【前編】実際はもっと多い待機児童? 受け皿整備不足が浮き彫りとなった学童保育の実態『データには示されない学童保育の現状と課題〜全国学童保育連絡協議会〜』

ソーシャル

関連キーワード
学童保育
レオパレス21は、経済産業省と東京証券取引所が共同で進める「準なでしこ」に選定されるなど女性の社会での活躍を応援し、社内において働き方改革を実施しています。ただ、女性の社会進出に伴い、保育園の待機児童問題が浮き彫りとなってきました。小学生が通う学童保育も同様で、児童の受け皿不足が生じています。

そこで女性が子どもを安心して預けて働ける社会づくりにも通じる、学童保育の発展(待機児童問題を含む)に取り組む全国学童保育連絡協議会の活動に着目し、学童保育の実態や待機児童が減らない理由、問題解消のための対策や活動内容、政府の補助金の事情などについて、全国学童保育連絡協議会の千葉智生事務局次長(写真左)と佐藤愛子事務局次長(写真右)に話を伺いました。

※学童保育とは、保護者が就労等により、昼間家庭にいない児童を預かる仕組みのことです。小学校施設内や児童館内などを利用し、指導員のもとで宿題をしたり、遊んだりしながら放課後を過ごします。公設や民設など地域により様々な運営形態があるのが特徴です。

子どもの成長を見守る団体として、地域で必要とされる学童保育

学童保育
Q:全国学童保育連絡協議会について教えてください。

佐藤:全国学童保育連絡協議会とは、保護者と指導員が1967年に結成した民間団体です。月刊『日本の学童ほいく』の発行や全国学童保育研究集会、指導員の研修として「全国学童保育指導員学校」を全国8ブロックに分けて年に8回以上開催しています。また、学童保育に関する調査研究なども実施しています。

Q:どのような形で学童保育は、運営されているのでしょうか。

佐藤:学童保育はその地域で必要とした人たちがつくってきました。そのような経緯があるため、運営体制や内容は地域によって違います。ちなみに運営主体は公立公営が減少し、社会福祉協議会やNPO法人、民間企業による運営が増えています。運営する場所も、学校内や家を借りて行うところもあれば児童館もあります。

千葉:学童保育は、保育園と同じように時間を延長して運営して欲しいという声もあることから、終了時間が延びてきています。小学校の1年生から6年生までが通う、子どもの心身の発達に大きく影響する場所です。そのため学童保育では、基本的に家庭と同じようにゴロンと寝転べるような場となっています。その中で、子ども自身がやりたいことを相談し、仲間をつのって遊ぶこともあります。

データが示す待機児童数「0」が、その地域に待機児童がいないとは言えない理由

学童保育
Q:学童保育でどのような問題が生じているのか教えてください。

佐藤:やはり待機児童の問題が挙げられます。全国学童保育連絡協議会では、年に1回学童保育の実施状況調査を行います。
調査の結果分かった2018年の学童保育の待機児童数は1万6957人でした。同時に待機児童数を把握していない自治体が165あり、全体の10.2%に及びます。学童保育はこれまで定員や規模に関する国の基準が十分ではなく、入所の制限を設けていない施設や自治体もあります。その場合、当該自治体における学童保育の待機児童数が「0」となるケースもあります。

大規模な学童保育では、子どもたちが「騒々しくて落ち着けない」「些細なことで喧嘩になる」「気の合う数人の子どもだけで過ごす」という問題が起こりやすく、事故が起こると入院が必要なケガにつながってしまうこともあります。その結果、遊びや活動を制限させている状況も出てきます。

中には自治体が「放課後子ども教室」など、他の事業を学童保育の受け皿とすることで、待機児童数「0」とすることもあります。そのようにすると待機児童は出ないわけです。

千葉:例えば4月の時点で何人か待機児童が出たとしても、途中で学童保育に通うのをやめる子どもたちが出たりすると、最終的には1年を通しての待機児童数が「0」となるため、学童保育の施設を大幅に増やさなくても良いと市町村が作成する「子ども・子育て支援事業計画」では優先度が低いと判断されることもあります。
それは、子どもたちが毎日通い続けられない状況を、大人の都合でつくりだしているという意味でもあります。

学童保育に子どもたちが毎日通えるよう導く「保育の質」の改善

Q:それでは、子どもたちが「毎日通い続けられる」ようになるには、どうすれば良いと思いますか。

千葉:家庭での事情の変化などで変わることはありますが、自治体内で何十人もの子どもが通うのをやめていく今の状況です。やはり「保育の質」を高める必要があると思います。

佐藤:そうですね。子どもが必要な期間通い続けるためには、指導員さんと子どものしっかりとした関わりが必要です。

2015年に「放課後児童支援員」という資格が生まれたため、資格を取得するための研修が始まりました。資格制度ができるまでは、私たちのような民間団体の研修は、学ぶ意欲がある人にしか届きませんでした。しかし、資格制度ができたことで、これまで研修に興味のなかった人たちにも、資格を取る必要が生じ、きちんとした研修を受ける機会が生まれ、以前より保育の質が向上しているのです。

Q:研修を受けることで、どのような変化が生まれるのでしょうか。

千葉:月刊『日本の学童ほいく』の取材の関係で現場の指導員さんと話をする機会があるのですが、やはり保育に関わる時の視点だとか、あるいは保護者との関わり方は確実に変わってきていますね。

佐藤:「実際に学童保育の中で子どもたちと向き合ってみると大変で、悩むことも多くありました。しかし、研修を受けたことによって改めて、自分がどういう風に子どもの気持ちを理解して振舞えば良いのか分かりました」と言ってくださる指導員さんは大勢います。そういうことの積み重ねの中から次のステップが生まれてくるのだろうなと思います。

後編では、待機児童の受け皿となる学童保育施設の整備状況や国からの補助金などの支援も含めた問題の解決策について話をお聞きします。

(プロフィール)

全国学童保育連絡協議会
事務局次長
千葉智生
1959年生まれ。1983年から自治体職員として、公立公営の学童保育の指導員を32年勤める。市町村・都道府県の連絡協議会で、学童保育をより良くするための活動を行ってきた。
2015年から現職。

全国学童保育連絡協議会
事務局次長
佐藤愛子
娘さんが通った学童保育で、指導員から子どもたちの話を聞くたびに、働きながらの子育てを支えてもらっていると実感。2004年から全国学童保育連絡協議会職員となり、2014年から現職。

全国学童保育連絡協議会
http://www2s.biglobe.ne.jp/Gakudou/

レオパレス21、「準なでしこ」に選定
https://www.leopalace21.co.jp/news/2017/0324_1431.html

その他のおすすめ記事

その他のソーシャルの記事

キーワード一覧

 ページトップ