米不動産大手JLLで東京が世界最高水準のグローバル都市「ビック7」入り! 投資先としての魅力とは
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これが東京の不動産投資先としての魅力にどう関係するのか、そして今後の東京における不動産投資の展望について説明します。
東京が魅力的な不動産投資先に
「ビッグ7」を構成する都市は、上位順にロンドン・ニューヨーク・パリ・シンガポール・東京・香港・ソウルとなっています。JLLのレポート(2018年4月3日)では都市の類型として、以下のように分類しています。
1 ビッグ7
2 挑戦者たち
3 イノベーター
4 ライフスタイルシティ
5 インフルエンサー
6 メガハブ
7 エンタープライザー
8 パワーハウス
9 ハイブリッド
10 国内成長エンジン
この内の上位の1と2は「確立された世界都市」と定義し、特に「ビッグ7」は多国籍企業やクロスボーダー投資家(複数国の間で取り引きをする投資家)が最初に注目する都市と分析しています。この7都市に世界中の商業用不動産に投じられる資金総額の4分の1近くが集まるからです。
世界の都市比較インデックスを分析したレポートとは、都市を比較する上で300以上あるインデックス(指数)の中から7項目(企業のプレゼンス・ゲートウェイ機能・市場規模・インフラ基盤・人材・専門性とイノベーション・ソフトパワー)に絞って分析し、都市の現状・発展レベル・新たなトレンドを不動産の観点から検証して導き出したものです。
つまり不動産投資先としての魅力を持つことにもつながるという点において、東京が評価されたことを意味します。
東京が「ビッグ7」に選ばれた理由

東京がビッグ7入りとなる5位になった理由として、以下のようなランキングがベースになっています。
成功する都市の10条件の内、
イノベーション・人材 2位
スマートシティ 10位
負担可能な不動産コスト 6位
ブランドイメージ 8位
インフラの項目は13位というランキングですが、2020年の夏季オリンピックに向けたインフラ整備が期待されています。また、透明性が19位と、不動産市場の透明性が課題であることが浮き彫りとなりました。
さらにJLLによる2017年9月28日のレポートで、東京を評価した理由を詳しく紹介しています。そこでは国際的資本の流入と国際化への措置を講じている点が今回の結果につながっていることが示されています。
東京における不動産状況
また、海外投資家による国内不動産へのインバウンド投資は1兆580億円と、対前年比で約2倍に増加しました。さらに2010年以降初めて、海外投資家の日本国内不動産の購入金額が売却額を上回っています。これは日本の金利が低位で安定していること、金融緩和がさらに持続すると予測されることを背景にしているようです。
しかし、この金融緩和政策の持続は日本の景気が沈んだままであることを意味しています。物価上昇率も目標とする2%には届かず、IMF見通しで2018年は1.20%です。アメリカは好景気であることを背景に金利引き上げを続けていますし、EUもドイツ経済が好調であることから量的緩和の終了を決定しました(2018年6月14日欧州中央銀行発表より)。経済状況に関しては日本だけが取り残されている状況の中、不動産相場は今後も上昇するのでしょうか。
不動産投資先としての東京の魅力
東京の不動産価格は上昇を続けていますが、その反面賃貸の利回りは低下しています。例えば世界の不動産を様々な視点から分析し比較している調査会社グローバルプロパティガイドによると、東京の居住用不動産における表面利回りは平均で2.66%となっています(2017年5月時点)。これは長引くデフレにより、賃料が抑えられていることも原因と考えられます。
しかし、投資家は不動産を購入する際に借入をしますし、その借入金利と賃貸利回りとの金利差を重視します。その金利差(イールドギャップ)が大きいほどに収益性が高まり、魅力ある不動産と判断できるからです。
JLLの2018年第2四半期レポートによると、東京のAグレードオフィスにおけるイールドギャップ(対10年物国債利回り)は2.90%と香港・シンガポール・上海・ニューヨーク・ロンドンより高い水準にあります。この優位性も、海外投資マネーが東京に流入する理由と言えるでしょう。つまり低金利政策が継続されること、あるいは他国が利上げを続ける限り東京の不動産は投資先としての魅力を持ち続けると考えられます。
東京の不動産が投資先として魅力ある理由は、JLLの調査に見られる都市競争力の強さと、低金利を背景としたイールドギャップにおける他国に対する優位性です。2020年の夏季オリンピックに向けてのインフラ整備と低金利を背景に、東京は今後も有望な投資先であり続けることが期待できます。
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