女性取締役、起用の促進への一手! 金融庁が進めるダイバーシティ推進の狙い

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金融庁による「コーポレートガバナンス・コード」の改訂では、女性取締役がいない上場企業に対して投資家に説明を求めることで、女性取締役の起用を促進するダイバーシティ推進策が盛り込まれました。女性取締役の起用を進める背景や日本企業の実情などについて、解説していきます。

「コーポレートガバナンス・コード」の改訂で求められる女性取締役の起用

2018年6月1日に、「改訂コーポレートガバナンス・コード」が施行されました。女性取締役の起用の増加を進める政府の方針によって、取締役会の構成に関して「ジェンダーや国際性の面を含む多様性」を求める規定が盛り込まれています。「コーポレートガバナンス・コード」とは、上場企業が守るべき行動規範で、金融庁と東京証券取引所が取りまとめたものです。

さらに、「コーポレートガバナンス・コード」の実効性を高めるために、機関投資家と企業が重点的に対話をすることが期待される事項として新たに「投資家と企業の対話ガイドライン」が策定されています。そこには、取締役会が「ジェンダーや国際性の面を含む多様性を十分に確保した形で構成されているか、その際に取締役として女性が選任されているか」という内容が盛り込まれました。

「コーポレートガバナンス・コード」「投資家と企業の対話ガイドライン」ともに強制力はありません。しかし、上場企業が「コーポレートガバナンス・コード」の原則を実施していない場合には、説明を求められるとされています。そのため、今後は上場企業が女性取締役を起用していない場合、決算説明会や投資家向けIR説明会などにおいて、株主や投資家から女性を起用していない理由を説明するように求められることが想定されます。また、理由もなく「コーポレートガバナンス・コード」に違反している場合には、東京証券取引所への改善報告書の提出、あるいは公表措置、上場契約違約金の支払い措置の対象になるおそれもあるのです。
「コーポレートガバナンス・コード」の改訂によって、上場企業は女性取締役の起用が急務となりました。

世界に後れを取る日本企業

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政府が女性取締役の起用の促進によるダイバーシティ推進策を図っているのは、世界の主要国と比較して、日本企業の女性役員の割合が著しく低いことが背景にあります。

内閣府男女共同参画局の「女性役員情報サイト」(※)に掲載されているデータによると、2015年の主要国企業の女性役員の割合は、ノルウェー38.7%・フランス34.4%と3割を超え、ベルギー・デンマーク・イタリア・オランダ・イギリス・ドイツも20%台となっています。アメリカはやや少なく、17.9%です。一方、日本企業の女性役員の割合は、2015年時点でわずか2.8%、2017年でも3.7%と微増に留まっています。2012年からの5年間で約2.4倍に増えているとはいえ、女性役員の起用が進んでいるとは言い難い状況です。
http://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/yakuin.html

政府は2015年12月に閣議決定した第4次男女共同参画基本計画で、2020年までに上場企業の女性役員の割合を10%以上にすることを目標に掲げています。それに先んじて、2013年4月には安倍首相が経済界に「役員にひとりは女性を登用すること」を要望しました。また、2015年からは有価証券報告書に女性役員比率を記載することが義務づけられています。「女性役員情報サイト」では、上場企業の業種別の女性役員の比率や、企業ごとの女性役員の数が公表されています。

こうした一連の女性役員起用の促進策のひとつとして「コーポレートガバナンス・コード」に、取締役会の構成において「ジェンダーや国際性の面を含む多様性」を求める規定が盛り込まれるに至ったのです。

女性取締役の起用は国際的な流れ

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諸外国でも企業が自発的に女性取締役の起用を推進してきたわけではなく、国の主導によって進められてきました。ノルウェーでは、2003年にクォータ制が法律で定められ、2008年までに取締役の4割を女性にしない一定規模の企業は閉鎖に追い込まれるという強制力のあるものでした。制度内容の違いはありますが、クォータ制はフランスやドイツなどでも導入され、フランスでは一定の割合の女性役員を起用していなければ、罰金が課されます。

日本では「コーポレートガバナンス・コード」の原則が実施されていなくても説明責任を求められるという緩やかなものですが、女性取締役の起用を進めるのは国際的な流れです。安倍政権は日本企業の国際競争力を高めるため、金融庁とともにコーポレートガバナンスの強化に取り組んできました。外国人投資家からの投資を呼び込むためには、女性取締役の起用をはじめダイバーシティの推進が不可欠になってくるのです。

女性取締役の起用を進めていくには、まず、女性管理職の人数を増やすことが必要です。そのために、女性が結婚や出産後も働きやすい仕組みづくりをしていくことが、これまで以上に求められていくでしょう。

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