超高齢社会で広まる「認知症カフェ」が地域で支える社会をつくる 

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認知症カフェ
高齢者向けのサービスが多様化する中、認知症の方やその家族を対象とした「認知症カフェ」という新たな集いの場が増えてきています。
介護施設の需要が増える一方で、シニアライフをサポートするためのサービスのあり方が模索される現在の、地域を支える場所となる「認知症カフェ」について、その内容や今後の展望について見ていきたいと思います。

「認知症カフェ」は色々な人が集い気軽に参加できる交流の場

認知症カフェ
「認知症カフェ」とは、認知症である当事者や家族、知人、医療や介護・福祉の専門職やボランティアでのスタッフなどが集い、お茶や食事・囲碁や将棋・ゲーム・情報交換や勉強会など様々なことを楽しみながら、専門的な相談もできる交流の場です。
認知症の方が住み慣れた地域で自分らしく暮らせるように、周囲の認知症に対する理解が深まることを目的として、全国各地に広がりを見せています。

運営している団体は、社会福祉法人や自治体・NPO法人、個人や地域で立ち上げているケースなど様々です。

通常の喫茶店とは違い、「認知症カフェ」は週に1回程度、数時間を目安に開かれ、お互いに負担にならない程度に情報交換ができるよう、公共の施設を借りて開催したり、参加費を無料から高くても500円程度までに抑えたりするなど、気軽に参加できる工夫がされています。
また、勉強会のようにテーマを決めて学んだり、アクティビティとしてカラオケや料理づくり、パソコン教室を実施するなど、カフェごとに開催の内容が異なっています。

厚生労働省は2012年公表の「認知症施策推進5か年計画」を改め、2015年に「認知症施策推進総合戦略(通称、新オレンジプラン)」を策定しました。これは7つの柱で構成され、認知症に向けての取り組みが細かく示されています。
この新オレンジプランの策定により、「認知症カフェ」の呼び名を「オレンジカフェ」として、より参加しやすいネーミングで広まるように考えられた動きも出てきています。

「認知症カフェ」の数は、2015年の実績調査では2253ヵ所であったのに対して、2016年の調査では4267ヵ所ほどにのぼります。この数から見ても認知症に関する社会的な関心が高まってきていることが分かるのではないでしょうか。
国が推進する新オレンジプランにも盛り込まれていることから、自治体でも「認知症カフェ」を推奨する動きが見られています。
例えば、自治体認定の認定シールや目印がある「認知症カフェ」なら、利用者にとっての大きな安心材料になると思われます。

自由な発想で全国に広がる様々な「認知症カフェ」

認知症カフェ
全国で広がりを見せる「認知症カフェ」ですが、場所や広さについての規定や決まりがないため自由な発想で計画することができます。

例えば、東京都目黒区では、「認知症カフェ」をDカフェという名称で開放し、2012年7月から活動を行っています。その内容はというと、医師を始めとする医療関係者、介護・福祉関係者、ボランティア介護者をゲストとして話し合う、Dカフェ懇話会の開催や、めぐろ認知症ぷらすミーティングとして講演とバイオリンコンサートの実施を行うなど、様々です。

「認知症カフェ」の開催には、時間や頻度・人数にも制限がないため、少人数から始めることができ、地域のコミュニティを広げていくことも可能です。
自由な発想で高齢者や家族が触れ合い、学び会える場所を提供することができます。

これらの活動を通して、家族は息抜きや悩みを共有できる居場所を見つけることができ、認知症の方は役割を与えられることで楽しみや生きがいなどにつなげていけることが期待できます。そして、専門家の方は、実際に悩んでいる方々の声を聞き、介護の現状をより身近で感じ取ることができるのではないでしょうか。

超高齢社会の一助となる「認知症カフェ」

厚生労働省が調査した日本の平均寿命は、男性が81.09歳、女性は87.26歳(厚生労働省公表「平成29年簡易生命表の概況」より)となり、日本は長寿大国のひとつにも数えられています。
しかし、一方では認知症に罹患する高齢者が増えています。認知症という言葉はよく耳にするかもしれませんが、記憶力や判断力に障害を受け、生活に支障をきたすというもので、病名ではなく、原因が分からない状態のことを指しています。

何らかの原因で日常生活に支障をきたし、家族で面倒を見ることができなくなってしまった場合、介護施設を検討せざるを得ない状況になりますが、施設に入居するには、審査や手続きが必要になり、ある程度のまとまったお金も準備しなければいけません。
また、施設への入居を希望したとしても、満室で何年も入居待ちをしなければいけないなど、ソフト面・ハード面ともに、高齢者が住みやすい環境が整備されていないのが実情です。

外出する機会が減り、地域との接点も少なくなる高齢者の現状を考えると、若い世代の人もその将来については決して他人ごとではありません。そのような高齢者の生活に目を向けたのが、高齢者のみならず関係者も気軽に集うことのできる「認知症カフェ」です。

老後は自由な時間ができる反面、買い物や外出をする回数が減ったり、関わる人も限られてしまったりと、地域や社会との交流から離れてしまいがちです。
話し相手がいないと、判断力や記憶力を使う場面も少なくなり、体力の衰えとともに脳の機能も低下してしまう場合も考えられます。
それらを予防する身近な方法として、週に1度でも、平穏な日常生活の中で、頭と体、そして心を使うコミュニケーションの時間を持つことは、介護を必要とする高齢者の大きな刺激となり、毎日の過ごし方も変わってくるかもしれません。

現在、高齢者のためのデイサービスや介護施設などの整備は進んでいますが、実際に自分が利用するとなると、抵抗のある方もいるのではないかと思います。
そのような介護施設に対する抵抗意識なども考慮すると、「認知症カフェ」は身近なコミュニケーションやリハビリの場所となるのではないでしょうか。

最近では「認知症カフェ」の注目度も高まり、企業が店舗の一角を「認知症カフェ」として提供するケースも出てきています。今後、大手企業などの協力による「認知カフェ」の知名度向上や活動範囲の多様化も十分考えられることでしょう。

まだ「認知症カフェ」を利用したことがないという方は、自治体の主催するカフェを利用して、雰囲気を体験してみるのもよいかと思います。
参加を通して、認知症をあまり知らない方は理解が深まり、認知症に関して悩んでいる方は、新たな情報が収集できたり、さらには同じ悩みを持つ新たな理解者との出会いにつながるかもしれません。

厚生労働省が調査した「日本の人口の推移」によると、2060年には15〜64歳の人口比率は50.9%、65歳以上は39.9%という予測が発表されています。
地域で支える社会づくりのためにも、超高齢社会の一助となる「認知症カフェ」は、その支援ネットワークの要になる可能性を秘めた存在ではないでしょうか。

高齢化に伴い、介護の問題は誰にとっても切実なものになっています。認知症の悩みについてお互いに理解し合える仲間がいる、そのような場所は意外と身近なところにあるのかもしれません。まずは、住んでいる自治体の情報をチェックして気軽に参加してみてください。

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