民泊は本当に盛り上がる? ホテル不足が懸念される2020年東京オリンピック

ソーシャル

関連キーワード
オリンピック 民泊
これまで、増加を続ける訪日外国人旅行者数に対して、2020年の東京オリンピック開催時にはホテル不足になることの懸念がされてきました。
しかし現在、新規開業するホテルが増えていることに加え民泊需要も活発となっているため、宿泊施設が不足するという予想は解消されつつあります。
そこで実際に、民泊の需要はどのくらいあるのか、また供給状況についてはどうなっているのかを解説します。

東京オリンピックを控え予測される宿泊施設の不足

観光庁が2018年6月11日に公表した「訪日外国人旅行者の受入環境整備」では、2020年の訪日外国人旅行者数を4000万人と想定しており、2016年8月26日にみずほ総合研究所が発表したレポートでは、宿泊施設が4万4000室不足するとの試算結果がでています。これは観光関連事業者にとって大きな問題であることから、官民がそれぞれに対策を考えて宿泊施設不足の解消に臨むことになりました。

しかし、新たなホテル建設のための用地確保が困難であったため、民間では空きオフィスや空き家をホテルに転換する取り組みを行いました。これには投資額が少なく、しかも工期が短くて済むというメリットがあります。一方で、大手銀行が民泊仲介業者と業務提携を結び、空き社宅を民泊の宿泊先として利用できるようにと、リノベーション費用の融資拡大を発表してもいます。

国土交通省は2016年6月に、宿泊施設の容積率緩和制度の創設について、地方公共団体に通知を出しました。容積率を増やすことで、ホテルの大型化が可能となったのです。

また、政府は民泊の法整備を進め、2018年6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)を施行しました。これにより、民泊ホストは都道府県に届出をすることによって、年間180日という上限つきで合法的に民泊を運用できるようになったのです。

解消に向かうホテル不足

オリンピック 民泊
官民のホテル不足解消に向けた活動により、それまで懸念されていた東京オリンピック開催時の客室不足が解消に向かっています。2017年9月22日のみずほ総合研究所によるレポートでは、2020年の訪日外国人旅行者数は4000万人の目標に達する可能性がある一方で、ホテルの不足客室数は3800室程度にとどまるとしています。

これには、新規ホテルのオープン計画が増加したほかに、外国人旅行者の民泊やクルーズ船の利用増加が背景としてあります。

例えば2016年の外国人の延べ宿泊者数は前年比+5.8%と、旅行者数の伸び率20%超に比べると少ない数値となっています。これは、ホテルを利用せず、民泊やクルーズ船での宿泊を利用するケースが増えていることが理由とされます。今後もこの傾向が続くのであれば、2020年の訪日外国人旅行者数が4000万人に到達しても、ホテルの客室不足はそれほど心配ないと考えられるでしょう。

2018年上期のホテル増加率は減少に

一方で気になるレポートも発表されています。2018年8月29日のみずほ総合研究所のレポートでは、2015年以降大幅に増加していた新規ホテルのオープン計画について、2018年上期の増加ペースが大きく減速したとあり、特に東京・甲信越・北陸・四国ではホテルの開業計画数は減少に転じています。

訪日需要は底がたいので、ホテルへの宿泊需要はまだ増える可能性があります。しかし、ホテル事業者が従業員不足の問題を抱えていることや、競争激化により宿泊料金の伸び率が安定したことで採算改善に陰りが見え、新規オープンを減速させていると考えられています。

宿泊料金の伸び率がペースダウンしている理由に、宿泊者数の増加率が鈍化していることがあります。訪日外国人旅行者が増加している反面、なぜ宿泊者数が伸びていないのかというと、民泊やクルーズ船の利用頻度が増えていることが挙げられます。また、日本人にも日帰り旅行スタイルが増加しており、宿泊者数の減少につながっています。さらに夜行バスの中で宿泊するケースも増えているため、これらがホテル需要の鈍化に結びついているのではないかと思われます。

