「コグニティブ」と「AI」の違いとは? 不動産業界にどう影響するのか

テクノロジー

関連キーワード
コグニティブ
「コグニティブ(Cognitive)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
今注目されているIT用語ですが、まだその内容について知らない人もいると思います。また、AI(人工知能)と似ているところもあるため混同している人がいるかもしれません。
そこで今回は、「コグニティブ」に注目し、AIとの違いや不動産業界への影響などを解説していきます。

「コグニティブ」とは何か?

初めに、「コグニティブ」に関して理解してもらうために以下を解説していきます。
・「コグニティブ」の使い方
・従来のコンピュータとの違い
・「コグニティブ」の利点

「コグニティブ」の使い方

まず、「コグニティブ」という言葉は、多くの場合、「コグニティブ・コンピューティング・システム」や「コグニティブ・システム」などと使われます。

そもそも「コグニティブ」を直訳すると「認知」といった意味になります。「認知」をさらに説明すると「(人間などが)外部から入ってくる情報を見ることや触ることにより、その対象を何であるか判断し理解する過程」という意味です。

つまり、「コグニティブ・コンピューティング・システム」とは、コンピュータに情報を与えると単にその情報を処理するだけではなく、コンピュータ自身が理解・推論・学習を行うシステムのことを指します。

従来のコンピュータとの違い

「コグニティブ・コンピューティング・システム」ができる前までのコンピュータは、数値を認識したり一部のテキスト(文字)を理解したりすることしかできませんでした。いわゆるプログラミング言語をコンピュータに打ち込み、それを読み解き理解するという流れです。

しかし、「コグニティブ・コンピューティング・システム」は数値やテキスト以外にも、自然言語や画像、音声や対象者の表情などを理解することができます。さらに、これらを「理解」するだけに留まらず、情報をもとに推論を立て、結果を導き出し、その結果によって自ら学習していくことが可能です。

従来のコンピュータは同じ情報を与えても、そのコンピュータのマシンパワーによって回答が異なるものの、基本的には一律の回答でした。しかし、「コグニティブ」の場合はそのコンピュータの成長過程によって、同じ情報を与えても違う回答になるのです。

「コグニティブ」の利点

なぜ「コグニティブ」が今注目されているかというと、「コグニティブ」は汎用性があり応用性があるからです。つまり、汎用性があることで「コグニティブ」はほかのシステムにつなげることができ、応用性があることでどんどん進化していきます。そのため、「コグニティブ」は注目されているのです。

コグニティブの事例

コグニティブ
さて、前項で「コグニティブ」はほかのシステムにつなげることができると述べました。その具体的な事例は以下の通りです。
・銀行や役所での各種手続き
・各種申し込み書類を記入
・コンシェルジュスタッフの代わり
・高齢者の話し相手
・セラピー

例えば、役所での手続きは、未だに役所に出向き書類に記入するという作業が必要な場合が多くあります。ただ、タブレットやパソコンでの対応も増えてきており、今後はその動きが加速するでしょう。しかし、それらに慣れていない高齢者にとっては、タブレットやパソコンでの操作は難しいのです。

人によっては、「忙しくしている係の人を呼ぶのは抵抗がある」と思われ声をかけられなかったり、高齢で耳の遠い方やまだ日本語があまり上手でない外国の方などは「早口でまくしたてる係の人の話が理解できない」というケースが生じることも予測されます。そんな時に、「コグニティブ・システム」を搭載した端末が役所などに設置してあれば、機械相手なので忙しさを気にし憶することもなく、外国の方なら翻訳機能などもあり、日本の方にもハッキリと分かりやすい言葉で丁寧に回答してもらえることでしょう。

また、度々聞かれる質問は学習していくので、事前に注意を促したり、質問の多い箇所を分かりやすくして説明することも可能です。これは、役所だけでなく銀行などの民間企業やホテルの受付、コンシェルジュスタッフでも同じことができます。

さらに、今後の超高齢社会を加味すると、高齢者の話し相手やセラピーにも活用できます。話し掛けていく内に相手の趣味や特徴をどんどん学習していくので、対話を成立させることも可能になり人間に極めて近い存在になっていくのです。このような使い方ができることも、「コグニティブ」が注目される理由のひとつです。

「コグニティブ」とAIの違いは?

