超高齢社会が迎える「2025年問題」とは?

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2025年問題
2025年には「団塊の世代」と呼ばれる世代が75歳以上の後期高齢者になります。3人に1人が65歳以上の高齢者という社会が到来し、医療や社会保障の危機を提唱するのが2025年問題です。2025年より先の未来のために、私たちはどんなことができるのでしょう。

間近に迫った2025年問題とは

2025年、第一次ベビーブームの1947〜50年に生まれた、「団塊の世代」と呼ばれる最も人口の多い世代が、75歳以上の後期高齢者になります。65〜74歳の前期高齢者を含めると、高齢者の人口は約3677万人に達すると予想されており、総人口の約30%が高齢者という世界でも類を見ない超高齢社会に達する見込みです。

75歳以上の高齢者は複数の疾病を同時に発症するリスクが上がり、入院や長期療養などの比率も高くなる傾向があります。それに伴い高齢者医療や社会福祉などの費用がかさみ、社会保障の財源を圧迫して破綻が懸念されるのが「2025年問題」です。

特に医療や介護に掛かる費用は、超高齢社会がさらに進むことで、深刻な状況を迎えると予測されています。要介護認定される割合は、2015年の時点で75歳以上の32.7%となっており、実に約3人に1人が要介護の状態です。2025年を迎える頃には、さらに増えると予想され、医療にも介護にも費用の増加が懸念されます。

社会保障費の内、2018年の医療費は39.2兆円、介護費は10.7兆円ですが、2025年にはそれぞれ47.8兆円と15.3兆円になる見通しです。医療費で約20%、介護費で約45%の増加になります。2025年までに社会保障費全体では約19兆円の増加の見込みですが、これに対しGDPの増加見通しは約80兆円に、増えたGDPの25%近くが社会保障費の増加分に相当すると予測されます。

但し、このGDPの増加はあくまでも予測であり、順調に経済成長した場合の数字です。2020年の東京オリンピックまでは順調な経済成長が予測できますが、それ以後の5年間も同じように成長すると考えるのは難しいと思われ、GDPが予測よりも低い数字にしか到達しないこともあり得ます。

こうした現状と予測を踏まえて、将来さらに圧迫が予想される社会保障費について、財源を確保することだけでなく、社会保障費自体を現状維持、もしくは緩やかな増加に抑えるための動きが始まっています。

2025年に向けて医療や介護が直面する課題

2025年問題
社会保障制度には、保険や福祉、扶助、医療といったカテゴリが含まれますが、その内、医療や介護の現場について、社会保障全体の中でも超高齢化の影響が最も大きいと予測されています。75歳以上の高齢者が疾病リスクの高くなることや、3割以上が要介護状態になることなどは、医療や介護に深刻な影響をもたらすと考えられる大きな理由です。

医療費に注目してみると、2025年には57.8兆円になると予測され、75歳以上の後期高齢者に掛かる費用は25.4兆円で、2015年と比較すると実に67.7%も増加するとの推計が出ています。1人当たりに掛かる費用では、増加率が26.5%であることから、いかに後期高齢者が増加するのかが分かります。医療費は主に国や地方自治体からの公費と、毎月個人や企業が支払う保険料でまかなわれています。医療費が増えるということは、公費や保険料の負担も増加するということです。徐々に増えていくとは言え、2025年には公費で45.7%、保険料で33.6%負担が増加する見込みで、個人消費や企業活動などへの影響も懸念されています。

介護費については、2025年の予測値15.3兆円は、2018年の10.7兆円に対して約5兆円と45%も増加すると推計されています。社会保障費の中で比べると、年金が2025年までに3兆円程度の増加見込みであるのに対し、医療・介護費は13兆円も増加する見通しです。これらの数字は、いかに医療や介護の現場に掛かる負担が、2025年までに増えるのかを如実に示しています。

さらに、もうひとつの懸念が、潜在的な社会保障費の増加です。団塊世代の子供世代である1971〜1982年に生まれた世代は、バブル崩壊の煽りを受け就職氷河期を経験した世代で、多くの非正規雇用者が生み出されました。団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年に、彼らの世代は40?50代になります。

