネ対策について、地球環境エネルギー部計画課長(統括課長)の阿部泰之氏に伺います。

東京都全体の省エネが消費量21%減を達成する中、家庭においては2.1%減に留まる

Q:世界の気候変動対策における都市の役割を教えてください。また、その中で東京都には何が求められるでしょうか。

A:気候変動は、温暖化によってもたらされます。そこで、2015年に採択された「パリ協定」では、産業革命前からの平均気温の上昇を2℃未満に保つこと、1.5℃未満に抑える努力をすることが明記され、今世紀後半には温室効果ガスの排出を実質的にゼロにする目標が掲げられています。

そして、世界の温室効果ガスの7割は都市で排出されています。ですから、東京のような世界有数の大都市、エネルギーの大消費地が、世界に対して果たすべき役割は大きいわけです。そのため、東京都が2000年から2030年までに掲げる削減目標は、温室効果ガス排出量で30%、エネルギー消費量で38%という意欲的なものになっています。それを「産業・業務」「家庭」「運輸」の各部門ごとに目標として置き、それぞれの対策に取り組んでいます。

Q:今までのところ、削減目標に向けてどのように推移しているのでしょうか。

A:都内の事業者や都民の方の省エネ努力により、エネルギー消費量は2000年から2015年時点で約21%減少できました。運輸部門の取り組みについては前編でお伝えした通りですが、工場やオフィスビルなど産業・業務部門のうち大規模事業所に対しては、東京都として削減義務を課しています。そして、これを達成するために「キャップ&トレード制度」を導入しています。自らの事業所での削減対策に加え、排出量取引で他の事業所の削減量を調達することにより、経済的手法も使い、省エネ対策を合理的に推進できる制度で、部門として削減目標に大きく貢献しています。

実は東京都の特徴として、オフィスビルをはじめとする業務部門での数が多く、消費エネルギーも全体の約4割を占めるため、その対策が特に重要なのですが、業務部門にも適用させるとする都市型の「キャップ&トレード制度」を運用したのは、日本や世界でも初のことで、海外からも高く評価されています。

ただ、家庭部門についてはエネルギー消費量の減少が2.1%に留まっています。そこで、家庭で使用している設備の省エネ性能を高める施策や、設備の使い方の工夫による省エネを推進する方向で取り組みを進めているのです。

断熱リフォームで最大50万円の補助制度やLED電球推進で省エネ気運を高める

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Q:家庭の設備の省エネ性能を高める施策というと、どのようなものですか。

A:窓の断熱リフォームに助成金の利用ができます。内窓の取りつけや窓自体を複層ガラスに、あるいはサッシまで断熱性能の高いものに交換するといった工事ですね。国の同様の制度では家屋全ての窓工事に対してのみに限られますが、東京都ではより利用しやすく、1部屋からでも申請可能としました。ですから、南側の大きい窓だけ、日中長く居るリビングの窓だけ、といった使い方もできます。

助成金額は、1戸当たりで対象経費の1/6以内、最大50万円で、国の補助金との併用も可能です。リビングなどの大きな窓で工事費目安は30万円程度ですから、1/6だと5万円くらいです。一度、自宅窓で試算してみてはいかがでしょうか。断熱により冷暖房効率が上がるので、その後の光熱費の大きな節約にもつながります。冬場の冷気を抑えやすく、窓も結露しにくくなるので、お手入れも楽でしょう。

対面でのご相談は、新宿NSビルにあるクール・ネット東京という東京都の外郭団体で可能なほか、都庁でもご案内しています。

Q:白熱電球からLED電球へ交換するキャンペーンも行われていますね。

A:「家庭におけるLED省エネムーブメント促進事業」です。昨年の7月からご家庭の白熱電球2個以上を地域の家電店に持参するとLED電球1個が提供する事業を実施していました。また、この8月15日からはより使いやすい仕組みとして、白熱電球や電球型蛍光灯1個を持参いただければ、LED電球1個を提供する事業も始まります。こうした機会にぜひLED電球の省エネ効果を実感していただき、ムーブメントとして広がっていけばと考えています。

実際、東京都が公表している試算では年間の電気代が白熱電球2808円に対し、LED電球なら416円と1/6以下に、寿命は1000時間に対し、4万時間と40倍です。肝心の電気使用量については、白熱電球の年間108キロワットに対し、LED電球は16キロワットと、こちらも1/6以下です。つまり、電気代を意識することは、そのままエネルギー消費量の削減に貢献していただくことになるのです。

