待機児童問題の解決策? 町田市で人気の送迎サービスとは

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送迎保育ステーション事業
少子化が進んでいるにもかかわらず、それ以上に保育施設や保育士不足は深刻です。
また、待機児童は大都市の現象と思われていましたが、周辺地域からの人口流入が見られる地方の都市部でもその数が増えており、待機児童の問題は全国的なものとなっています。

今回は、待機児童問題の現状と、東京都町田市が行っている待機児童対策について取り上げていきます。

待機児童の現状

2017年の待機児童数は以下のような状況です。
1位 東京都世田谷区:861人
2位 岡山県岡山市:849人
3位 東京都目黒区:617人
4位 千葉県市川市:576人
5位 東京都大田区:572人
6位 兵庫県明石市:547人
7位 大分県大分市:463人
8位 沖縄県沖縄市:440人
9位 東京都江戸川区:420人
10位 東京都府中市:383人
(参照:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」より)

東京都の小池百合子知事は、2018年6月1日の定例会見で「都内の待機児童数が昨年に比べて全体で3100名減少した」と、待機児童対策が成果を上げていることを強調しました。とは言え、2017年時点で多くの待機児童を抱える東京都では、待機児童対策はまだまだ継続課題です。

また、上記のように、実は人口が集中している東京都以外の自治体でも待機児童は問題になっており、日本全体で継続的に取り組むべき課題となっています。

町田市で開始した「送迎保育ステーション事業」 

送迎保育ステーション事業
さて、そんな中、待機児童対策の取り組みとして注目されているのが、東京都の町田市が実施する「送迎保育ステーション事業」です。

町田市の待機児童の現状

2017年4月時点で、町田市には待機児童数が229人いました。この数字は、全国市区町村別の待機児童数の発表でも多いほうから27番目で、ほかの自治体に比べて多い状況にあると言えます。

町田市は東京都下の立地ということもあって、23区とは施設整備などの状況に差があり、また都の予算も限られているため、自分たちの手で改善しなければなりません。そのため、待機児童の需給のミスマッチを解消する市の施策として、「送迎保育ステーション事業」を導入したというわけです。

「送迎保育ステーション事業」とは?

「送迎保育ステーション事業」とは、子どもを町田市内の保育所に分散して送迎するサービスです。このサービスでは、駅近くで朝夕一時的に子どもを預かる「送迎保育ステーション」を拠点に、それぞれが在籍する市内の指定保育施設との間を送迎してくれます。これによって、定員割れなのに送り迎えが不便で利用できないという保育施設でも、子どもを預けることができるのです。

例えば、町田市A町とB町の保育園は定員に達してなく、受け入れが可能だとします。一方、C町の保育園はどこも定員オーバーです。しかし、C町とA町・B町は距離的に離れているので、C町に住んでいる人がA町・B町に送り迎えするのは非常に大変です。

特に共働きで、車を持っていないという状況であれば、その保育園に通うのはほぼ不可能と言えるでしょう。しかし、「送迎保育ステーション事業」を利用すれば、朝、町田駅から徒歩5分の場所にある「送迎保育ステーション」に子どもを預けると、そこから市内12か所の指定保育施設に送り届けてくれ、昼間子どもはその保育施設で過ごし、夕方には再び「送迎保育ステーション」でお出迎えできます。

月額利用料2000円が必要なものの、A町・B町とC町のように距離が離れている場合などには便利なサービスです。

また、町田駅から徒歩5分という立地も会社勤めの保護者の方にとって好条件です。例えば、市内の沿線駅から子どもと一緒に電車に乗り、途中下車して預けたとしても、駅近なのでそれほど遠回りになりません。そして、夕方も仕事帰りにちょっと途中下車すれば、ストレスは少なく子どもを迎えにいくことができます。

なお、「送迎保育ステーション」の概要は以下の通りです。
・利 用 対 象:1〜5歳児
・利 用 定 員:20名程度
・保育実施日:月〜土曜日まで
・保育休業日:日・祝
・送迎保育:07:00〜09:00、16:00〜18:00
・延長保育:18:00〜20:00
・利 用 料:月額2000円
・延長保育:150円/30分(月額上限は6000円)

町田市の待機児童の数はどうなった?

