待機児童問題の解決策として期待される「送迎保育ステーション」とは?

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送迎保育ステーション
少子化で子どもの数が減っているにもかかわらず、地域によっては希望する保育所に入れない、いわゆる待機児童が多くいます。その解消に向けた取り組みのひとつとして、送迎保育ステーション事業があります。特に共働きなどで送迎が大変という保護者にとっては便利に利用できるサービスです。

今回は送迎保育ステーションの内容や待機児童の解消につながる理由などについてご紹介します。

送迎保育ステーションとは

2001年に閣議決定した「仕事と子育ての両立支援策の方針」には、待機児童ゼロを目指す具体的な施策として郊外の保育園への送迎サービスの提供など、地域に即した取り組みの推進が盛り込まれています。具体的には、駅をはじめ利便性の高い拠点施設を保育に活用する、送迎保育ステーションの整備などに対して支援や助成を行うなどの例が挙げられます。では、送迎保育ステーション事業とはどのようなサービスなのか、その概要を見ていくことにしましょう。

送迎保育ステーションの役割は子どもの送り迎えと保育を行うこと

送迎保育ステーションは、保育児童の送迎拠点となる駅などに設置される施設です。朝、自宅から送迎保育ステーションまで保護者が子どもを連れて行くと、集まった子どもたちは専用バスで指定の保育施設に送り届けられます。保育時間が終了すると、再び子どもたちは送迎保育ステーションに送られ、そこで保護者が迎えに来るのを待ちます。保護者を待つ時間は、この送迎保育ステーションが子どもの保育場所になります。

送迎保育ステーションが待機児童の解消に役立つ理由

住宅地の近隣などにある保育施設は利用希望者が多く、全ての希望者を受け入れることができないため、入所できない子どもが出てきてしまいます。このように、入所要件は満たしているのに、保育施設に入所できない子どもを待機児童と呼びます。2018年4月11日に厚生労働省が公表した資料では、2017年10月1日時点での保育園等の待機児童数が全国で5万5433人となっています。

送迎保育ステーションは、この待機児童の解消につながるものとして、首都圏を中心に整備する自治体が増えています。その理由について、厚生労働省は地域の保育施設に空きがあっても、駅や自宅から遠いために利用できない保護者が多いためとしています。つまり、送迎保育ステーションの利用によって保育施設の需要と供給のミスマッチを埋めることで、待機児童の解消につながることが見込まれるというわけです。

送迎保育ステーションを運営するのは各区市町村

この送迎保育ステーションを運営するのは自治体である区市町村です。国が運営費の3分の1と施設整備費の一部を補助し、当該自治体の負担を軽減します。また、既存の保育施設の分園として開設することにより、自治体は運営をその保育施設に委託することもできます。

施設を駅前などに整備することで、例えば共働きの保護者が自分の通勤時間に合わせて子どもの送迎をすることが可能になります。

送迎保育ステーションを利用するための方法

送迎保育ステーション
送迎保育ステーションの利用方法は自治体によって異なる部分もありますが、2007年7月にオープンした千葉県流山市の例を見ていきます。

利用条件について

流山市の送迎保育ステーションは2ヵ所あり、そこから市内の指定保育施設へ子どもを送迎しています。ひとつは「南流山」駅前の立地、もうひとつも「流山おおたかの森」駅とデッキでつながったビルの4階にある認可保育園の一角を利用しており、いずれも都心方面への通勤に便利なつくばエクスプレス線の主要駅の近くです。

利用対象となるのは、市内の保育施設に入所している1歳以上で、保育施設の開所時間と保護者の通勤時間帯を調整するのが難しいなどの理由がある児童としています。

申し込みは書面で行い、保護者は送迎保育ステーションのスタッフと面談を行います。最終的な決定は市が行い、書面で利用の可否が通知されます。

利用当日の流れについて

利用当日のスケジュールは、朝7時から7時50分までの間に送迎保育ステーションに保護者が子どもを預けます。8時頃バスが各保育施設に向けて出発し、9時頃には子どもが保育施設に登園します。