さて、ここまでの解説で「AIと何が違うの?」と思った方もいるかもしれません。その点についても触れておきましょう。

AIでできること

AI(Artificial Intelligence)とは人工知能のことです。AIは一般にも認知されつつありますが、具体的には以下のようなことができます。
・画像認識
・音声認識
・ゲーム

画像認識

例えば、ネット上に掲載されている膨大な画像の中から、人や物の識別をしたり、年齢や感情で分類したりすることなどが可能です。ほかには、ドローンで上空から撮影した写真をもとに、建物を測量することもできます。また、「建物に補修すべき傷や亀裂はないか」「塗装の剥げはないか」など修理が必要な箇所を識別するのにも役立ちます。

音声認識

音声認識とは、音声をテキスト(文章)化することです。会議やセミナーの発言者の音声をテキストデータ化して自動的に議事録を作成し、外国語の学習時に発音を評価することもできます。

ゲーム

将棋や囲碁、チェスなどの知的ゲームでの対戦が可能です。AIがゲームのルールを理解し、何手も先を読むことでプロとも対局できるレベルになります。

「コグニティブ」とAIの違い

さて、「コグニティブ」とAIの違いは、以下のように考えると分かりやすいでしょう。
・コグニティブ:人が作業をする時により良く行えるようにサポートしてくれる
・AI:コンピュータが人の行う作業を代替してくれる

それぞれの違いは、ひと言で言うと「何が主体か」です。つまり、「コグニティブ」はあくまで「人」が主体であるのに対し、AIは「コンピュータ」が主体です。

先に「コグニティブ」の事例に出した「銀行や役所での各種手続き」は、対象者がより作業しやすいようにするためのアドバイザー的立ち位置です。一方、例えばAIの「画像認識」は、本来は人が肉眼で行うべき調査を代替するというものです。これが「コグニティブ」とAIの違いです。

「コグニティブ」と不動産事業

コグニティブ
「コグニティブ」は不動産事業とも関わりがあります。例えば以下のような事柄は、不動産事業に「コグニティブ」が関わっていると言えます。
・音声アシスタントに外出時の服装コーディネートの提案をしてもらう
・家全体にコンシェルジュ機能が備わっている

既に近いサービスもあるものの、「コグニティブ」は自分で学習していきます。音声アシスタントなどは今までも利用されていますが、「コグニティブ」であれば、毎日の生活を通じて自分の好みを理解し、より良い提案をしてくれるなどのサポートをしてもらうことも可能なのです。

例をあげると、コーディネートの提案の可否によって好みを分析・学習することで、より精度の高い提案もできるようになるでしょう。さらに進むと、インターネットと連携して自分の好みに合った服を提案してくれるかもしれません。ほかにも、コンシェルジュの機能は、日用品が足りなくなれば注文してくれたり、音声で依頼することでタクシーを呼んでくれたりなど、生活で必要なことを学習し、より良い日常がおくれるようにサポートしてくれることでしょう。

「コグニティブ」の進歩と社会への普及が進むと、単純作業はコンピュータが行います。そうなると、人間の仕事の負荷は減り、家族と過ごす時間を重視するようになるでしょう。そういった、家で過ごす時間を快適に過ごすために、前項のコンシェルジュ機能などを備えた家の提供などが主流になると考えられます。そのため、不動産業界においての今後は、その辺りを見据え、「コグニティブ」を考慮した家づくりへの取り組みが重要になっていくと思われます。

その他のおすすめ記事

その他のテクノロジーの記事

キーワード一覧

 ページトップ