古民家の民泊への活用が進む! 古民家宿泊鑑定がスタート

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古民家宿泊鑑定
2018年6月15日に民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行されました。それに先立ち、一般社団法人全国古民家再生協会による古民家宿泊鑑定がスタートしています。6月1日には福岡県うきは市の物件が第1号に選ばれましたが、この古民家宿泊鑑定とはどのようなものなのでしょうか。

古民家宿泊鑑定の概要

まず古民家宿泊鑑定の内容と、このサービスが開始された背景について説明します。最初に民泊新法について簡単に知っておくと良いでしょう。

民泊新法の内容

民泊新法(住宅宿泊事業法)は、急増する民泊における安全面・衛生面の確保や近所トラブルへの対策を目的として定められたルールです。2017年6月9日に成立し、2018年6月15日に施行されました。住宅宿泊の事業者・管理者・仲介業者を対象としています。

古民家の所有者が民泊利用する場合、住宅宿泊事業者に係る制度が適用されます。また管理業者には衛生確保や騒音防止などが義務づけられます。そして、民泊として提供する古民家が、これらの要件を満たすことができるかどうかを、古民家宿泊鑑定によって調べることになります。

古民家宿泊鑑定とはどのようなものなのか

古民家宿泊鑑定
古民家宿泊鑑定とは、全国古民家再生協会に所属する古民家鑑定士(内閣府認可一般財団法人職業技能振興会認定資格者)が調査項目(20項目)に基づいて、対象とする建造物が宿泊客にとって安心して利用できる施設であるかどうかを調べるものです。

内容としては、法律に適合した施設であるか、建物の安全性と日本文化を伝えるデザインであるか、維持管理及び劣化状況の確認、建物性能や設備の調査、改善点のアドバイスなどとなります。鑑定により宿泊施設に適合すると認められると、「古民家宿泊鑑定適合マーク」が発行されます。このマークは対象物件にステッカーとして貼ることができるほか、適合物件は提携先のHomeAway(ホームアウェイ)の民泊サイトでも紹介されます。

一般社団法人全国古民家再生協会とは

この古民家宿泊鑑定を行う一般社団法人全国古民家再生協会とはどのようなところなのでしょうか。

この団体は全国16の支部において古民家を日本の住文化として未来に継承するための活動をしています。具体的には、所属する古民家鑑定士が建物の品質調査を行い、再生利用可能であればその方法を提案します。さらに再築基準検討委員会で再築(改修方法)ガイドラインを作成し、耐震性や住みやすさ、メンテナンスに関する基準の明確化などに取り組んでいます。

古民家宿泊鑑定の普及には古民家鑑定士が必要

古民家宿泊鑑定
古民家宿泊鑑定により、古民家利用が外国人向け宿泊施設の不足の解消にどれだけ貢献できるのでしょうか。細かく見ていきましょう。

そもそも古民家とは何か

この古民家宿泊鑑定の対象となる古民家ですが、そもそも古民家とはどのような建物のことを示すのでしょうか。実のところ、明確な定義はありません。一般のイメージとしては、古くからある日本家屋という感じではないかと思います。

一般的に古民家とは、建築後50年経過した建物とされています。しかし、一般社団法人全国古民家再生協会では、1950年の建築基準法の制定時に建てられた「伝統的建造物の住宅」を古民家と定義し、全国に128万棟ほどあるとしています。

古民家宿泊鑑定において、日本文化を伝えるデザインであるか否かも調査基準になっています。つまり古ければどのような建物でも構わないわけではないということです。

古民家活用における将来展望について

2018年6月4日に一般社団法人全国古民家再生協会は、HomeAway及び楽天LIFULL STAYと業務提携を結び、古民家を活用した民泊運営に関わることを表明しました。

HomeAwayはアメリカで2005年にサービスを開始したバケーションレンタル会社です。同じような民泊サービスを展開するAirbnbが少人数での利用者を主な対象としているのに対して、こちらはファミリーやグループでの利用を想定した別荘や住宅を扱っています。

そのHomeAwayによれば、日本全国にある128万件の古民家の内、民泊に利活用できる見込みがあるのは50%の64万件ほどとしています。日本らしさを楽しめる宿泊施設として、活用可能な物件が豊富にあることが分かります。

