企業主導型保育園とは? 人材確保や女性活用の足掛かりに

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企業主導型保育園
認可保育園並みの助成が受けられる企業主導型保育園に対する企業の関心が高まっています。
国が進める企業主導型保育事業制度の概要、また、人材確保や女性活用などに関する企業側のメリット、待機児童問題における課題などについてまとめます。

利用定員の50%まで地域の子どもを受け入れ可能で、待機児童解消への期待も

企業主導型保育園とは、企業が従業員の子どもを預かる目的で事業所内につくる保育施設のことです。
待機児童問題が常態化する中で、出産後の女性従業員が保育園を確保できずに就業復帰できないケースが後を絶ちません。そこで、企業のニーズに応えて柔軟な保育施設の設置・運営を促進するために、2016年度に内閣府主導で始まった事業です。開設するに当たり、自治体の認可は不要で、一定の基準を満たしていれば国から整備費・運営費の助成金が出るため、急速に設置が進んでいます。2018年3月末現在で助成が決定しているのは、2597施設・定員5万9703人分(公益財団法人児童育成協会調べ)となっています。

厚生年金保険料等を事業者から徴収する際に拠出金率を上乗せして徴収している事業主拠出金が財源となっているため、子ども・子育て拠出金を負担していることが条件になりますが、一般事業主が整備費・運営費について認可施設並みの助成を受けながら、保育施設を設置することができます。例えば、認可保育施設に準じた職員配置や面積基準をクリアした事業者への助成金は、定員12人の保育所を東京都特別区に開設した場合、保育士比率が50%以上であれば、整備費として約8000万円、年間運営費として約2600万円などとなります。

そして、正社員をはじめ、短時間や週2日のみといったパートタイム勤務、土日・夜間勤務など、多様な働き方の従業員に対して保育サービスを提供できるのが特長です。また、単独企業では保育ニーズが少ない、あるいは運営が難しいような場合でも、地域の複数の企業が共同で設置・利用することができます。そのほか、従業員の子ども以外に、利用定員の50%まで地域の子どもを受け入れることが可能なため、施設を安定的に運営でき、地域の待機児童解消にも貢献できます。そして、保育施設設置後は、企業が自ら運営する以外に別の法人に運営を委託することも可能です。

パートタイムや土日・夜間シフトなど、多様な働き方に対応

企業主導型保育園
企業主導型保育事業は全体的に柔軟な枠組みになっており、従来の認可保育施設の設置・運営よりも現実に即した制度と言えます。
まず、自治体の認可が不要で、自治体に届け出れば基本的には開設が可能なので、事業計画を立てやすいことが参入のハードルを低くしています。また、設置した企業のメリットとしては、結婚・出産・子育てと仕事の両立を行いやすくすることが女性活躍推進にもつながります。そうすることによって、男女ともに家庭と仕事の両立を望む従業員が働きやすく、企業としてもワークライフバランスを重視する姿勢を示すことで、人材確保や離職防止効果が期待できるでしょう。対外的にも、子育てに優しい会社という企業イメージの向上に役立ちます。

認可保育施設の場合、自治体が「保育の必要性」の度合いを判断し、入園の可否を決めるため、待機児童の多い地域では入園することが高い競争率となっています。しかし、企業主導型保育園では、保護者が就労要件を満たしていれば、施設との直接契約が可能です。また、助成金事業であるため、認可保育施設並みの保育料で利用することができることも、利用者にとって大きなメリットとなります。

さらに、多様な働き方の従業員に保育サービスを提供できる点も画期的です。パートタイムでは要件を満たせず認可保育施設に申込みすらできない場合もあるほか、夜間・休日勤務に対応できる認可保育施設はそもそも希少とも言えます。そのようなケースでも企業主導型保育園であれば、延長保育や夜間保育、日祝の休日保育、短時間保育など、ニーズを踏まえて事業設計することが可能です。

認可外ゆえスムーズなこともあれば、運営実態が見えづらい不安面も

様々なメリットから、企業主導型保育園は待機児童対策の切り札として期待が寄せられています。しかしながら、問題点もあります。
認可事業ではないため、行政によるチェック機能が働きにくく、質の確保はそれぞれの事業者に委ねられることになります。都道府県などへの届け出だけで、原則、審査を受けずに設置ができる上に保育士資格者が認可保育施設の半数で良いなど、ハードルが低いにもかかわらず、運営費などは認可保育施設並みに助成されることから、助成金目当てでの参入や保育の質といったことに対する懸念は導入当初から指摘がされていました。

実際、制度を所管する内閣府から管理運営を委託されている「公益財団法人児童育成協会」が2017年度に800ヵ所を調べたところ、76%で保育計画などに不備が見つかりました。中には、保育士が必要数に満たなかったり、アレルギー対応マニュアルが未整備だったりと、重大な不備が指摘されたケースもあったとされます。保育サービスを直接受けるのは乳幼児であるため、問題があっても事業者に改善要求が伝わりにくく、重大事故につながるようなことでも見逃されてしまいがちです。

このようなリスクに対応するため、国は2016年に「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」を作成・公表しています。全国で成功している取り組みなども盛り込まれており、企業主導型保育事業においても自主的にこうした指標を目指すことが求められるでしょう。

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