Q:LED電球は、高価なイメージもありますが。

A:東日本大震災後の省エネ気運で注目された頃には、1個3000円ほどしたかもしれません。最近は標準的なもので1500円から2000円くらいで、家電量販店では目玉商品としてセールになることもよくあります。各店のポイントなどを貯めて入手をチャレンジしてみても良いかもしれませんね。

1500〜2000円の購入費用が掛かっても、最初の1年の使用で電気代が2000円ちょっと節約できれば元が取れてしまいますし、寿命が長いので交換の頻度も少なくて済みます。高齢世帯やひとり暮らしの方にもおすすめしたいですね。

電気代をいくら節約できるか。小さな工夫と意識づけで、家庭のエネルギー消費削減を

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Q:家庭での省エネに役立つ設備の使い方について教えてください。

A: エアコンは目詰まりしやすく、吸気量が低下すると冷暖房効果が大きく損なわれます。
月2回はフィルター掃除を心掛けると良いですね。風の向きも冷房時は上向き、暖房時は下向きにすると空気循環が促進されて効果的です。また、エアコンは立ち上げ時から設定温度に達するまでに電力をかなり使い、その後は比較的少ない電力で室温を保つものなので、こまめなオンオフは実は逆効果かもしれません。ちょっとコンビニになど30分程度の外出なら、時間帯によればつけっ放しのほうが省エネになる場合もあるようです。

冷蔵庫の設定温度も庫内のつまみで簡単にできるものですが、夏は「中」、それ以外の季節は「弱」で十分です。扉の開け閉めを手早く行うことや、熱いものは冷ましてから入れるといった工夫も良いですね。

ひとつのレバーで水量や温度調整をするシングルレバー混合水栓の使い方も要注意です。レバーをつい正面にしがちですが、そうすると温水が混じり、余計な加熱がエネルギーを消費してしまっている可能性があるのです。夏場など水道管が熱くて水がぬるいと思いがちですが、違います。お湯が必要ない時は、最も右側にして使う習慣を身につけましょう。

Q:家庭でもできる工夫が色々とあるものですね。

A: 東京都ではこうした工夫を取りまとめた「家庭の省エネハンドブック」をつくって、環境展のようなイベントや省エネセミナーなどでも広報に努めています。生活協同組合パルシステム東京や東京ガスなどの団体に協力いただき、省エネアドバイザーが訪問して、それぞれのご家庭ごとに適したポイントをアドバイスすることも無料で行っています。

東京都では高齢者や学生などひとり暮らしの世帯が増えています。そうすると、エアコンや冷蔵庫などもひとり1台で使われることとなり、東京都全体のエネルギー消費量を上げることにつながってしまうのです。省エネ家電への買い替えは効果的ですが、タイミングはそれぞれでしょう。誰でも今すぐ始められる、家電や設備の使い方の工夫をぜひ考えていただければと思います。

(プロフィール)
東京都環境局
地球環境エネルギー部
計画課長(統括課長)
阿部 泰之

1994年入庁。環境局の前身である清掃局を皮切りに、農業や中小企業の振興に当たる産業労働局などを歴任。2010年から2012年には、2008年に開設された「東京都地球温暖化防止活動推進センター(愛称:クール・ネット東京)」の2代目センター長として、省エネ活動の普及・広報にも注力。2018年より現職。

東京都環境局 地球環境・エネルギー 家庭における対策
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/climate/home/index.html

クール・ネット東京 既存住宅における高断熱窓導入促進事業
https://www.tokyo-co2down.jp/individual/subsidy/koudannetu/index.html

クール・ネット東京 家庭におけるLED省エネムーブメント促進事業
https://www.tokyo-co2down.jp/individual/ecoother/LED-family/20170622/renew_tomin/index.html

クール・ネット東京 家庭の省エネ対策(ハンドブックPDF)
https://www.tokyo-co2down.jp/individual/ecoother/home/index.html

家庭の省エネアドバイザー制度 申込方法
https://www.tokyo-co2down.jp/individual/eco/home/application/index.html

東京都のキャップ&トレード制度
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2016/11/04/10_01.html

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