民泊拡大のためには古民家鑑定士が必要

一般社団法人全国古民家再生協会は1万4000名の古民家鑑定士資格者を創出しています。古民家宿泊鑑定は一般社団法人全国古民家再生協会に所属する鑑定士によって行われるので、今後その数をどれほど増やせるかが鍵になるでしょう。ちなみに2018年9月度の合格者は一級が27名、二級(伝統)が4名、二級(在来)が該当者なしとなっています。

試験は全国で実施されていますし、受験前に会場で講習を受けることもできます。古民家宿泊鑑定により、使われていない家屋を宿泊施設として再生できれば、不足するホテルの代わりになります。宿泊できる古民家を増やすことは、海外からの旅行客を増やすことにもつながります。そのためには、さらに多くの古民家鑑定士が必要になるでしょう。

古民家の民泊利用における利点について

古民家宿泊鑑定をスタートさせた理由は、民泊新法施行により多くの古民家が民泊利用されることが予想できるからです。古民家宿泊鑑定のチェックを通して宿泊施設として利用できる古民家が増えることにより、どのような恩恵が生まれるのでしょうか。

訪日外国人を増やすことにつながる

日本の民泊を利用する外国人は、どのような目的で宿泊しているのでしょうか。2016年に株式会社日本政策投資銀行が発表したレポートがあります。それによると、アジア8地域の訪日外国人を対象に滞在したい(希望する)施設としてアンケートに回答した割合は日本旅館68.2%、高級ホテル31.7%、安価なホテル36.6%、民家26.8%となっています。

これらのデータから考えると、訪日外国人(アジア8地域)は、日本らしさを感じられる宿泊施設に泊まること自体を楽しむ傾向があると推測できます。つまりホテルが空いていないから、料金が安いからという理由だけで宿泊施設を選ぶだけではなく、日本らしさを満喫できる宿泊体験をしたいと思う人も多いと考えられます。

そこで日本文化を楽しめるような古民家の民泊が増えることで、日本らしさを満喫できる民泊体験を希望する外国人観光客を増やすことにつながるのではないでしょうか。

民泊ビジネスが広がる

空き家となっている物件を購入し、民泊施設として貸し出す不動産ビジネスが増えています。民泊新法では、年間の営業日数を最大180日間に制限しています。但し、民泊として貸し出さない期間はマンスリー賃貸として運営し、収益を確保するという選択肢もあります。

しかし、一般の賃貸物件を民泊に利用する場合、競合が多い上に安全性や地域との問題などが生じます。

古民家であれば物件自体、その数がまだ少なく、さらに訪日外国人の需要も見込めます。また、古民家宿泊鑑定を利用することで、安全性なども担保できることになります。

注意すべき問題点とは

古民家の民泊は需要がありますし、民泊ビジネスとしての利用価値は高いと言えます。一方で、日本政策投資銀行のレポート(2016年3月、アジア8地域の訪日外国人が対象)によると、日本の伝統的な住宅に泊まりたい訪日外国人の割合は京都49.1%、北海道45.1%、東北40.4%、九州38.7%というように地域によって偏りがあります。東京は古民家自体が少ないこともあり、30.5%です。

このように民泊ビジネスを始めたい人が、自身の住む周辺エリアで古民家での民泊をスタートさせても、十分な需要があるかという点が問題になります。とはいえ、離れた地域の物件を購入すると、実際のメンテナンス状況などの確認ができません。

さらに購入した古民家をリノベーションするには、それなりの費用が掛かります。古民家宿泊鑑定で耐震補強や断熱性の向上が求められた場合、比較的大掛かりな工事が必要になることもあるので、相応の費用も用意しなければなりません。

大手メーカーの集計によると、古民家リフォームの費用は1501〜2000万円が20.5%、501〜1000万円が17.9%、1001〜1500万円・2001〜2500万円がそれぞれ15.4%となっています。これらの費用を回収する収益が期待できる物件選びが必要ですし、そのためにも古民家宿泊鑑定の需要が増えるものと予測できます。

民泊新法に伴い古民家宿泊鑑定がスタートしたことで、放置されている古民家が再生され、多くの訪日外国人を増やすことも期待できます。それによって、古民家を活用した民泊ビジネスも増えるかもしれません。それがさらなる古民家宿泊鑑定の需要につながると考えられます。

「全国古民家再生協会」(古民家宿泊鑑定に関する内容)
http://www.g-cpc.org/topics/6644.html

楽天LIFULL STAY、レオパレス21初となる民泊物件の運用代行を開始
https://www.leopalace21.co.jp/news/2017/1220_2272.html

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