介護業界で定着率96%! 鍵を握るのは経営理念の浸透

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介護業界では離職率の高さが問題となっています。現に介護職員の離職率は16%を超えており、これは全業種の平均値を上回る数字です。そうした状況の中、リハプライム株式会社の従業員定着率は96%という驚異的な数字になっています。

なぜここまで定着率が高いのか、その理由としてリハプライムが実施している「従業員の待遇改善」、そして「経営理念の共有」という2点を挙げることができます。今回は、この2点の内容を見ていくことにし、特に理念の共有が大切な理由や同社の経営理念について詳しく解説します。

従業員の待遇改善に積極的に取り組む

まず、リハプライムの取り組みとして注目すべき点は、従業員の待遇改善です。リハプライムは2011年にデイサービスを提供する会社として開業しましたが、当初は同業他社と同じように従業員が定着しないという悩みを抱えていました。退職理由も他社と同じ「労働時間の長さ」や「仕事内容がハード」というものであり、やはり人員が少なく休みが取れないといった理由での離職が多かったようです。

介護職は他の業種と異なる

介護業界の仕事はノウハウが積み重なることで大きく収益が上がるわけではありません。例えば、製造業であれば受注数が増えるほどスケールメリットが発揮され材料費などを抑えることができ、収益アップも狙えます。しかし、介護業界の場合には「人」が行う業務なので、受注する案件が増えたからといってスケールメリットが活かせるとは限らないのです。

つまり、ノウハウが集積し規模が拡大したところで、収益が大幅にアップし、その分で人員を増やしたり賃金を上げたりといった図式にならないのが介護業界というわけです。これは、介護業界以外では保育サービス業界などにも同じことが言え、だからこそ同様の離職率の高さに結びついているのです。

リハプライムの手法

そこでリハプライムが取った手法は、従業員の待遇改善を目的とした以下のようなものでした。

・新店舗を開くことで余剰人員を削減
・給与やキャリアビジョンのヒアリング

当初は1店舗4名体制で運営され、そこに予備人員1名を抱えるという構成でした。実質1店舗5名体制ということです。そして、この体制こそが、従業員の労働時間が長くなっている原因でした。

そこで、リハプライムの社長は、それまでの自身の退職金とマイホームや金融資産を売り払った資金とで店舗数を2つに増やし、2店舗8名に予備人員1名、つまり実質9名体制にしたのです。この変化によってシフトが効率的に回るようになり、労働時間の削減につながりました。

また、給与について従業員一人ひとりの希望を聞き、昇給の希望が強い従業員には給与の高い施設長になれるよう、会社としてのキャリアビジョンを提示しました。通常なら、従業員自らがキャリアビジョンを描き行動するところを、会社も協力してくれるので従業員の満足度も高まったことでしょう。

また、介護業界では画期的であった、訪問件数に応じて報奨金が出るインセンティブ制度を導入するなど、従業員の待遇を少しでも改善しようと色々な施策が講じられています。社長自身が身銭を切って従業員に還元するという点も、従業員のモチベーションアップにつながったポイントでしょう。

経営理念の共有が従業員の定着につながる

介護定着率
次に、リハプライムの従業員定着率が高い最も大きな理由と言われている「経営理念の共有」について解説します。まず、リハプライムの経営理念は「敬護」です。介護ではなく「敬護」というのには、人生の大先輩を敬って護るという意味があります。高齢者を介護するのが介護職の仕事ですが、「敬護」は高齢者という人生の大先輩に対し、敬う心をもって接するということです。

理念の共有が大切な理由

多くの会社が経営理念を掲げていますが、単に掲げるだけでは従業員に浸透しません。理念を浸透させるには、経営者やリーダーが自らの行動で示す必要があります。経営理念はその会社の指針であり、DNAとして全従業員に受け継がれていくものです。

言い換えると、理念を共有できていない場合は、社内の全員がバラバラな方向を向いてしまい、従業員が仕事に臨むスタンスもそれぞれ異なってしまいます。そうなると、「敬護」という理念は単なる言葉になり、サービスにはバラツキが生じ、意思統一を欠いた従業員の間に亀裂が走ることにもなり兼ねません。そうした事態を招かないように、経営理念の共有をきちんと行い、全員が同じ思いで同じ方向を向いて仕事をすることが重要なのです。

理念をビジュアル化する

リハプライムが行った具体的な経営理念の共有方法は、ビジョンマップを作ることでした。これは、理念を言葉で理解するよりビジュアル化したほうが誰にでも分かりやすい、という考えから作られたものです。ビジョンマップでは、9つのマス目に分けた1枚の紙に、自分たちが理想とする写真やイラスト、そして目標や期限などを書き込みます。

それが会社の描く理想の風景をビジュアル化したものであり、迷った時や悩んだ時にはビジョンマップを見れば原点に帰れるということです。もちろん、その根底には「敬護」という理念があり、それを見るたびに自分たちの目指すべきものをリマインドできるのです。このような経営理念の共有が、リハプライムの従業員定着率96%という驚くべき数字の大きな理由と言えるでしょう。

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