本来ならば正社員として企業でも中堅から上位の立場にあり、安定した収入を得ているはずですが、非正規雇用の多い彼らの世代では、安定した収入どころかワーキングプアで、自らの生活すら危ういという人も少なくありません。彼らが直面するのが、団塊世代である親の介護です。介護にはならない場合でも、親の急な病気や怪我で手術、入院となれば、その費用を背負うことで経済的に苦しくなり、自らも社会保障費が必要な立場になることも考えられます。政府もこの世代に掛かる費用の試算を行っておらず、社会保障費にどれくらいの負担となるのか予測できない潜在的な要素として危惧されています。

2025年を支えきれるかどうか懸念される財政面

2025年問題
2018年度の一般会計を見ると、社会保障費は約33兆円となっており、歳出全体の33.7%を占めています。全ての歳出を支える歳入の内訳は、所得税や消費税などの税収が59兆円と、歳入全体の60.5%で、それ以外の内34.5%は国債などの公債によってまかなわれているのが現状です。金額だけでも税収の約56%、公債からの歳入のほぼ全額と同等の割合を、社会保障費が占めているのが分かります。

社会保障以外にも公共事業をはじめ、国は教育やエネルギーなど多くの事業を抱えています。足りない部分を補うために国債が発行され、それによって費用を捻出していますが、懸念されるのはその比率の高さにあります。国債をはじめとする公債は、債権であり利子のつく借金です。国債の多くを保有するのは日本銀行ですが、あまりにも多くの国債を抱え過ぎると、国債の価値がほんの少し下がっただけでも倒産してしまう危険にさらされてしまいます。日本の社会保障費はこうした不安定な財政の上に成り立っているのです。

「地域包括ケアシステム」で2025年問題を乗り越える

既に2025年まで7年を切っていますが、高齢者が増えることは避けられません。税収の大幅な増加が見込めないとすると、増えた社会保障費を補填するため、新たな国債・地方債の発行を余儀なくされますが、これまでに膨大な額の国債を発行していることを考えると、本当に補填できるだけの国債を発行できるのか、大きな不安が残ります。本来、国債や地方債などの公債は借金ですから、発行しなくて済むに越したことはありません。

社会保障費が増加した分の補填を考えるのではなく、社会保障費の増加を抑えることに主眼を置いたのが、「地域包括ケアシステム」の目的のひとつです。厚生労働省のホームページには「地域の事情に応じて、高齢者が住み慣れた地域で可能な限り、その有する能力に応じて自立した生活をおくることができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制・ネットワークのこと」と記されています。

高齢者が自立した日常生活を送れるようにすることで、結果的に医療や介護に掛かる費用が軽減される効果を期待できます。そのためにこれまで医療や介護がそれぞれの現場で対応していた体制を、高齢者が住み慣れた地域でお互いがネットワークをつくり、その人に適したケアをできるようにすることが必要という考え方が「地域包括ケアシステム」です。

具体的には従来の外来型の医療から、自宅で医療を受けられる在宅型の医療も視野に入れた改革や、既に進められている在宅での介護のサポート体制の強化などが挙げられます。それぞれの分野を総括する特別な立場を置くのではなく、医療と介護がお互いの立場をよく知ることも、今後は重要なファクターとなってくるでしょう。

2025年より先の未来を生きるために私たちができること

人間らしい健康的な老後の実現へ、「地域包括ケアシステム」の構築は今後の重要課題となりますが、そのために解決すべきことも多く抱えています。その中でも、在宅医療や介護を十分にサポートするための人材が不足していることが、最も大きな難点とされています。人材不足の問題は今後も高齢者の増加と同時に、私たちが取り組まなければならない切実なテーマとなることは間違いありません。

在宅でサポートを受けられる安心感は重要ですが、可能な限り自分自身がサポートを受ける必要のないよう生活していくことも、今後は大切な要素になっていくでしょう。健康や体力といった面だけでなく、地域で孤立しないよう自分から積極的に社会に参加する姿勢や、近所の人たちとコミュニケーションを取って近隣同士のネットワークを構築し、それぞれができることを行いながら支え合うことも、「地域包括ケアシステム」の一環になるはずです。

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