【前編】SDGs目標11達成にも通じるユニセフの「子どもにやさしいまちづくり事業」とは『子どもの意見が尊重され、最善の利益を考えられる社会へ 〜公益財団法人日本ユニセフ協会〜』

ソーシャル

関連キーワード
子どもにやさしいまちづくり事業
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、世界を変えるために達成すべき17の目標のことです。
世界の子どもたちの権利の実現と健やかな成長の促進を目指すユニセフの活動とも重なるところが大いにあります。
その中でも、公益財団法人日本ユニセフ協会が力を入れている「子どもにやさしいまちづくり事業」について、SDGsとの関連を中心に、同協会広報・アドボカシー推進室シニアマネジャーの三上健氏にお聞きします。

子どもにやさしければ、全ての人にとってやさしい

子どもにやさしいまちづくり事業
Q:ユニセフの「子どもにやさしいまちづくり事業」とは、どのようなものでしょうか。

A: ユニセフが開発途上国と先進国の両方で行っているCFCI(Child Friendly Cities Initiative)のことで、子どもに「やさしい」というのは、子どもはもちろん女性にも高齢の方にも、誰にでも「やさしい」まちづくりの取り組みです。大事なのは、子どもを含めて、周りの大人・民間・行政・識者など、そのコミュニティに関係する全員が「自分から」この事業に参画するということです。そこでは、子どもも社会の一員として扱われ、市町村の政策や法令・事業・予算について、実際にどのように子どものためになっているかが問われます。現在、世界40ヵ国程、約3000の自治体で実施されています。

ユニセフはこの事業の成立に9つの構成要素を提唱しています。主なものには、「子どもの意見を聞き、意思決定過程に子どもも加わるよう、積極的参画を促すこと」「一時的なムーブメントで終わらないよう、条例化など、法的枠組みによって手続きを保障すること」「子どもの権利条約に基づき、詳細な総合計画と行動計画を定めて実施すること」「実情を把握する十分なモニタリングとデータ収集を保証すること」などがあります。

子どもの権利条約を、距離感の身近な市町村レベルで具現化

子どもにやさしいまちづくり事業
Q:どのようなきっかけで始まったのでしょうか。

A:世界的な背景としては、1992年、リオデジャネイロで開催された「地球サミット」で、温暖化や人口問題・資源問題・生物多様性など地球規模の問題を考える中、持続可能な開発の取り組みの一環として、「子どもの権利条約」の推進が提起されたことがあります。「子どもの権利条約」とは、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約で、18歳未満の子どもを、大人と同様に、ひとりの人間としての権利を持つ主体と位置づけ、その人権を認めるとともに、成長過程で特別な保護や配慮が必要な子どもならではの権利も定めたものです。「生きる権利」「差別をされない権利」「子どもの最善の利益の原則」「子どもが意見を聴かれる権利」の4つを原則として1989年の国連総会で採択、1990年に発効しており、日本は1994年に批准しています。

その「子どもの権利条約」を市町村レベルで具現化する取り組みとして、1996年の「第2回国連人間居住会議(ハビタット2)」において「子どもにやさしいまちづくり事業」が提唱され、始まりました。このプロジェクトの目的は当初、開発途上国での急速な都市化と人口増への対処でしたが、その後、先進国においても子どもが社会との接点を失いつつあることが問題視されるようになりました。パソコンやエアコンなど物質的には恵まれていても、心理的・社会的には孤立して、人間らしい基礎を育むことができなくなっているのではないかという憂慮です。

この動きには、2015年に国連総会で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の思想が反映されています。これに先立って2000年から2015年まで実施されていたMDGs(Millennium Development Goals:ミレニアム開発目標)では開発途上国の問題解決に重点が置かれていましたが、SDGsでは先進国も含めた地球上の全ての人や企業・団体が取り組む目標として設定されました。それぞれの国の置かれた状況や能力に違いはあっても、全ての国、そして、誰にとっても普遍的な目標になるということです。

ユニセフの「子どもにやさしいまちづくり事業」も今では、世界で約40ヵ国、先進国と開発途上国の双方が取り組んでおり、さらなる拡大が見込まれています。2019年10月には、ドイツ・ケルンでユニセフCFCIサミットの開催も予定されております。

子ども一人ひとりの暮らしやすさが、誰もが幸福に暮らせる世界の持続可能な環境の形成につながる

Q:子どもの権利条約を市町村レベルで具現化する取り組みとしてユニセフの「子どもにやさしいまちづくり事業」が始まったということですが、それが目指すものとは何でしょうか。

A: その先に見据えているのは、誰にとっても快適な地球環境が維持されることです。大袈裟なようですが、まず身近な行政の単位である市町村というレベルで、人々が子どもにとっての暮らしやすさを基準に“まち”の現況を直視し、できることから行っていきます。ひとつの“まち”が取り組み、それが隣“まち”に広がり、やがて国内全体へと伝播して、国境も超えていきます。そうやって、時間は一世代分、30年程もあるいはもっと掛かるかもしれませんが、ボトムアップの手法で一人ひとりが変わっていくことが結局は、社会の状況を本質的に変えて、快適な地球環境を存続させることにつながる、いわばSDGs達成の早道と言えるのです。

子ども時代の人間の育ち方が、その後の人生に大きな影響を与えるのは言うまでもありません。子どもたちは創造性に富み、社会的なスキルも持っています。子どもたちが社会への参加者として貢献する存在として扱われるようになれば素晴らしいですね。

(プロフィール)
公益財団法人日本ユニセフ協会
広報・アドボカシー推進室 
シニアマネジャー
三上 健

大学を卒業して商社勤務の後、大学院で国際公法専攻。大学院修了後、ユニセフのモルディブ事務所にて、教育事業及び女性の社会参画事業担当。帰国後、公益財団法人日本ユニセフ協会にて、募金促進事業、開発のための教育事業を担当し、現在、広報・アドボカシー推進室シニアマネジャー。ユニセフの「子どもにやさしいまちづくり事業」の普及を推進。東京都教職員10年次研修及び道府県の教職員対象セミナー(子どもの人権、国際理解教育等のテーマを扱う)を数多く実施。

日本ユニセフ協会の子どもにやさしいまちづくり事業
https://www.unicef.or.jp/cfc/

レオパレス21のCSR基本活動方針
https://www.leopalace21.co.jp/corporate/csr/policy.html

その他のおすすめ記事

その他のソーシャルの記事

キーワード一覧

 ページトップ