労働生産性は日本の約1.5倍! デンマークを働き方改革の指標に

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デンマークは年間の労働時間が1410時間と日本の8割程度です。一方で労働生産性は日本の約1.5倍と、日本政府が進めている働き方改革の手本になる国です。
なぜ、デンマークの労働時間は短く労働生産性は高いのでしょうか。
デンマークの労働関係の法整備や多くの企業で導入されているフレックスタイム制について解説するとともに、デンマークの働き方にも触れていきます。

労働時間は日本の8割程度で労働生産性は約1.5倍

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公益財団法人日本生産性本部がOECDのデータをもとにまとめた労働生産性の国際比較では、2016年の日本の時間当たり労働生産性は46ドルです。これは、OECDに加盟する35ヵ国中20位と低い水準です。また、ひとり当たりの労働生産性を見ても、8万1777ドルで21 位となっています。

一方、デンマークは時間当たりの労働生産性が70.4ドルで5位、ひとり当たりの労働生産性は10万491ドルで11位です。また、OECDの2017年のデータを見ると、年間の労働時間は日本が1710時間なのに対して、デンマークは1408時間でした。したがって、デンマークは、日本の8割程度の労働時間で約1.5倍もの生産性を上げていることになります。

デンマークはOECDの「ワーク・ライフ・バランスの評価が高い国ランキング」でも、オランダに次ぐ2位で、日本は下から5番目です。働き方改革で長時間労働の是正などを進めている日本にとって、短い労働時間で効率良く働くというスタイルのデンマークは、お手本となる国と言えるでしょう。

時間外労働を含んだ労働時間の規制とフレックスタイム制の浸透

デンマークの労働生産性の高さの一端としてあるのは、労働時間の法規制のあり方と、フレックスタイム制の企業浸透です。

日本の労働基準法では、原則として法定労働時間は1日に8時間、1週間に40時間と定められています。法律上は、労働者の過半数で組織する労働組合、あるいは労働者の過半数を代表する者と36協定と言われる労使協定を締結することで、時間外労働が認められます。

一方、デンマークでは、日本の労働基準法の法定労働時間に当たるものはなく、労使間の基本協約により37時間と定められています。労働時間法の規制については、4ヵ月平均で1週間の労働時間が48時間以内(時間外労働を含む)です。夜勤の場合は、4ヵ月の平均で1日当たりの労働時間が8時間を超えることはできません。また、労働環境法により、24時間内に11時間の休憩を確保する、週に1回一昼夜の休暇を取得するといった規定もあります。

さらに、時間外労働に対する賃金が高いのも特徴です。日本では、法定労働時間を超えた場合の時間外労働賃金は通常の125%以上、深夜の時間外労働や大企業で時間外労働が60時間を超えた場合には150%以上とされています。デンマークの時間外労働に対する賃金は、労働協約によって週当たりの所定労働時間を超えた分か、1日当たりの所定労働時間を超えた分のいずれかですが、通常の賃金の150〜200%と高額です。また、時間外労働の分で休暇を取得することも選択できます。

法律で規制されている労働時間に残業時間も含まれていることや、時間外労働の高額な賃金が長時間労働の抑制につながり、業務効率化が図られていると考えられます。

また、デンマークの労働生産性が高いのは、ほとんどの企業でフレックスタイム制が導入されていることも要因のひとつです。多くの企業では始業時間と終業時間を変更することが可能な制度となっていますが、時間外労働の累積時間を1日や半日の休暇として取得できる企業もあります。

一方で、従業員が自律して職務を遂行する労働文化があることも、フレックスタイム制が浸透している背景に挙げられます。デンマークでは所定労働時間内で仕事を終わらせるという意識が強いため、効率的に仕事を進めていく文化が醸成されているのです。

子育てをしながら働きやすい国

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デンマークには、子育てをしながら働きやすいという労働環境があります。男女ともに6ヵ月の育児休暇の取得が可能で、企業に復職時は同じポジションに就けることを義務づけているのです。また、国が出生動向に合わせて保育園を整備しているため、日本のように待機児童の問題に悩まされることなく、安心して子どもを預けて働ける社会になっています。

さらに、デンマークでは働きながら子どもを育てるのが一般的であり、「子どもが病気になって急に仕事を休むのはお互い様」という共通認識があることも、働きやすさにつながっています。

デンマークの労働生産性の高さは、ここに挙げた以外の要因もあると考えられます。しかし、デンマークの労働時間のあり方などは、日本が働き方改革をする上で指標にできます。また、労働時間を短縮し労働生産性を向上させるためには、個人の働き方に対する意識改革が求められていることも忘れてはならないでしょう。

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