【後編】SBP活動とは? 官民地で支援する、高校生と地域の協働による地域振興活動 『高校生への支援と地域社会の活性化に「SBP」が果たす役割〜文部科学省総合教育政策局』

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高校生が地域の資源を活用して街づくりやビジネスを提案し、その取り組みを地域の大人が応援して、支えていくのが「SBP(ソーシャル・ビジネス・プロジェクト)」です。
前編では、そのイベントを共催する文科省の狙いをお聞きしました。後編では引き続き、SBP活動の詳細と役割について、所掌する同省総合教育政策局地域学習推進課の丹野史教課長補佐(写真右)と、地域振興係の廣田一利係長(写真左)にお聞きします。

同じような思いで取り組みを進める高校生同士が交流を深め、刺激し高め合う

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Q:SBP活動の発表の場である「全国高校生SBP交流フェア」はどのようなものですか。

廣田:2日間のプログラムで三重県伊勢市を会場とし、2018年の第3回には全国28の高校生を主体とする団体が参加しました。チャレンジアワードと称している発表部門には、各団体がポスターセッションでそれぞれのSBP活動を紹介します。その後、「夜の市」と呼ばれる実践的な販売交流会があったり、2日目には協賛企業などの提供によるワークショップも開催されます。これらは、ソーシャルビジネスに関連する学びと交流とが得られる内容となっています。メイン部門であるチャレンジアワードでは、予選のポスターセッションから決勝のオーラルセッションへと、エントリー19団体の内7団体が選出され、ステージ上でのプレゼンテーションを行いました。その後、各種の表彰が行われますが、アワード閉式後にはバイキング料理形式の交流会で親睦を深め合う企画も用意されており、大変充実した2日間の内容となっています。生徒は同じ宿泊所に泊まりますので、文字通り寝食を共にしながら交流を深めるわけです。

Q:表彰というのは、モチベーションになりそうですね。

廣田:文部科学大臣賞や三重県知事賞のほか、協賛企業などによる特別賞といった多くの賞があります。評価基準として「SBP」の概念である「ビジネスの手法を取り入れている」、そして「地域との関わりを持っている」「発想が斬新である」といった指標を得点化して、協賛企業を中心とする審査員の方々に採点していただき受賞のプロジェクトが決まります。
もちろん、このような評価を得られることはモチベーションにもなると思いますが、そもそも交流フェアの目的は、様々な取り組みを各地で実践する高校生が集まり、交流を深めて視野を広げる点にあります。同じような思いでSBP活動をしている、同じ高校生同士との交流自体が、次のステップへの励みとなっているのが大きなポイントです。自分たちの取り組みを発表するとともに、互いの発表を間近で見ることでヒントを得たり刺激を受けたりすることができます。それがまた、自分たちの活動の見直しやブラッシュアップにもつながり、生徒自身の成長と、まちおこしの創造にもつながっていくわけです。そこにSBP活動の本質があり、価値があると考えています。文科省としても、その意義を大いに認識しています。

学習から探求へ。教育のあり方が変化する中で、地域社会の一層の関わりを

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Q:学校教育とはまた別軸の、体験学習・アクティブラーニング的な側面があるのですね。今の世の中の流れ、日本の社会の状況から見て、この活動の価値をどのようにお考えでしょうか。

丹野:日本は人口減少の局面にあり、東京一極集中という現実もあります。その中で、地元の産業や文化を知ることで地域への愛着が得られ、定住やUターンを促す効果というのもSBP活動に期待されているところです。また、高齢化や継承者不足などで地域コミュニティの崩壊も危惧されますが、そこに若者が加わって地域を元気にしていく、周囲を巻き込んで盛り上げていくといったことも望まれます。SBP活動は、他県や海外から資源を持ち込んで個人商店的にビジネスを行うといったことではなく、それぞれが地域にあるものを題材として取り組んでいくという点で、まさに地域振興を考えるきっかけとなるものだと思います。

