【後編】「都市設計」のプロフェッショナルが語るまちづくりの現在『「都市設計」の困難事例に立ち向かう工夫とノウハウ 〜株式会社イム都市設計〜』

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再開発事業や大規模宅地開発において、「都市設計」は街区整理の為、測量や区画割り、開発設計という一連の流れを担います。
前編では、その業務の内容について実例も交えて伺いました。
後編では引き続き、開発困難な事例やその対策、開発設計のやりがいなどを、株式会社イム都市設計の佐々木伸政専務取締役(写真中央)、水島崇開発設計部部長(写真左)、グループである株式会社イム測量設計の青木敏之開発設計部部長(写真右)に伺います。

行政も未経験レベルでの開発事業の許認可を独自の経験やノウハウで獲得

Q:難しい案件を事業化させるという点を、さらに詳しく教えてください。

佐々木:土地の開発にあたっては、どのように道路に接道させるか、高低差など土地の現況をどう考えるか、インフラが整備されていない場合どうするかなど、クリアしなければならない諸問題が多々あります。そこに行政が定める基準や条例などを考慮すると、通常では開発が困難と思われるような案件に対し、当社の経験に基づく技術や知識をもって、他物件での事例や実績なども示しながら事業化の許認可を獲得していきます。事業化の冒頭にあるこの一連の作業も、当社がお客様からご評価をいただけている点だと思います。
しかしながら、宅地造成等の開発設計というものは、戸建てやマンションなどの建築物の設計とは違い、一般の方からはイメージしづらい、難しく分かりにくい領域だと思います。
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Q:「都市設計」の実績、事例はどのようなものがありますか。

青木:戸建ての棟数を例に挙げると、大きな団地や工場跡地が多く大規模開発が行いやすい千葉県では約2500戸、東京都内では再開発事業によるマンションと戸建ての複合事業を行った中で戸建てを約500戸、神奈川県も同様に150戸程をこの10年程で手掛けてきました。
千葉県が多いのは、やはりプロジェクトごとの規模が大きいことによります。船橋市高根の案件、千葉ニュータウンの案件などを手掛けました。東船橋でのプロジェクトも、1.6 haほどの大規模なものでした。道路や区画割りなど街全体のアウトラインを描き、街並みそのものをつくり上げるのです。例えば接道を絞れば街としての独立感が増し、安心感やブランド力を高めることにもつながります。無論、防災面への配慮も重要なファクターとなります。
新たに築造する道路も適切な幅員を確保することにより、街並みの開放感や明るさにつながりますし、車のすれ違いや駐車場の出入りもスムーズになります。
また、道路の交差を十字でなくT字を採用することで、自動車や歩行者の安全性を高めることもできます。近年求められる我々の仕事としては、災害に強く、街区形成上のデザイン性もあり、そこに暮らす人、働く人が安心して快適に過ごせる街づくりを意識しております。

最終的な物件の販売価格も想定しながら、安全面や法律面で実現可能なプランを

Q:戸建てか集合住宅か、どのように組み合わせるかは発注段階で決まっているのですか。

佐々木:クライアントにて大まかな方向性は決めているのですが、その実現を目指しコンサルティングするのも当社の役割です。土地の現況に対し、土木の専門家としてのアドバイスや、法律や条例を加味して開発プランを提示します。
通常ですと事業化することが難しいとされる案件で、当社が携わった最近の例としては、世田谷区内の傾斜地で、かなりの高低差がある土地でしたが、その後無事に事業化いたしました。

Q:街づくりとしても、大掛かりなものですね。

水島:世田谷区内では橋をつくった事例もあります。一級河川でしたので国の管理下にあり、国交省の指導、管轄で進めなければならず非常に苦労しました。通常は国が発注して行うような工事でしたが、当社の経験や技術を結集し、万全の計画を提示し、民間での事業化を実現することができました。周囲の道路を極力閉鎖せずに工事を行うため、大規模な橋梁工事で使われるような材料、技術を用いたりしました。
生活空間の中で開発工事を行う難しさですね。施工コストやスケジュールへの影響などを全て検討し、考えられる全てのプランの中から消去法にて最適であろうというプランを決めていきました。そのようにあらゆる条件を勘案して、物件を実現化していくわけです。

社内の連携で測量からコンサル、立案、許認可取得、工事の実施までをスムーズに

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Q:地図を大きく書き換えることもある、やりがいのある仕事ですね。

佐々木:面白さと難しさが表裏一体ですね。一般の方々がイメージしやすい建築物の設計であれば、家族や子どもにも説明しやすいのですが、本当に一言では言い表せない仕事です。
社内のチーム連携も重要です。まずは測量スタッフを現地へ派遣し、高低差や境界杭の確認、そして事業用地の正確な測量データを作成します。この測量結果を基に設計を始めていきます。当社は設立以来、土木建築の技術を活かし、山や崖地など困難の多い物件もいくつも取り組んできました。ですので、大手不動産デベロッパー等から難しい案件が持ち込まれるのです。もちろん、難しい案件だけではなく通常の測量業務や開発設計も得意としています。土地売買や相続の際に必要となる官民境界、民有地境界などの確定測量も多数お引き受けしています。
そして、開発プロジェクトにおいては、事業リスクの検証といったコンサルから建物完成引渡しまで、一連の流れに幅広く対応しています。事業推進の過程において欠かせない行政協議、各種法規制のチェック等、スムーズな工事進行を支えます。
開発設計チームの他、分譲マンション用の販売センターとして、モデルルーム、マンションギャラリーの建築設計・工事監理も専門チームが行っております。

水島:「都市設計」の仕事の面白さは、難しさと裏表と述べましたが、携わった案件の周辺地図が5年後10年後にどのように変わっていくのか、その予測ができたりするのは楽しいものです。

(プロフィール)
株式会社イム都市設計
専務取締役
佐々木 伸政
1997年入社。同社の営業面、コンサルティングなどに尽力。

株式会社イム都市設計
開発設計部
部長
水島 崇
日本大学理工学部土木工学科を卒業。電鉄系の不動産開発など、区画整理事業に長く携わる。2012年入社。測量士。

株式会社イム測量設計
開発設計部
部長
青木 敏之
自身が運営する設計事務所においてイム都市設計と連携して業務を行ってきたが、2012年同社と合流。戸建て案件中心から大規模マンション、宅地開発を手掛ける。一級建築士。

株式会社イム都市設計
http://www.imu.co.jp/

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