スウェーデンでは9割! 男性育児休暇の取得率を支える制度や社会のあり方

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育児は女性の専業、かつて日本ではそのように思われていましたが、時代は大きく変わりました。「イクメン」という言葉が一般化しているように、男性も自ら育児に関わるようになってきています。

そこで気になるのは、男性の育児休暇の取得率です。最近では、日本の企業でも男性育児休暇制度を設定するところが増えてきていますが、実際どのように利用されているのでしょうか。
この男性育児休暇について参考にしたい国が、福祉大国として知られる北欧のスウェーデンです。スウェーデンには、父親と母親を合わせ、480日の有給育児休暇を取得することのできる制度があります。

ここでは、スウェーデンの男性育児休暇取得の現状を見ながら、日本ではどうあるべきかを考察していきたいと思います。

比較にならない日本とスウェーデン男性育児休暇の現状

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労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査によると、スウェーデンにおいては早くから、「子どもの福祉」「雇用の安定」の両面から社会制度の整備をしており、1970年代以降、男女ともに仕事と育児の両立の実現を目指した、多角的かつ包括的な政策措置を施してきました。

その結果、全育児休業日数に占める男性のシェア率は40%以上となっており、ほぼ平等な育児休業の配分をしているとされるカップルの割合は、2005年では全体の8%、2013年では14%となっています。また、育児休業取得日数が60日以上の男性の割合は、2005年では全体の35%、2013年では44%へと伸びています。
そして、2014年には、男性の育児休暇取得率は90%近くに上っています。
これに対して、同年の日本の男性育児休暇得率は2.3%と比較にならないほど低い水準にあります。

この背景には、もちろん国民性の違いもあるのでしょう。バブル期には「24時間戦えますか?」というCMが話題になり流行語にもなったほど、日本人は長時間労働が豊かな生活を運んでくると捉えていた過去の歴史があります。

しかし、その数値の差は国民性だけが理由ではなく、スウェーデンと日本の男性育児休暇に対する施策のあり方や雇用側・男性自身の意識の違いも大きく影響しているのではないでしょうか。

雇用側の意識がもたらす日本の男性育児休暇取得率の低さ

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まず、スウェーデンでは、前述のように父親と母親を合わせて480日の有給育児休暇を取得することができます。2015年までは、480日の内で相手に譲ることができない育児休暇日数は60日ずつでしたが、2016年1月に制度が改正され90日に増えました。

さらに、この育児休暇は利用しなければなくなってしまう仕組みになっています。これが男性の育児休暇取得率の向上にも、つながっているのではないかと思われます。また、スウェーデンでは育児休暇の分割や子どもが8歳になるまでは、勤務時間を短縮することができる制度となっています。

そして、育児休暇の内、390日は休暇前の給与の80%が支払われ、新たに子どもが産まれるたびに育児休暇が加算されるため、子どもが多いほど休暇日数が増えていきます。このように、スウェーデンでは育児休暇制度が充実しており、両親の働き方にも様々な選択肢があるのです。

一方、日本でも最近「働き方改革」が叫ばれ、国を挙げて推進していますが、現状ではなかなか進まず、相変わらず長時間労働を続ける企業や組織が多いように思われます。

その原因のひとつとして、日本では、育児休業中に雇用保険の被保険者に支給される育児休業給付金について、育児休暇取得後の半年間は休業前の賃金月額の67%が給付されますが、半年を過ぎると給付額は50%にまで下がってしまうことが影響していると思われます。

これは休業中の収入を保証してくれる制度ですが、せっかく家族の一員が新しく増えたのに育児休暇取得によって大きく所得が減ってしまう、そうした状況に不安を覚える方も多いのではないでしょうか。

これに対してスウェーデンでは、共働きの家庭が多く、家事・育児の分担も夫婦平等です。それを可能にしているのが、労働時間の短さなのです。同国では残業がほとんどなく、両親ともに早く帰宅し、平日でも子どもと過ごすのが基本スタイルのようです。このように、スウェーデンでは充実した育児支援のための下地が整っています。これが高い男性育児休暇取得率につながっているのでしょう。

それでは、なぜ日本とスウェーデンの間に、これほどの差があるのでしょうか。これについて、日本のメディアの取材に対し駐日スウェーデン大使のマグヌス・ローバック氏は「雇用側の意識」が原因であると語っています。

ローバック氏は、「スウェーデンでは、男性が育児休暇を取得することが社会的に広く受け入れられているが、雇用側の理解と受容も大きい。今の日本は、制度は整っているものの環境が許さないという状況がある」と話したそうです。

現状から見て、日本で男性の育児休暇取得が社会的に受け入れられるためには、今後かなりの時間が必要と思われます。日本に男性育児休暇を普及させるためには、社会的な有力者や企業の上層部が率先して育児休暇を利用することが重要だとローバック氏は語っています。なぜなら、上の世代の姿を見ることで、若い人の意識が変わっていくからです。

日本では、ローバック氏が指摘するように「雇用側の意識」がまだ浸透していないように思われます。これこそが、男性育児休暇取得率の低さの大きな要因なのではないでしょうか。

日本でも始まった男性育児休暇取得率向上の動き

しかし、日本でも前述した「働き方改革」の推進や、これまでの世代とは考え方の異なる若年層がどんどん父親になっていくにつれ、状況は少しずつ変わっているようです。

「育児は女性」という固定観念も薄らいできており、男性育児休暇を利用しやすい職場の雰囲気づくりを始めた企業も増えてきています。

例えば、レオパレス21では、早くから男性の育児への積極的な参加への取り組みが進められており、同社の2017年11月の発表によると、2016年10月1日から2017年9月30日までに配偶者が出産した男性の内、育児休業を開始した(申出中を含む)男性の育児休暇取得率は、2020年の政府目標である13%の男性育児休暇取得率を、はるかに超える21.4%という高い取得率を実現しています。

同社のワークライフバランス推進室の国谷英吾次長は、「2016年11月に社長の指示で、男性の育児休暇取得の取り組みを強化していくという通達がありました。当時、男性の育児休暇取得率は全産業平均で3%程度でしたが、女性の活躍を進めて女性の労働力を活用するには、配偶者である男性の育児休暇取得を進めなければ、女性の労働力の活用にはつながらないと考えられていました。レオパレス21でも女性活用を進めており、その女性が働きやすい職場風土を醸成するためにも、男性の育児休暇取得が重要だとされていたのです」と、この取り組みを始めた経緯について語っています。

同社の具体的な施策としては、育児休暇取得を促すメールを本人と上司に送信、妊娠が分かった早い段階で会社に通知する「ウェルカムベビー登録」という制度などを取り入れたそうです。

こうしたレオパレス21の事例のように、日本の企業の意識も変わりつつあるようです。スウェーデンでは、育児休暇制度の充実によって、夫婦共働きの家庭も多くなり、家事・育児の分担が夫婦平等に行われています。世界的に見れば、もはや男性が育児をするということは当たり前の時代となっているようです。

現在、日本においても、スウェーデンの男性育児休暇取得のあり方をひとつの参考にしながら、日本独自の文化や気風に合わせた男性育児休暇がしっかりと根づいた社会づくりが求められています。

レオパレス21が男性育児休業取得率21.4%達成
https://www.leopalace21.co.jp/news/2017/1128_2244.html

レオパレス21が「東京都女性活躍推進大賞」優秀賞を受賞
https://www.leopalace21.co.jp/news/2019/0116_2727.html

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