【前編】待機児童問題に効果あり! 江東区の「サテライト保育所」とは?『都市部でも200人規模の施設整備が可能な「サテライト保育事業」〜株式会社グローバルキッズ〜』

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東京都の江東区では待機児童対策として、駅前など交通至便な分園と十分な広さで大規模な保育環境を確保できる本園とをバスでつなぐ「サテライト保育事業」を行っています。豊洲に次いで保育ニーズの高い亀戸で、この事業による「江東亀戸サテライト グローバルキッズ竪川園(本園・分園)」を運営する株式会社グローバルキッズの田浦秀一施設開発サポート部長(写真右)と白坂美代子施設長(写真左)に運営の背景や課題を伺います。

交通至便な分園と、広い本園をバスでつないで200人規模の保育環境を確保

サテライト保育所
Q:まず、グローバルキッズについて、教えてください。

田浦:2006年に東京都で始まった認証保育所の運営で、保育事業をスタートさせました。規制緩和の流れで、当時の石原慎太郎都知事の下に始められていた認可外保育施設です。待機児童は行政では問題視されていたものの、メディアではまださほど取り上げられていませんでしたから、株式会社が運営する保育所に対して、抵抗を感じる方もまだいらっしゃった時代です。グローバルキッズも、認証保育所を年に2〜3園ずつ開園していましたが、地域の方々のご協力もあって認可保育所を開設できてからは、他の自治体からも信頼を得られるようになり、数を増やしていきました。現在は、保育園・学童保育・児童館を東京・横浜を中心に142施設、運営しています。(※2019年3月現在)

Q:江東区で、「江東湾岸サテライト保育事業」による保育所を運営されているのですね。

田浦:「江東亀戸サテライト グローバルキッズ竪川園」の分園をJR亀戸駅から徒歩4分の分譲マンション内で運営し、本園をそこからバスで10分程度の区有地をお借りして建設、運営しています。江東区のサテライト保育事業は、働いているお母様の利便性を考え、預けたり、お迎えしたりするのに便利な場所にある分園と、十分なスペースで200名規模を受け入れられる本園をバスでつないで、同一事業者が運営するというものです。土地の確保が難しい都市部でも大規模施設の整備が可能になるので、他の自治体からも注目されています。

過去には他の自治体で、複数の保育施設間の交通手段として子どもたちをバスで移送する取り組みや、バス移動も含めて保育の時間と位置づけバス内に保育士を配置して複数の保育施設に送り届ける取り組みなどがありました。
これをベースに、単一の保育施設の本園・分園間を保育の一環としてバスで繋ぎ、子どもに対する保育の質や保護者の利便性に配慮した仕組みが、江東区のサテライト事業なのです。

Q:江東区の待機児童問題は深刻だったのでしょうか。

田浦:江東区では、毎年1000人程度の保育受け入れ体制を新たにつくる計画ですが、それでも待機児童が出てきてしまう状況です。
特に、タワーマンションの建設ラッシュが続く豊洲エリアでの保育ニーズが大きいことから、土地に余裕のある有明地区に本園をつくり、豊洲駅や東雲のショッピングセンターの分園とバスで10分の距離をつなぐ形で、それぞれ2014年2015年にサテライト保育所を開設しました。

当グループでは、豊洲エリアと同様に保育ニーズの高い亀戸エリアで、江東区として3番目となるサテライト保育所を、2016年に開設しました。当施設は、珍しい既成市街地での取り組みとして、注目されています。

大規模保育となるサテライト保育事業では、保育士の育成やノウハウ蓄積が重要に

サテライト保育所
Q:待機児童問題など、保育における課題をお聞かせください。

田浦:お子さんをお預かりする受け皿としての保育施設の整備、それを運営するための保育士確保が1番の課題です。当社としては、保育士の優秀な人材確保のために安心して長期的に働ける、職員に選ばれる会社になることを実践しています。社員の声を反映した休暇制度や福利厚生などで社員のモチベーションを高め、イキイキ働ける職場環境を整備しています。
また、女性が社会復帰をするうえでも待機児童問題の改善は欠かせません。
保護者の方としては、ご自身の職場復帰もあり、引き続き安心してお子様を預ける先を何とか確保したいとの思いが強くあります。ただ、保育士からすれば、お子さんたちの成長に責任を持って関わっていきたいという思いがまずあるわけで、それには保育士1人に対して、対応できるお子さんの人数が限られています。
そういう意味で江東区のサテライト事業は、まさに時代にマッチした取り組みなのです。

白坂:職員の保育における経験や、施設のノウハウによって、お子さんたちに気持ち良く過ごしてもらうことはもちろん可能です。しかし、新たに開設してすぐは、スタッフ同士の息もまだ合っていませんし、保育方針が浸透していく時間も必要です。サテライト事業による保育では、200人規模もの大人数をお預かりするというので、その体制づくりには運営事業者のノウハウがカギになります。保育現場を支えるのは、職員ですから。

私自身は公立の、100人規模の運営現場を経験しています。だからこそ、200人規模のお子さんたちをお預かりする当園の立ち上げに協力して欲しいと依頼があったのだと思っております。一般的に新設施設の場合、まず0〜2歳児の乳児クラスがすぐに定員に達し、3〜5歳の幼児クラスは2、3年をかけて定員となるケースが多いです。当園も当初から、3年で定員を満たすようになると予測していて、その通りでした。園児数の少ないうちに、経験の少ない保育士も含めて勉強してもらい、特に正社員の保育士にはクラスのリーダーとしてある程度の責任を持たせて、成長できるようフォローしていきます。

田浦: 今後、ますます先行きが見えない時代になりますが、そのような中でもたくましく、自分らしく生きていけるように、子どもたちの「豊かに生きる力」を育てることに尽力したいです。
そのために、GK保育(GK:グローバルキッズの略)、当社としての保育を確立していきたいと考えています。


(プロフィール)
株式会社グローバルキッズ
施設開発サポート部長
田浦 秀一

大学卒業後、不動産会社、食品メーカーで店舗開発などの営業職を経て、2008年株式会社グローバルキッズ入社。取締役開発部長、保育事業部長を歴任して、数多くの保育園開発に携わる。企業理念である「子ども達の未来のために」実現のため、「“建物を作って終わり”ではなく、50年も100年も、子どもも大人もみんなが幸せに過ごせる園づくり」を目指して日々奔走。また現在は、東京建物キッズ株式会社取締役として、大規模マンション開発と一体となった保育所や企業所内保育所の開発も手掛ける。プライベートでは4児の父として、子育てを満喫中。

株式会社グローバルキッズ
江東亀戸サテライト グローバルキッズ竪川園施設長
白坂 美代子

1968年より保育士として勤務。1992年より公立保育園の園長として勤務後、2013年株式会社グローバルキッズ入社。グローバルキッズ大崎園施設長を経て、2016年より現職。約50年間に渡り保育に従事。200名規模の園児数を預かるグローバルキッズ竪川園では、「どんな環境をも切り開く力を」を保育理念に、日々保育を実践している。

グローバルキッズ
https://www.gkids.co.jp/

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