働き方改革や待機児童解消の一助に! 東京都の「ベビーシッター利用支援事業」とは

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東京都は、なかなか解消しない待機児童問題に対処するため、「ベビーシッター利用支援事業」を開始しました。区市町村によって実施の有無や導入時期は異なりますが、既に運用されているところもあります。
果たしてこの事業は、待機児童問題解消の救世主となるのでしょうか。その概要とともに、課題や効果などを考えていきます。

待機児童解消に向けて実施される「ベビーシッター利用支援事業」

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近年は女性の社会進出が目覚ましく、少子化にもかかわらず保育所等の待機児童は深刻な問題となっています。
待機児童問題の解消のため、幼保一元化など保育の受け皿を拡大するべく、国を挙げて対策を行ってきましたが、東京都では、2018年4月の時点の待機児童数が5414人で、前年より3172人減少しているものの、解消には至っていないのが現状です。
そこで、東京都が待機児童解消の一手として打ち出したのが、「ベビーシッター利用支援事業」です。
事業内容をひと言で説明すると、「待機児童の保護者を対象に、ベビーシッター料金を補助する」というものです。
小池都知事はこの事業について2018年1月26日の定例会見の中で、「待機児童対策は最重要課題であり、2019年度末の待機児童の解消を目指していきたい」と述べています。なお、この事業のために、東京都ではおよそ50億円を予算に計上しています。

利用対象は0〜2歳の待機児童

この事業は、全ての方が利用できるわけではありません。利用対象となるのは、「0〜2歳児の待機児童の保護者、保育所等の0歳児クラスに入所申込みをせず1年間の育児休業を満了し、お子さんの1歳の誕生日から復職する保護者」となります。あくまでも保育所に入所するまでのつなぎという位置づけなので、保育所等への入所が決定した場合、入所月以降はこの事業を利用できなくなります。

利用上限時間や料金なども決められている

また、利用上限や利用できる時間帯なども定められています。この事業の利用上限時間は1日8時間かつ、月160時間。利用料金の上限は1時間2160円となっています。上限を超えた分は全額自己負担となります。
利用できる時間帯は保育所等に準じ、祝日を除いた月曜日から土曜日までの午前7時〜午後8時までです。

負担額は1時間250円

利用者の負担額は1時間当たり250円で、残りを公費で賄う形となります。
例えば、1時間2000円のベビーシッターを1日8時間、20日間利用したとすると、2000×8×20=32万円となりますが、この事業を利用することで負担額は4万円となります。なお、この利用料は保育サービスのみの料金を指しており、入会金やシッターの交通費などは含まれていません。利用できるベビーシッター事業所は、都が認定したところのみとなります。

働く母親の反応は概ね良好

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この事業について、ベビーシッターサービス会社が、東京都内に住むベビーシッターを利用したことのあるワーキングマザーを対象に調査したところ、「賛成」との回答が大半を占めました。賛成派の方の主な意見として「即効性がある」「家計が助かる」などが挙げられています。さらに、実際に利用したいかという問いについても、90%以上の保護者が「利用したい」と答えています。
一方で「利用したくない」と答えた方の中には、「シッターの質」や「人材の確保」に疑問を投げかける声が多く見られました。

「ベビーシッター利用支援事業」の運用には課題も

育休後の職場復帰に向けて、大変な保活(子どもを保育所に入れるために行う保護者の活動)を経験してきたワーキングマザーたちにとって、この事業は救世主のような存在となるかもしれません。しかし、この事業の安定的な運用には幾つか課題もあります。

ベビーシッターの信頼性を担保できるか

最も懸念されるのが、ベビーシッターの信頼性です。先ほどご紹介したワーキングマザーの意見の中でも、ベビーシッターの信頼性について不安視する声がありました。
現在、ただでさえ保育士不足が問題となっています。東京都では、2018年7月時点で保育士の有効求人倍率が全国のおよそ2倍の4.97倍です。ハローワーク飯田橋では何と40.52倍にも達しています。
この事業が本格的に運用されると保育士の確保が難しい中で、さらに多くのベビーシッターが補助をすることとなり、質の低下は避けられないのではないでしょうか。

