【前編】「都市設計」のプロフェッショナルが語るまちづくりの現在『新たな街をつくり出す「都市設計」とは 〜株式会社イム都市設計〜』

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2020年の東京五輪に向け、首都圏では街づくりや都市開発が大きく動いています。それらプロジェクトにおいて大きな役割を果たしている「都市設計」という領域があります。
どういう業務で、どのような難しさがあるものなのか、長年業界で活動している株式会社イム都市設計の佐々木伸政専務取締役(写真右)、水島崇開発設計部部長(写真左)、グループ会社である株式会社イム測量設計の青木敏之開発設計部部長(写真中央)に伺います。

再開発事業や宅地開発において、区画整理やインフラ整備から担う

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Q:まず御社の沿革と、どのような業務を行っているのかを教えてください。

佐々木:1993年に4人でスタートした事務所で、今はグループ全体で30人ほどのスタッフで業務を進めております。組織の柱としては4つあり、宅地開発設計、測量業務、マンション等の開発プロジェクトの企画、モデルルームの意匠設計となります。なかなか一言では説明しづらい業務であります。
大手不動産デベロッパー等、開発事業者からお声掛けいただき、特定地域の再開発事業や宅地造成、マンション開発事業などのお手伝いをします。再開発事業というと「駅前再開発」などが一般的にはイメージしやすいのではないでしょうか。

青木:私が携わった最近の例では、阿佐ヶ谷住宅建替計画があります。東京都杉並区にあった1958年竣工の公団住宅の再開発事業です。2階建てのタウンハウスと3〜4階建ての中層団地で総戸数約350戸だった公団住宅を、街区から見直し、マンションと戸建ての複合の計画とし、全582戸の分譲プロジェクトとなりました。

Q:「都市設計」とは、そのような区画整理も含む仕事ですね。

水島:そうですね。大きなプロジェクトで弊社がお手伝いする部分は一部ではありますが、非常に重要なパートと認識し緊張感をもって取り組んでいます。例えば再開発事業では、関係権利者で形成される組合で進める将来的な計画を見据え、街区形成や造成、建築を総合的に検討し、インフラ整備等の設計の為、先ずは地下の埋設管やケーブルなどについて各行政機関の書類や現場を確認し把握した上で計画立案に役立てます。とても地道な作業からのスタートとなりますが、これを怠ると、先々大きな問題を招くことになりますので、事業を進める上で非常に重要な部分であると考えています。

再開発事業では、多数の関係権利者様への住居面積等を確保することや、商業スペースや集合住宅などを作る費用等、事業性も無視できないことですので、開発設計を担当する弊社とするとコストバランスも考えながら事業主と方針を確認しつつ設計を進めていきます。

Q:「都市設計」というものは、実際にはどのように進められるのですか。

水島:弊社がお手伝いをしている物件は民間での事業になります。ある地域で新たな開発計画が持ち上がると、利便性、経済性も無視はできませんが、最近では防災能力や街区としての安全性といった「皆が安心して暮らし、過ごせる街区形成」を目指すことが非常に重要になってきています。
そういった背景からも、新たに作る道路については、消防車が通れる防災道路を計画したり、多量の雨を排水できる施設を整えたりするのです。
もちろん、行政が計画する都市計画の中では、もっと大きな観点から地域や街づくりの為、様々な都市計画施設がありますが、そういった行政が予定する都市計画施設も鑑み案件としての価値観を期待して計画することもあります。最近弊社が携わった物件のうち、民間で宅地開発を行ったすぐ後に、近くに予定されていた都市計画施設が完成し、更なる利便性、安全性が向上され、分譲事業ではありましたが即日完売となりました。

開発設計では、法律・条例・要綱のクリアが必須条件

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Q:環境アセスメントとは、どのような作業になるのですか。

水島:「環境影響評価」と言って、大規模開発事業による周辺環境への影響を事業者が事前に調査、予測、評価するとともに、住民や自治体の意見を聞いたり、専門的立場から審査をするなどして、環境に配慮しながら事業を進めていく一連の手続きのことです。政令指定都市は独自に条例で管理していますが、私の経験では川崎市の基準は非常に厳しく定められていますね。法律・条令・要綱という3段階をクリアする必要がありますが、時間がとても掛かります。

ですから、それを秦野市や厚木市など、神奈川県内で環境アセスメントの基準を特に定めていない行政区で、適用させることもあります。つまり、これだけ厳しい基準をクリアしているのだからと、こちらからプレゼンテーションするのですね。規正法という基準はあっても、それに準じて精査した工作物がまだなかったりするので、担当者にとっても初めての内容の審査になるので、川崎市の厳しい基準での実例を示すなどして判断しやすいように進めます。

法律というのは細部まで書かれてないことも多いのですが、明確に禁止されていないからといってそれが通るかというと、そうでもないのです。明記されていないことをやる時に、過去の事例を参考に、新たに適用される事例をつくるといったことはよくありますね。

佐々木:専門知識を豊富に抱えるスタッフが当社の強みになります。これまでの経験に基づくスタッフのアイデアや企画力により、他社では諦めるような案件でも当社では事業化してきた実績があるからこそ、お客様からも評価をいただけているのかなと思います。

(プロフィール)
株式会社イム都市設計
専務取締役
佐々木 伸政
1997年入社。同社の営業面、コンサルティングなどに尽力。

株式会社イム都市設計
開発設計部
部長
水島 崇
日本大学理工学部土木工学科を卒業。電鉄系の不動産開発など、区画整理事業に長く携わる。2012年入社。測量士。

株式会社イム測量設計
開発設計部
部長
青木 敏之
自身が運営する設計事務所においてイム都市設計と連携して業務を行ってきたが、2012年同社と合流。戸建て案件中心から大規模マンション、宅地開発を手掛ける。一級建築士。

株式会社イム都市設計
http://www.imu.co.jp/

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