「送迎保育ステーション事業」を導入した町田市ですが、2018年4月1日時点では、待機児童数は151人と前年より78人減少させることに成功しました。この人数は、待機児童の定義が変わった2001年以降の調査で最も少ない人数です。

実は、町田市では「送迎保育ステーション事業」だけではなく、以下のような待機児童解消のための取り組みも実施しています。

・「子どもセンターまあち」
・「保育コンシェルジュ」

「子どもセンターまあち」

「子どもセンターまあち」は、2016年4月にオープンした、0歳から18歳までの子どもとその保護者のための施設です。町田駅から近い立地にあり、「未就学児と保護者」のほかにも小学生や中高生が遊んだり、学んだりすることができます。

小さな子ども用に、裸足で遊べるウッドデッキ・芝生も用意しているので、近隣にお住まいの方はわざわざ遠くの公園まで出掛けることなく、楽しく過ごせます。

「保育コンシェルジュ」

「保育コンシェルジュ」は、就学前までの子どもの保護者を対象としたサービスを行い、保育所や幼稚園、認定こども園などの入園活動を支援する役割を担います。実際の支援は、町田市が実施する子育て支援事業の「教育・保育に関する情報提供」「相談」「助言」を行う相談員です。

具体的には、定員オーバーで認可保育所からの内定が出なかった場合に、認証保育所の預け先を紹介したりと、少しでも待機児童を減らす取り組みを行っています。

このような様々な施策によって、町田市は待機児童を減らすことに成功したのです。

町田市の取り組みを波及できるか?

送迎保育ステーション事業
日本全体の継続課題とされる待機児童問題ですが、町田市が実施している「送迎保育ステーション事業」はほかの自治体にも波及できるでしょうか? この取り組みでは、以下の項目がポイントになります。

・自治体のスケール
・隣接区域で実施する

自治体のスケール

「送迎保育ステーション事業」は、面積の広い自治体のほうが導入しやすいとされます。その理由は、駅から遠くにある保育園が多い、そして、当該自治体の行政管轄外のエリアができにくいという点です。面積が広いということは、それだけ駅から遠距離の保育園の数も多くなるということになります。

駅から遠い保育園は比較的入園希望者が少ないため、定員に達しない保育施設もできやすいのです。そもそも、「送迎保育ステーション事業」は定員割れしている保育施設がないとサービスが成立しません。利用可能な定員に余裕のある保育施設を管轄エリアに有することが、前提となるのです。

例えば、都市部の駅前に大型タワーマンションなどができると、一気に数百組の家族が増えます。出産や子育てのために住居購入する人が多いと考えると、百人単位で待機児童が増えることもあるでしょう。そのような場合に、タワーマンション入居者が駅から遠い周辺地域の保育施設を利用できれば、需給のニーズに効率良く対応できます。

隣接区域で実施する

待機児童問題は本来、都道府県が全体的に統括すべきですが、現在は市や区が独自に対策を行っています。そのため、市や区の境目に住んでいる人が隣の自治体の保育園に通わせたいと思っても「行政区が違うのでできない」というケースがあります。

このような無駄があると、「送迎保育ステーション事業」のようなサービスを展開しても、期待されるほどの効率性が発揮されない自治体も出てきます。

東武東上線に下板橋という駅がありますが、この駅の南口側は東京都豊島区、北口側は東京都板橋区になります。仮に、豊島区の「送迎保育ステーション事業」で、下板橋を拠点にしたとします。しかし、駅北口と南口では行政区が異なるので、北口地域の板橋区の保育園は利用できないということになってしまう可能性があるのです。

つまり、行政区が違うため板橋区のほうの保育施設に空きがあっても、その空きを埋められずもったいないことになります。効率的な対策を行うためには隣接する自治体がタッグを組む必要があります。

少子高齢化とはいえ、保育士不足と保育施設不足により、待機児童の問題は継続課題と言えるでしょう。また、都ではなく自治体によって対策方法は異なり、待機児童数も異なります。住む場所を選ぶ時は、自治体の対応等を考慮し選んでいった方が良さそうです。

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