また、必ずしも地域の物産や技術を活かすというだけではありません。例えば、京浜工業地帯にある神奈川県立川崎高等学校では、都会にもかかわらずミツバチの巣を発見したことから、養蜂に取り組み、蜂蜜をつくるようになりました。ミツバチがいる、自然が残っているという気づきから、ここから何かができないだろうかと発想を広げ、行動に移したわけです。このように、一歩踏み込んで考えることが、これからの高校生たちには必要な気がしています。

Q:ビジネス的観点、商売っ気と言えるようなものですね。通常の学習では身につけるのが難しそうです。

丹野:現行の学習指導要領において、「総合的な『学習』の時間」が運用されていますが、それが2018年3月に告示された改訂によって、「総合的な『探求』の時間」に変わります。受身で学ぶのではなく、さらに深掘りをしていく、つまり、自ら課題を発見し、皆と協働し解決していくといった視点が求められるのです。ですから、SBP活動に参加する中で、自ら気づきを得た高校生というのは素晴らしいと思います。それを周囲の大人たちが引き出して、暖かく協力するという形態がとても良いと思います。

学習指導要領の基本姿勢としても、「社会に開かれた教育課程」が謳われています。これから大人になっていく子供たちに、どのような資質や能力が必要なのかを社会と共に考えることが大切です。学校と地域社会の連携は重要なテーマであり、コミュニティスクールや地域学校協働活動といったものも含め、大きな目標として掲げています。これから学校と地域社会にはますます関わりを深めていっていただきたいですし、その際には、高校生がこれをやってみたいという興味や関心、面白い気づきを持ったのであれば、信頼できる大人の一人として支えていただけたらと思います。

Q:今後の展望をお聞かせください。

廣田:交流フェアの形態としては、第3回の内容がほぼ完成形と考えています。SBP活動について、文部科学省では調査研究を2017年度に行いました。そこに参加した高校生の声として、「地域の課題について調べたり、考えたりする機会になった」「人前で発表する機会が、その後の学校生活でも増した」「自分の自己肯定感を高めることにつながっている」「信頼できる地域の大人との出会いが自分自身を成長させた」という回答が多数ありました。その点からも、SBP活動は高校生の成長に大きく関わっていると言えます。その結果、卒業後も地域と関わりたい、地元に残りたいと考えるようになった生徒も多くいます。また、地域への波及効果の点でも大人たちの声として、高校生が活動に参加することで地域資源の発掘による新しい事業や商品の創出、地域活動の活性に期待を持っていると表れています。

丹野:文部科学省としても、この活動を見守り、支援していきたいと考えています。新たな地域や自治体に、SBP活動に対する関心を寄せていただいた場合には、主催団体に同行してご説明を後押ししたり、ワークショップや在京の協賛企業の方にご理解をいただけるようパイプ役となったりしていますが、このようなサポートを含め、地域それぞれの教育的観点から支援は続けていきたいと思います。

レオパレス21では、若者への社会貢献活動の一環として、2017年の第2回「全国高校生SBP交流フェア」から、マスキングアートやエコキャップアート制作といったワークショップの提供を行っています。高校生や大学生に向けた様々な取り組みや、官民地の協働プロジェクトへの積極参加が、若い世代への支援や地域社会の活性化に貢献できる貴重な機会となっています。

(プロフィール)

文部科学省
総合教育政策局 地域学習推進課
課長補佐
丹野 史教

1997年入省。官房政策課、愛媛大学財務企画課長等の勤務を経て、2012年より生涯学習政策局情報教育課、社会教育課での課長補佐を歴任し、2018年10月より現職。

文部科学省
総合教育政策局 地域学習推進課
地域振興係 係長
廣田 一利

大学卒業後、中学校教諭、教頭としての勤務を経て、2017年4月より千葉県教育庁にて指導主事、社会教育主事を歴任し、同年10月より出向。2018年10月より現職。

文部科学省 全国高校生SBP交流フェア
http://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/chousa/1388918.htm

レオパレス21が「第3回全国高校生SBP交流フェア」に参加
https://www.leopalace21.co.jp/news/2018/0806_2571.html

全国高校生ソーシャルビジネスプロジェクト
http://mirai-otona.jp/

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