「隠れ待機児童問題」とは? 少子化なのになぜ待機児童は減らない?

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隠れ待機児童問題
待機児童問題という言葉は、メディアの報道などでよく耳にすると思います。待機児童の数は国や各自治体が取りまとめていますが、実はそこで待機児童にカウントされない「隠れ待機児童」の問題が潜在化していることをご存知でしょうか。

待機児童問題の本質を知るためには、「隠れ待機児童問題」に目を向けなければいけません。
そこで今回は、「隠れ待機児童問題」とは何か、待機児童のカウントの仕方はどのように変更されたのか、待機児童が減らない理由はどうしてか、といった「隠れ待機児童問題」に関する事柄について解説していきます。

待機児童とは。また、その数はどれくらいか。

隠れ待機児童問題
そもそも待機児童とは、保育園などの施設に入所したいのに入ることができず、順番待ち(待機)をしている児童を指します。待機児童の問題は以前からあったのですが、2016年に「保育園落ちた日本死ね」というタイトルで書かれたブログが、SNSを中心に拡散したことから世間に一気に広がりました。

厚生労働省の資料によると、全国でも待機児童の多い東京都の待機児童数ランキングは以下の通りです。
・世田谷区:861人
・目黒区:617人
・大田区:572人
・江戸川区:420人
・中野区:375人
・足立区:374人
・中央区:324人
・江東区:322人
・渋谷区:266人
・板橋区:231人

待機児童のカウントの仕方について

さて、前項で待機児童の概要について解説しましたが、待機児童のカウントの仕方については、まず以下を理解しておきましょう。
・保育施設の名称の違い
・隠れ待機児童のカウントの変更

保育施設の名称の違い

日本の保育施設には以下の種類があります。
・認可保育所
・小規模保育所
・認定こども園
・認可外保育施設

認可保育所

まず、認可保育所とは施設の広さや保育士の人数などが、国の基準を満たしている施設です。そのため、自治体に「認可されている」という扱いになるので、最も人気のある保育施設になります。定員は20人以上で5歳児までが対象となります。

小規模保育所

小規模保育所は、施設の広さや保育士の人数などについて国の基準を満たし、定員6〜19人で2歳児までを対象とした施設です。認可保育園と基準自体は同じですが、低年齢児が対象となっており小規模で運営している点が特徴です。

認定こども園

認定こども園とは、国の基準を満たし、幼稚園と保育園の機能を併せ持った施設のことです。一般的なのは、認定こども園として独立している「幼保連携型」で、ほかには既存の幼稚園が保育所的な機能も担う「幼稚園型」や、既存の保育園が幼稚園的な機能も担う「保育所型」などの種類があり、種類によって対象年齢などが異なります。

認可外保育施設

認可外保育施設は国の基準を満たしておらず、自治体に認可されていない施設になります。ただ、認可外保育施設によっては、国ではなく自治体の基準を満たしている場合、認可保育園と同じく自治体の補助を受けているところもあります。

隠れ待機児童のカウントの変更

さて、待機児童の数について、2001年からは「認可外保育施設を利用しながら待機している児童は待機児童のカウントから除く」というルールに変更されました。つまり、それまでの待機児童数よりも表面的には数が減りますが、実際は認可外保育施設を利用しながら待機している「隠れ待機児童」が存在することになります。

そんな「隠れ待機児童」をカウントすると、上述した待機児童数は以下のように変わります。
・世田谷区:861人→1777人(2.1倍)
・目黒区:617人→1102人(1.8倍)
・大田区:572人→1844人(3.2倍)
・江戸川区:420人→1653人(3.9倍)
・中野区:375人→1038人(2.8倍)
・足立区:374人→787人(2.1倍)
・中央区:324人→681人(2.1倍)
・江東区:322人→1724人(5.4倍)
・渋谷区:266人→756人(2.8倍)
・板橋区:231人→712人(3.1倍)

このように、多いところでは3倍以上も待機児童が増えることになり、「隠れ待機児童」も含めると非常に多い数になっているのが分かります。確かに、認可外とはいえ保育施設であることには変わりませんので、子どもを預けることは可能です。

しかし、やはり親としては国の基準を満たして自治体から認可されている施設のほうが、安心感があると思われます。

待機児童が減らない原因は?

隠れ待機児童問題
さて、「隠れ待機児童」も含めた数でカウントすると、待機児童数は増えています。しかし、人口減で少子高齢化の世の中を考えると、児童の絶対数は減っているはずなのに、なぜ待機児童数は減らないのでしょうか。

その理由は以下が挙げられます。
・働く女性が増えたこと
・都市部の人口増加
・認可保育園の増加に時間が掛かる
・保育士の待遇が悪い

働く女性が増えたこと

まず1つ目の理由としては、働く女性が増え共働きの家庭が増えたことです。つまり、家で子どもを育てるのが難しいので、保育施設などに預けざるを得ず、そうしたニーズが高まったことが背景にあります。内閣府の資料によると、1980年から2017年で共働き世帯は約2倍になりました。

都市部の人口増加

また、過去5年の人口増減率を見てみると、東京都は2.7%増となっています。関東の東京近郊と地方都市以外の大半の自治体では人口は減少している中で、東京都心への一極集中は変わっていません。

そのため、東京都や近郊の地方都市に児童も集まり、保育施設が足りずに児童の受け入れも足りていないということです。例えば、ある駅に総戸数1000戸のタワーマンションが建築されたとします。

それだけで、そのエリアには保育施設を必要する児童の数が数十人、多ければ百人単位で増えることもあるのです。そして、そのようなタワーマンションは都心エリアに幾つも建築されています。

保育士の減少

保育士の数は、実は年々増えているのですが、以下のように待遇(年収)は必ずしも十分とはとは言えません。
・2010年:39.1万人(325万円)
・2011年:40.2万人(324万円)
・2012年:42.1万人(315万円)
・2013年:43.7万人(310万円)
・2014年:45.4万人(317万円)
・2015年:48.0万人(323万円)

保育士需要に対して保育士の数が追いつかないことも、保育施設の拡充につながっていかない要因となるのです。

待機児童への対策

待機児童への対策として、国は以下のような取り組みをしています。
・保育施設の増加
・保育士の待遇改善

まず、保育施設の増加により受け皿の拡大を目指しました。具体的には、2013〜2017年度末までの5年間では、約52.3万人分の拡大が見込まれ、さらに、国だけでなく企業主導型保育事業の受け皿拡大量を約5万人分から約7万人分の上積みとしました。

つまり、2013〜2017年度末までに約59.3万人分が拡大する計画を遂行したということです。結果だけを見ると、政府目標の約52.3万人の拡大については成功しました。

また、保育士の待遇改善に関しては、2016年には327万円まで上昇しており、今後もアップさせる予定です。待遇を改善することにより保育士の人員を増やし、保育施設の数やサービスが拡充されても対応できるようにするのが狙いになります。

「隠れ待機児童」を含めた時と含めない時では、待機児童数が大きく異なる点が理解できたと思います。認可保育園を希望しながら入所できない人が多い状況を見ると、「隠れ待機児童」も含めてカウントしたほうが、より実態に近づいたものとなるでしょう。今後は政府の働き方対策などとも関連し、さらなる待機児童対策への取り組みも予想され、その内容と進捗にはしっかりと注視していくようにしましょう。

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