日本もキャッシュレス時代が到来する? 広まるスマートフォン決済

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個人決済の多くを現金決済が占める日本でも、「○○Pay(ペイ)」という名称を頻繁に聞くようになり、本格的なキャッシュレス化の波が到来しようとしています。
メガバンクなどによるスマートフォン決済をはじめ、主要なQRコード決済サービスを紹介するとともに、キャッシュレス決済についての現状の問題点にも触れていきます。

専用端末やコスト、現金志向が妨げになって停滞した、日本のキャッシュレス化

紙幣や硬貨といった現金を使わない、いわゆるキャッシュレス決済が世界中で急速に普及しています。経済産業省の調べでは、韓国では約9割、中国は約6割、アメリカやイギリスでも5割前後までキャッシュレス決済の比率が進んでいますが、現金志向が強い日本では約2割に過ぎません(2015年時点)。

世界の潮流に乗り遅れないため、日本政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を4割にする目標を掲げています。その背景には、訪日外国人観光客の利便性に応える意味合いもあります。経済産業省の報告によると、現金しか使えないことに不満を持つ外国人観光客が4割存在するとされ、2020年に日本を訪れるインバウンド旅行者が4000万人以上となったと仮定した場合、カード決済のインフラ状況を改善しないと、この消費需要取りこぼしによる損失は1.2兆円規模と見ているのです。

日本でキャッシュレス決済を導入しない理由として、2017年2月の経済産業省調査では、「手数料が高い」「メリットを感じられない」「現場スタッフによる対応が困難」「要望する声が少ない」「導入費用が高い」といった声があります。つまり、利用客が現金を使用する頻度が高い日本において、店側が導入コストや手数料を負担してまで、あえて新たな決済方法を取り入れることは意味がないと思われていたのです。

そんな中でも日本で独自に発達したものとして、交通系ICカードタイプの電子マネー、非接触IC決済があります。通勤ラッシュでも改札を速やかに通り抜けられるスピード感を備え、チャージしておく前払い型にも、預金口座などと連携させておく即時払い型にも対応可能です。一方で、導入する店舗には専用の読み取り機械の設置などコストが掛かりますし、もちろん一定の手数料が必要というデメリットもあります。利用する側も、そのカードを所持、あるいはスマホにアプリをダウンロードしておかなければなりません。そして、これは日本特有のシステムなので、インバウンドの外国人旅行客などには使いづらいと言えます。

QRコード決済なら小規模な店舗・事業者にもキャッシュレスの普及が可能

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それに対して、中国などで急速に発達しているキャッシュレスのQRコード決済は、店側は専用端末を用意する必要がなく、通信回線も不要なので導入コストが掛かりません。ですから、従来はこうしたシステムの導入が考えられなかった屋台などの店舗でも利用が進み、「どこでも使える」といったイメージを持たれています。実際、店側はQRコードを発行して店舗に掲示するだけですし、客側も自分のスマホに専用アプリをダウンロードして預金口座を登録するなどの決済手続きをしておけば、あとは店舗でQRコードを読み取って購入金額を入力するだけといった双方とも容易な手順で済むため、普及しやすいものとなっています。むろん、外国人観光客にとっては、普段自分の国で使っているアプリのサービスが日本の店で導入されていれば、そのまま利用することができます。

QRコード決済は、利用者がスマートフォンにダウンロードした専用アプリで決済するため、スマホ決済とも呼ばれます。そのため、大手通信会社やSNS運営会社が運営するものが主流となっていますが、飲食店での割り勘やフェスなどの期間限定イベントといったシーンでの使い勝手を特長とし、スタートアップが開発・運営しているものもあります。

これらがクレジットカードなど、従来の決済ビジネスモデルと大きく異なるのは、通信やSNS、ECサイトのIDと紐づけられるため、利用者の消費動向データがマーケティングの観点から非常に大きな価値を持つことです。そのため、独自のポイントシステムなどと組み合わせての利用者の囲い込みにも積極的で、加盟店手数料をしばらくの間、無料にしている事業者も見られます。

電子マネーでの給与支払いにより、キャッシュレス決済の大幅な利用推進に期待

銀行もそれぞれ決済サービス会社とQRコード決済の共同開発を行ったり、出資したりし始めています。あるメガバンクでは大手カード会社と連携し、アンドロイドOSのスマホによる非接触IC決済サービスに踏み切っています。動きとしては後続ですが、普通預金口座保有者にアプローチしやすい、その裾野の広さは注目です。

また、地方銀行64行による共同事業会社が行うコンビニ収納サービスで、SNS系スマホ決済との提携サービスを2018年11月末から開始しています。コンビニ収納サービスとは、公共料金や通信販売などの請求書をコンビニに持っていき、レジで印字されたバーコードを読み込んで料金を支払うものですが、このバーコードを利用者がスマホに読み込ませるだけで24時間いつでも決済ができることになり、店舗に行く必要もありません。地方公共団体の自動車税や固定資産税など、税金の支払いにも対応でき、今後のさらなる展開に期待が高まっています。

このほかにも、従来は通貨で直接全額を従業員に支払うことが労働基準法で定められている給与支払いについて、クレジットカードやスマホ決済による送金を可能とする方向で厚生労働省が検討を進めているとのことです。もともと銀行振り込みによる給与支払いも例外扱いでしたが、今回、電子マネーでの給与支払いが解禁されることで、利用者の裾野が広がる可能性が大いにあります。つまり、給与として得た電子マネーを、そのまま様々な支払いに使う人が増えるということです。また、給与を支払う側としても振り込み手数料の負担を考えると、銀行振り込みから電子マネー送金に代替する動きは、予想以上にスムーズかもしれません。

普及のネックになるとすれば、QRコード決済の規格がバラバラなことでしょう。そうした状況は、利用者や店舗の利便性を損ねるからです。そのため、QRコード決済の規格統一に向け、2018年7月に経済産業省を中心とした産学官によるキャッシュレス推進協議会が設立されています。大手銀行や主なQRコード決済の推進企業をメンバーとして、オールジャパンでキャッシュレス先進国に追いつき、巻き返しを図ろうとしています。

そもそも、店舗としては現金の扱いが減る、あるいはなくなれば現金管理の手間が省け、日々の運営や棚卸し業務が格段に効率化できます。そして、防犯上も大きなメリットがありますから、導入は自ずと推進される流れとなるでしょう。現金で支払う煩わしさを感じている利用者のためにも、使用できるシーンが増え、利便性が浸透していけば、日本でも一気にキャッシュレスが広まるかもしれません。

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