新規に開業するホテルの種類を見ると、ビジネスホテルや簡易宿所を含む宿泊主体型が多くなっています。これは新たに取得できる用地の規模が小さいこと、開発負担を軽減する目的のためであることが大きな理由です。これによりシティホテルやリゾートホテルは増加せず、宿泊料金の上昇もペースダウンするという結果になっているようです。

こうした状況の中、民泊施設の数がどのように変化しているかというと、民泊新法施行の前後で、民泊仲介業者における登録物件数は大きく減少しています。

民泊新法の施行による影響

オリンピック 民泊
民泊新法の施行により民泊仲介業者での登録数が減少した主な理由としては、それまでは無許可で運営していた民泊物件の登録が多かったためです。厚生労働省が2016年10〜12月に実施した全国民泊実態調査によると、民泊物件の中で許可を取得していた物件は16.5%、大都市圏中心地(東京都特別区部及び政令指定都市)ではわずか1.8%でした。

欧米などでは、既にバケーションレンタルやコンドミニアムといった形で浸透していた民泊ですが、日本では旅館業法により一般家庭が有料で宿泊させることは禁じられてきました。しかし、民泊需要の増加を背景に、非合法な形で民泊を行うケースが増加し、騒音やゴミの問題などが表面化したのです。

このことから、観光庁は民泊新法を施行する前の2018年6月1日に、宿泊仲介業者に対して違法な民泊物件の予約取り消しと、合法物件への予約変更などについて対応するよう通知しました。そこでAirbnbは民泊新法に基づく届出を行っていない物件を一斉に削除し、民泊運営に必要な届出番号や許可のない物件への予約をキャンセルしました。

民泊の需要が高まる中で供給物件がどれだけ増加するかがポイント

それまで違法に営業していた民泊物件が一掃され、逆にルールが明確になったことで個人も企業も民泊に参入しやすくなったと言えるでしょう。そして、訪日外国人旅行者の民泊需要も一定数あることが明らかになってきました。

観光庁が発表した、住宅宿泊利用に関する分析結果によると、2017年7〜9月では訪日外国人全体の内、12.4%が民泊を利用しているとのことです。

民泊の届出数は、民泊新法の施行日(2018年6月15日)時点において3728件でした(観光庁発表)。この内、受理済みが2210件で6月8日時点と比べると1021件の増加となっています。

但し、届出数の自治体別内訳をみると、1位は札幌市の570件、2位が東京都の新宿区で186件、3位は大阪市で179件となっています。これを見る限りでは、オリンピック開催時における訪日外国人旅行者の受け皿としては、まだまだ不十分な状態と考えられます。今後どれほど民泊物件が増えるかが課題になると言えるのではないでしょうか。

民泊の届出件数は2018年11月末時点で1万2000件を超えています。民泊新法の施行前には6万件以上あった物件ですが、施行後、大手民泊仲介業者は営業登録の届出をしていない、約4万8000件の無許可物件を削除しているので、それをカバーするにはまだまだ数は足りません。

そのような中で、依然として問題となっている違法民泊の排除や民泊サービスの向上を目的とし、大手民泊仲介業者ら9社が2018年12月11日、「住宅宿泊協会」を設立することを発表しました。この「住宅宿泊協会」は、2019年1月に設立し、民泊市場の適正化と普及を目指すことになります。ホストや管理者、ゲストへの研修会に注力するとのことです。

東京オリンピック開催に向けて増加する訪日外国人旅行者に対する宿泊施設不足は解消されつつあります。現状、新規のホテル開業数が伸び悩みを見せる中、逆に民泊のニーズは拡大していると言えます。民泊新法の施行を受けて民泊物件の数がどのように増えていくのかが注目されています。

レオパレス21が同社初となる民泊物件の運営を開始 2018年12月28日(金)より自社物件3棟でスタート
https://www.leopalace21.co.jp/news/2018/1219_2714.html

その他のおすすめ記事

その他のソーシャルの記事

キーワード一覧

 ページトップ