【前編】SBP活動とは? 官民地で支援する、高校生と地域の協働による地域振興活動 『全国高校生SBP交流フェアを文部科学省が共催する狙い〜文部科学省総合教育政策局』

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全国の高校生が地域の課題解決のためにビジネスの手法を通じて様々な取り組みを行う、「SBP」という活動があります。
現在、文部科学省がそのイベントを共催していますが、その活動の内容と目的について、所掌する同省総合教育政策局地域学習推進課の丹野史教課長補佐(写真右)と、地域振興係の廣田一利係長(写真左)にお聞きします。

成功体験や地域の大人たちへの信頼を通じ、高校生が地元への愛着を育んでいく

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Q:地域振興イベント「全国高校生SBP交流フェア」とは、どのようなものなのでしょうか。

廣田:SBPとは、Social Business Project(ソーシャル・ビジネス・プロジェクト)の頭文字を取ったもので、地域の課題をビジネスの手法を用いて解決していこうという取り組みのことです。具体的には、高校生が地域の人や物・自然・歴史・名所旧跡・産業といった資源と交流しながら、その地域を見つめ直していくとともに、それらの資源を活用した街づくりやビジネスの提案を行うものです。そうした取り組みを地域の大人たちが応援し、支えていこうという活動です。

そもそもは「未来の大人応援プロジェクト」という団体が展開していた活動です。現在は一般社団法人化していますが、代表である岸川政之氏を中心に、全国各地の高校とその所在地である地域にSBP活動の普及・啓蒙を行っており、徐々にネットワークがつくられていきました。そして、その活動の成果を発表する機会を設けようと、2016年に初めて「全国高校生SBP交流フェア」というイベントとして三重県伊勢市で開催されました。

Q:文科省との関わりは、どのようなところから始まったのでしょうか。

廣田:2018年で第3回を迎えた交流フェアですが、文科省が共催することになったのは第2回からです。第1回は、他の省庁と同様の後援という関わりでしたが、視察に当たった当時の職員が、この活動の先進性や地域振興の先駆けとなる可能性を強く感じ、文科省がバックアップして企画段階から共に連携していくことができれば、認知度の向上にも貢献できるし、さらなる普及・啓蒙にもつながるだろうと考え、第2回から共催の形態を取るようになりました。

実際、SBP活動を通じて高校生は成功体験を得ることができ、地域の大人たちとの関わりを持つことで、地元への愛着や所属意識といったものを高めていけると思います。学校での勉強と部活動が高校生活における日常シーンのほとんどを占める中で、地域の大人たちと関わりを持ち、地域の活性化に一役買っているという実感を持たせることが、この活動によって推進されるようにと期待されるわけです。

丹野:今、高校教育改革というのが大きなトピックとなっています。高校における教育課程を改編する動きがあるのですが、その中で「SBP」という活動への理解を支援していくような取り組みを行ってきました。
そのようなわけで、文科省としても、このSBP活動は教育活動の一環として非常に意義深く、将来性ある活動であると認識しています。

自分たちのアイデアや熱意が、ビジネスとして形になる

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Q:SBP活動の具体例を幾つか教えていただけますか。

廣田:よく知られているのが「高校生レストラン」という、2011年にテレビドラマ化もされた事例です。
三重県立相可高等学校の食物調理科の生徒たちが、地域の資源を見出した料理をもっとつくってみたい、そして、自分たちが調理から接客・経理までを行う、自分たちのお店を持ちたいという思いで始めた取り組みです。最初は屋台のような形での営業からスタートしましたが、今では行列のできる本格的なお店となり、町を代表する存在にもなっています。

愛知県立高浜高等学校の活動もユニークです。この高浜高校の地域活動部SBP班が、交流フェアで知り合った学校で地元のキャラクターをモチーフにした焼き菓子を製作していたことにヒントを得て取り組んだのは、焼き「菓子」ではなく、焼き「型」のほうでした。実は、学校がある愛知県高浜市は300年以上の歴史を持つ三州(さんしゅう)瓦で有名な地域なのです。
そこで、伝統工芸職人の方々に立体的な原型をつくってもらったり、自動車産業が盛んな土地柄故の高度な技術を有する自動車部品製造会社の支援を得ながら、アルミをミリ単位で削り出すような精巧な技術を提供してもらい、素晴らしい焼き型の製作・販売を行うまでにこぎつけました。高校生の企画・発想を周囲の大人たちが応援していったことにより実現したプロジェクトです。この金型は交流フェアでお披露目をして評判を呼び、その後、他校からも問い合わせが寄せられ、既に全国5つの高校からの受注に応じているそうです。また、民間企業との商談も視野に入れて活動しているところです。

Q:高校生たちの熱意が、大人たちの協力でビジネスとして形となっているのですね。

廣田:もうひとつ、静岡県の浜松学芸中学校・高等学校という中高一貫校の「浜松注染(ちゅうせん)浴衣プロジェクト」を紹介させていただきます。
こちらの学校では、4年前から地域の魅力発信や課題解決に取り組む地域調査活動として、「はままつ胸キュンプロジェクト」という高校生の発想らしい、ワクワクするようなネーミングを用い、地域資源を題材とした胸がキュンとするようなポスターやフォトブックを制作・販売する活動を行っていました。地道な活動が市にも認められて、今では浜松市の公認活動として任命されるほど、地元の振興に貢献している取り組みです。
そこで制作されたポスターに目を留めた、遠州特産である注染染め(ちゅうせんぞめ)の関係者の方々から、浴衣の魅力をPRしてもらいたいという依頼を受けて、「浴衣プロジェクト」を新たに立ち上げることになりました。そして、浴衣をより多くの方々に親しんでもらえるようにと考案してできたのが、注染浴衣の生地を使ったパターンオーダーシャツのブランドです。これが、地元企業の目に留まり、制服への採用が決まったそうです。
元々、写真やポスターによって校外にも発信する機会の多かった学校で、そこに目を留めた浴衣メーカーがオファーしてくれたことで、生徒たちのやる気モードに火が点いたのでしょう。高校生らしいアイデアを発案しながら、パターンオーダーシャツをつくり上げるという、なかなか斬新な取り組みです。
その活動が評価され、第3回の交流フェアでは文部科学大臣賞を受賞することとなりました。

(プロフィール)

文部科学省
総合教育政策局 地域学習推進課
課長補佐
丹野 史教

1997年入省。官房政策課、愛媛大学財務企画課長等の勤務を経て、2012年より生涯学習政策局情報教育課、社会教育課での課長補佐を歴任し、2018年10月より現職。

文部科学省
総合教育政策局 地域学習推進課
地域振興係 係長
廣田 一利

大学卒業後、中学校教諭、教頭としての勤務を経て、2017年4月より千葉県教育庁にて指導主事、社会教育主事を歴任し、同年10月より出向。2018年10月より現職。

文部科学省 全国高校生SBP交流フェア
http://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/chousa/1388918.htm

レオパレス21が「第3回全国高校生SBP交流フェア」に参加
https://www.leopalace21.co.jp/news/2018/0806_2571.html

全国高校生ソーシャルビジネスプロジェクト
http://mirai-otona.jp/

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