夕方は16時頃にバスが保育施設に向けて出発し、子どもは降園となります。17時頃には送迎保育ステーションに到着、18時まで子どもはそこで過ごし、保護者が迎えに来ると帰宅します。18時01分を過ぎると、子どもは併設している認可保育園での預かりとなり、その場合は別途料金が発生します。延長保育の時間は2つある送迎保育ステーションでそれぞれ異なり、平日は20時あるいは21時まで、土曜日はどちらも19時までとなっています。

利用料金と注意点について

利用料金は月額2000円、または1日100円です。延長保育を利用する場合には、送迎保育ステーションへ問い合わせをする必要があります。利用料金に長期の未納があれば、利用は解除されます。

注意点として、育児休暇を取得中の場合は原則として送迎保育ステーションの利用はできません。また、週に1回程度、保護者は保育施設へ子どもを直接送迎する必要があります。

待機児童が増える理由と送迎保育ステーションの需要

送迎保育ステーション
厚生労働省が2017年9月1日に公表した資料では、同年4月1日時点における全国の保育所等数3万2793ヵ所、児童の定員273万5238人に対して、その利用児童数は254万6669人となっています。つまり定員充足率は93.1%です。利用児童数は前年比で3.6%増加していますが、定員数も3.8%増加しており、この数字だけを見ると保育施設の数は十分に足りているように思えます。

しかし、保育所等待機児童数は2017年4月1日時点で2万6081人です。しかも待機児童がいる区市町村数は420で前年から34増加しています。このうち、首都圏(埼玉・千葉・東京・神奈川)と近畿圏(京都・大阪・兵庫)の7都府県、それに他地域の指定都市・中核都市を加えた待機児童数は1万8799人と全体の72.1%を占めます。ちなみに2017年4月1日時点の待機児童数に比べて前述した同年10月1日時点での数が大幅に増えているのは、待機児童の定義が見直されたことによります。それまで待機児童にカウントされなかった、保育施設に入れないため育休を延長したという場合なども含めて集計するようになったからです。

都道府県別で見ると多い順で、東京都8479人、沖縄県2047人、千葉県1658人、埼玉県1151人、福岡県1149人、兵庫県943人、神奈川県742人となっています。沖縄県を除くと都市部が多いことが分かります。

このように首都圏をはじめ都市部で待機児童が多いのは、共働き世帯が増えていることが関係していると考えられます。内閣府男女共同参画局が2016年に公表した資料によると、1980年以降夫婦ともに雇用者となる世帯が増加を続けて、1997年以降は共働き世帯が男性雇用者と無業の妻の世帯を上回っています。

共働き世帯の増加で保育施設が必要なのに、都市部では保育施設の新設が難しいことも、待機児童の解消を妨げる要因になっています。保育施設を新設する場所を確保するのが難しい上に、通勤途中に子どもを預けることができる利便性の良い駅周辺となれば賃料もそれなりに高くなります。つまり保育施設を運営するためのコストが上昇します。そうなると保育士の人件費が削られてしまい、必要な人員を確保するのも難しくなります。そこで、受け入れに比較的余裕のある駅から少し離れた場所の保育施設を活用し、子どもを送り届ける送迎保育ステーションが注目されているのです。

送迎保育ステーションを利用するメリット

送迎保育ステーションへの需要が増えることで待機児童数の減少が期待できるとともに、利用するメリットも色々とあります。

まず、保育施設の選択肢が広がることです。送迎保育ステーションの利用によって、保護者の通勤事情で送り迎えが難しく入所を諦めていた保育施設にも通うことが可能になります。また、兄弟姉妹を同じところに通わせたいという場合にも、保育施設を見つけやすくなります。

自治体にとっては、入所希望の子どもと保育施設の需給バランスの適正化に役立ちます。定員割れの保育施設では、これまでなら希望されなかった地域からの子どもを確保でき、運営面でのメリットになっています。

駅周辺のように共働き夫婦が子どもを預けやすい保育施設となると、特に都市部ではなかなか空きが出ないものです。しかし、送迎保育ステーションの利用で、定員に余裕のある保育施設に子どもを預けることが可能になります。また、送迎保育ステーションによっては保育時間の延長などもあるため、仕事帰りの時間が不規則な保護者にとっては利用しやすく、安心して仕事ができます。このような点で、送迎保育ステーションは、保護者の送迎負担の軽減や待機児童の解消、さらには少子化への対策にもつながることが期待できるサービスと言えるでしょう。

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