区市町村により取り組み方に差がある

さらに、「ベビーシッター利用支援事業」について、区市町村によって取り組みに差があることに不安を覚える方も多いのではないでしょうか。
この事業の予算は、全てを都が負担しているのではなく、1/8は各々の区市町村が負担しています。そのため、区市町村により実施の有無や開始時期などに差がでてしまいます。
取り組みに差がでると、この事業に着手している区市町村への転入が増え、結局は待機児童が増加し、問題の解消にはならないのではという懸念も生じてきます。
品川区や港区などでは、待機児童解消のために保育所の定員を拡大し受け皿を増やしてきました。しかし、一向に保育需要には追いついていません。これは受け皿を増やすと、他の区市町村からの転入が増えることや、「受け入れ先があるなら働きたい」と考える方が増えることが理由ではないかと思われます。
この事業においても、各区市町村が一斉に着手しなければ待機児童問題解決には、いたらない可能性があると考えられます。

「ベビーシッター利用支援事業」は待機児童解消の救世主となるのか

以上のように、期待されつつも課題も見られる「ベビーシッター利用支援事業」ですが、この事業は待機児童解消の救世主になれるのでしょうか。
先に触れたベビーシッターサービス会社の調査によると、「ベビーシッター利用支援事業」に対して大半のワーキングマザーが「賛成」と答えたものの、この事業が待機児童解消に結びつくかという問いには、半分以上の方が「いいえ」と回答しています。やはり保育士の人材不足や認可外を含めた保育施設の充実などの問題がなくならない限り、待機児童解消は難しいと考えている方が多いようです。

東京都には待機児童ゼロのところも

待機児童問題が深刻化している東京都ですが、実は待機児童ゼロを実現したところもあるのです。そのひとつが豊島区です。
豊島区では、いち早く独自の方法で保育ニーズを調査し、その結果を受けて、東京都と連携し、豊島都税事務所の 1 階及び地下 1 階を活用した認可保育所を設置するなど、保育施設の整備計画を立案してきました。このような地道な対策が功を奏し、2018年4月の時点での待機児童数は2年連続でゼロとなっています。

杉並区も2018年4月に待機児童ゼロを達成しました。杉並区では、保育所の整備とともに、申込者一人ひとりの状況に合わせたマッチングを丁寧に行うことで、待機児童の解消を実現させたのです。
「ベビーシッター利用支援事業」と並行し、成果を上げている区市町村を参考とした取り組みを行うことで、待機児童を減らすことは可能かもしれません。

待機児童解消に力を入れる小池都知事

また小池都知事は、知事就任時から待機児童の解消のために力を注いでいます。その手腕を評価する声もあり、実際に東京都の待機児童数は減少しています。

・待機児童対策のみの補正予算の編成
・保育士の待遇改善に着手し成果を上げる
・育児休暇期間の延長を政府に要望し、実際に育児・介護休業法が改正される

など、具体的に多くの成果に結びついています。

ただ育児・介護休業法については改正されたものの、なかなか育休延長を申し出にくい職場環境の企業が多いのも事実です。
そのような中、厚生労働省が優良な子育てサポート企業として認定する「プラチナくるみん」を取得したレオパレス21では、育児休業を3歳まで延長することが可能であり、このような企業が増えることは心強いことです。

地道な対策の積み重ねが待機児童解消につながる?

「ベビーシッター利用支援事業」だけでは、待機児童の解消には至らないかもしれません。しかし、東京都が待機児童解消のために行っている対策は多岐にわたります。また区市町村によっては、対策が功を奏し待機児童ゼロを実現できているところもあります。
「ベビーシッター利用支援事業」とともに地道な取り組みを続けていくことは、待機児童解消の、ひとつの足掛かりとなるのかもしれません。

レオパレス21が「プラチナくるみんマーク」を取得
https://www.leopalace21.co.jp/news/2017/1010_2163.html

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