東南アジアに進出する日本の水道整備事業! ミャンマーで日本企業、カンボジアで北九州市がそれぞれ展開

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2017年、日本の企業がミャンマーのヤンゴン市から水道施設の整備事業を受注したという報道がありました。また、同じく2017年に北九州市がカンボジアの水道インフラの整備を行うなど、日本の水道事業の輸出に注目が集まっています。

今回は、そんな水道インフラ事業に関して、経済成長が著しいミャンマーやカンボジアにスポットを当てて見ていくことにします。東南アジア地域はどのようなインフラ事情にあり、日本の民間企業や北九州市は何を行うのか、また将来的にどうなると予想されるのか、といった点を解説します。

東南アジアに進出する水道整備事業

まずは、北九州市や民間の大手企業K社が、それぞれ実際に東南アジアのカンボジア、ミャンマーに進出している事例を紹介します。東南アジア諸国は、経済成長が著しい地域です。総じて言えるのが、経済的に活況にあるこの地域において、日本はその高い技術力を活かし、各々の自治体や民間企業による水道などインフラ事業を海外展開させたいという方針が見て取れることです。

・カンボジアへの進出
2017年7月17日、「北九州市はカンボジアの首都プノンペンと上下水道分野の技術協力に関する覚書を締結」という報道がありました。プノンペンは「プノンペンの奇跡」と言われるくらいに急速な都市開発が進み、安全な水の確保をすることにも成功した都市です。

途上国の中で最も都市化に成功した都市のひとつとされるプノンペンですが、近年は水源となる川の水質悪化が進んでいるため、上下水道関連の技術向上や人材育成を課題にしていました。そこで、水道インフラの分野で優れた技術力を有する日本の北九州市に白羽の矢が立ったというわけです。

北九州市は、水質悪化した川以外からの水資源の確保や、水浄化に関する技術向上などをメインに支援します。また、川を汚染させないために「川にごみを捨てない」といった基本的な啓蒙活動を実施し、プノンペン市民の水に対する意識を高めていくことにも取り組む予定です。具体的には、他企業と連携して10名程度のスタッフを現地に派遣し、ガイドラインづくりをはじめとした実務を行います。

・ミャンマーへの進出
民間企業のK社は、2017年12月にミャンマーのヤンゴン市から水道施設の整備事業を受注したと発表しました。ポンプ場や水を消毒する施設、そのほか送配水管路などの建設を行い、安全な水を供給するための仕組みづくりに着手します。

ヤンゴン市はミャンマーの旧首都でありながら、水道普及率が上下水道合わせて40%と低く、水道インフラの整備が急務となっており、その分野で進んでいる日本の企業に依頼したという経緯です。具体的には、韓国の企業とともに送配水ポンプ場と消毒施設を建築し、送配水管路の整備をK社と日本の協力会社で行います。

ヤンゴン市は経済成長が進んでいる都市ではありますが、水道普及率が低かったり、設備が老朽化していたりする関係でインフラ整備が急務とされています。そのような中、K社は2025年3月にも供用が始まる約250億円規模の水道整備プロジェクトを展開予定であり、東南アジアでの事業を拡大させる方針です。

ミャンマーやカンボジアのインフラ事業

水道整備事業
言うまでもなく、「水」は人が生きる上で重要な資源であり、特に発展途上国では「安全な飲料の確保」は人々の生命につながる大問題です。世界では、未だに毎年180万人の子供たちが不衛生な水などが原因で命を落ちしており、水の確保は発展途上国が先進国へ進化するためには必須なことと言えます。

安全な水は豊かな生活に直結する

全な水を届けることは「子どもたちの就学率の改善」や「女性の社会進出」にも大きく関係しているのです。そして、途上国が発展していくには、この2点が非常に重要となります。

安全な水が確保できない地域では、川などからの水汲みという重労働が存在します。水がないと食事もままならないので、水汲みは1日も欠かすことのできない大事な労働として扱われ、途上国では多くの場合、水汲みの仕事は主に子どもや女性の役目になるのです。

そのため、水汲みに時間を取られる子どもたちは学校で勉強することができず、女性は家庭での仕事に追われて社会進出も容易ではありません。つまり、水道インフラの整備は単に水を供給して飲料水を確保するだけでなく、国の発展に必要な教育や労働力にも関連しているのです。

・カンボジアの成功例
さて、ここでカンボジアでの事例をピックアップします。多くの途上国の水問題は、まだ都市になりきれていない農村地方ではなく、むしろ産業が急速に発展し人口が過密した都市部にこそ深刻さがあるとされています。そのような中で、経済成長著しいカンボジアの首都、プノンペンの水道整備プロジェクトは、途上国の都市部における水対策の成功例として知られます。

プノンペンでは水道インフラが整備されたことで、蛇口をひねれば水をそのまま飲むことができるようになったと言われています。日本ではそれほど珍しいことではありませんが、東南アジアに行った経験がある人なら「水道水を直接飲む」という行為がいかに危険であるか分かると思います。これが、先に述べた「プノンペンの奇跡」です。

・日本の技術力
今まで見てきたような状況の下、北九州市やK社がカンボジアとミャンマーでそれぞれ水道インフラ整備の支援を行います。このプロジェクトは日本の技術力が高く評価された証明であり、成功すれば事業の未来にもつながっていくことでしょう。

例えば、北九州市では土地の高低差があるところでも、均一に水を供給する技術があります。水源から水をポンプで送る際には、当然ながら高低差があるほど送水しにくくなります。何の対処もしないと送水量に差が出てしまうため、ハイテクを駆使した水圧管理や節水機器などを開発し運用しています。

優れた技術力は北九州市のものだけでなく、東京でも距離2.6万キロ(約地球半周分)と言われる配水管があり、そこでの漏水率は僅か4%という精度の高さです。その技術力を、日本が東南アジアに輸出することで、地域の発展に役立ちますし、日本にとっても海外への新たな事業展開になるというわけです。

水道インフラ事業の未来

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さて最後に水道インフラ事業の未来について触れておきます。
今回題材にしたカンボジアやミャンマーは著しい経済成長を遂げています。成長の進行具合が分かりやすいように、以下にGDPの推移を示します。

2010年 カンボジア3275197.44 ミャンマー39776.77
2011年 カンボジア3565127.88 ミャンマー46307.89
2012年 カンボジア3811199.75 ミャンマー51259.26
2013年 カンボジア4070647.84 ミャンマー58011.63
2014年 カンボジア4406955.10 ミャンマー65262.09
2015年 カンボジア4741330.15 ミャンマー72714.02
2016年 カンボジア5178909.81 ミャンマー79722.00
2017年 カンボジア5640794.87 ミャンマー90269.44
2018年 カンボジア6150921.68 ミャンマー96588.31

このように、2010〜2018年の間でカンボジアのGDPは1.87倍、ミャンマーは2.42倍に上昇しています。ちなみに日本は同期間で僅か1.1倍程度です。カンボジアもミャンマーもまだまだ開発の途上にあり、都市化されていない地域が多いので、逆に言うと成長の余地があるということです。

そして、日本の技術力を活かすことで、水道のインフラ事業はどんどん拡大していくと予想されます。カンボジアでプノンペン並みの都市が増えれば、技術協力の実績をつくった北九州市が再び支援する可能性は高いかもしれません。また、それはK社が支援をするミャンマーでも同じことが言えるでしょう。

東南アジアでの水道整備事業のニーズはまだまだ高く、ここで北九州市とK社が実績をつくることで継続した海外での事業展開は今後も望める可能性があるということです。

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