【前編】適正賃料はAIが決める!? 新たな賃料査定システムとは『不動産業界初の試み AIを活用した賃料査定システム導入の背景』

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レオパレス21は不動産業界初となる、AI(人工知能)を活用した賃料査定システムを開発し、2018年2月より導入を開始しています。
その推進に力を入れる背景や現況について、全社横断で先進技術の採用に取り組むコーポレート業務推進第1部賃貸関連業務推進課の大塚雅人課長(写真右から2人目)、田所直樹係長(写真左)、データを取り扱う情報システム部システム統制室データ統制課の醍醐大課長(写真右)、そして、賃料査定を担当する賃貸事業部予算管理部募集家賃管理課の樋渡正伸課長(写真左から2人目)に伺います。

「賃料査定の属人化からの脱却」「賃料変更作業の業務負荷低減」が大きな狙い

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Q:従来の賃料査定の問題点や課題を教えてください。

田所:賃料査定は適正化のために多くのプロセスを経て算定されていますが、一部の現場社員がその経験値によって担っていたため、一部属人化が課題となっていました。その属人化から脱却するために、経営層からAIによる自動化ができないかという問い掛けがあり、2016年秋からプロジェクトが始まりました。それまでは本部が決めた賃料と、現場社員が地域性など現況を踏まえた上での希望する賃料との間にズレがある場合も少なくなく、現場社員から本部に対し賃料見直しの申請が行われていました。

大塚:そうした修正をその都度、本部と現場の間で行っていたのですが、このAIを活用した賃料査定システムに取り組んだことで、業務負荷など工数の軽減につながっています。

醍醐:賃料査定の相場感というのは決定的なものがあるわけではなく、正解を指し示すのはなかなか難しいと考えています。一方、当社の賃貸事業においては、オーナー様とサブリース契約を結んだ上で入居者様へ貸し出しを行っており、現場担当者から賃料見直し申請依頼が、本部と現場双方の業務負荷として課題となっておりました。
その際に、本当に見直しすべきかどうかをジャッジするのも難しく、それであればと、色々とデータを組み合わせていく中で、AIを使いながら適正と思われる賃料算出に近づけることをターゲットとするようにしました。

Q:導入はどの程度進んでいますか。

樋渡:2018年2月に導入を開始して、全国の当社物件57万戸の内、入居者様が退室されて再募集を行う際にAI賃料を参照の上設定しているので、現在は当社物件の2割程度にAIによる賃料査定を実施しています。

Q:実際どのように賃料査定にAIを活用されたのでしょうか。

醍醐:これまで当社が蓄積してきた賃料設定データに加え、専有面積・間取り・築年数といった物件の基礎情報や駅からの距離といった立地条件、病院や学校、コンビニなど生活インフラの有無といった周辺情報、そのほかにも外部要素として必要と思われるデータを、ディープラーニング(深層学習)技術によってAIに学習させ、より正解に近いと思われる賃料を算出させるというものです。
特に外部要素などは、これを入れたらどうなるだろうといったトライ&エラーも行っています。例えば、契約日の天候が晴れか雨かなども賃料交渉に関わるかもしれないなど、柔軟な発想で用いるデータについて考えたりもしています。それも含め、ディープラーニングを継続的に行っていくことで、将来的には価格変動や需要予測を加味した賃料査定にまで、精度を高めていけるのではと期待しています。

適切な賃料査定データで学習を進めることで、さらなるAI賃料査定システムの精度向上へ

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Q:レオパレス21はAIによるソリューションの導入に積極的ですが、賃料査定にAIを用いるのはどのようにして始まったのですか。

大塚:今回のAIソリューションとして、AI Inside社の人工知能「Neural X」を活用していますが、同社はAIの画像認識技術によるシステム導入を手がけており、当社としても活用しているため、お声がけをさせていただきました。もちろん賃料査定システムについては、幾つかのベンダー様からもご提案をいただきましたが、AI Inside社がやはり技術的にも優れていましたので、システム構築ベンダー様として選定させていただきました。
AIを目的に沿って用い、成果を出すためには、入力されたデータに対して適切な回答を出力できるよう、当社なりの蓄積してきた賃料査定データを学習データとして組み込み、トライアル段階では正解に対する誤差が3000円くらいと、使用に適したものではなかったのが、学習を進めることにより数百円くらいにまで縮められ、使用できるまでになりました。
そうして2018年2月に導入、発表を行いました。

田所:最初に、どのデータが必要なのかを決めるのは大変でした。AIというものは、データを入れれば入れるほど良い結果が得られると思っていたのですが、そういうわけでもなく、余計な反応を引き起こしかねませんし、苦労して学習データとして取り込んでも意味のないデータということもありました。

Q:お客様や営業現場からの反響はいかがですか。

樋渡:実際に賃料変更修正申請の件数も減少傾向にありますし、継続学習中ということで、さらなる精度向上にも期待しています。
大塚:現場からの申請件数が減ってきているということは、提案させていただいている入居者様からもある程度ご理解いただけている状況になりつつあるということで、顧客満足度の向上という面でも効果を感じています。

(プロフィール)
株式会社レオパレス21
賃貸事業部予算管理部 
募集家賃管理課
課長
樋渡 正伸
2003年入社。4年間賃貸営業を経験後、2007年に本社へ異動し現在に至る。

株式会社レオパレス21
情報システム部
システム統制室データ統制課
課長
醍醐 大
2007年8月賃貸事業本部に入社し、本社勤務にて本部業務を経験。2010年7月より情報システム部へ異動後、現在に至る。

株式会社レオパレス21
コーポレート業務推進第1部
賃貸関連業務推進課 
課長
大塚 雅人
1996年入社。賃貸事業部所属として新卒当初より各支店を経験。2006年6月より本社勤務にて、借上審査課、賃貸業務部を経験後、2011年5月より 法人営業部業務課に配属。2014年5月よりコーポレート業務推進統括部へ異動後、現在に至る。

株式会社レオパレス21
コーポレート業務推進第1部
賃貸関連業務推進課
係長
田所 直樹
2000年入社。建築営業/賃貸営業それぞれの営業職を経験。2008年4月より本社勤務。賃貸事業部予算管理課にて賃貸事業部の本部業務を経験。2016年5月よりコーポレート業務推進統括部へ異動後、現在に至る。

不動産業界初、全国の管理物件約57万戸を対象とするAIを活用した賃料査定システムの導入開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000458.000005429.html

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