今、世界が注目するESG投資! 不動産投資でも今後の主流に?

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不動産投資でもESGを重視する傾向が強まっています。ESG配慮を測るベンチマークであるGRESBを活用した不動産投資の運用資産額は、世界で18兆米ドルにも上ります。不動産投資へのESGの浸透は今後も続くのか、さらに収益率はどのように影響を受けるのかを解説します。

不動産投資にもESG投資の波が波及している

ESGとはE(Environment:環境)・S(Social:社会)・G(Governance:企業統治)の頭文字を取ったものです。地球温暖化対策や生物多様性の保護、人権への対応や地域貢献ならびに社会的責任を果たす企業活動を評価し、そのような企業に投資することをESG投資と呼びます。

ESGのガイドラインに当たるPRI(責任投資原則)を国連が2006年に公表しましたが、2009年には欧州の年金基金が中心となってGRESB (Global Real Estate Sustainability Benchmark)を創設しました。GRESBは不動産投資における投資先の選定について、ESGへの配慮を測るためのベンチマークです。2018年には参加する機関投資家メンバーが世界で900を超えています。

GRESBは評価項目について「マネジメント方針」スコア配分30%、「実行と計測」スコア配分70%を2軸に、7分野(約50の項目)の各スコア配分で構成しています。その中でも、サスティナビリティ(持続可能な社会への取り組み)に関して、ステークホルダーとの関係構築・パフォーマンス指標・リスクと機会・グリーンビルディング認証といった項目を重視しています。

持続可能な社会とは、地球環境や自然環境を適切に保存することで、将来の世代が必要とするものを損なわず、さらに現在の世代の要求も満たすような開発を行う社会のことです。

サスティナビリティとは、環境・経済・社会のバランスを考えて、社会全体を持続可能な状態にするという取り組みです。会社の利益を優先するために環境破壊や不祥事を起こし、その結果、世界経済に影響を与えるといった事象を回避することを意味します。

ステークスホルダーとは、会社の活動によって直接的、あるいは間接的に影響を受ける利害関係者のことです。また、グリーンビルディングとは、環境配慮型建物のことを表します。
グリーンビルディング認証は世界各国で開発、運用されており、建築物の環境性能で評価するCASBEEやLEED、省エネルギー性能を評価するBELSなどがあります。

GRESBへの参加者は年々増加していますが、日本市場でもその数は2018年で61(2017年は53)となり、参加率はJ-REIT市場の89%(2018年9月7日時点)に上ります。

このように不動産投資にもESGが波及していく中で、投資家が気になるのはその収益性でしょう。ESGはそもそも、企業に対し短期的利益を過剰に求めず、長期的な視点で企業価値の向上や持続的成長を求めるものだからです。

ESG投資が不動産投資の収益率を向上させる理由

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実はGRESBでの評価が高いREITほど、優れた財務パフォーマンスを上げているという調査結果が出ています。これは2015年にケンブリッジ大学が社会の低炭素化を推進する非営利団体のCarbon War Roomから委託を受けて、GRESBのデータに基づいてまとめたものです。

REITとは不動産を対象とした投資信託のことで、複数の出資者から集めた資金で不動産を運用し、利益を分配金として支払うというものです。ケンブリッジ大学の調査の結果では次の4点が報告されています。

・GRESBデータでのサスティナビリティ評価が高いREITほど、財務パフォーマンスが高くROA・ROEともに高い

・不動産のサスティナビリティ指標とREITの株価には強い関連性が見られる

・サスティナビリティへの投資により運用パフォーマンスは向上し、リスクとボラティリティの低下を伴って出資者に利益を生み出す

・2014年は100社中58社が中位の評価に留まることから、サスティナビリティパフォーマンスには改善の余地がある

ここで幾つか補足をします。ROAとはREITの場合、出資者から集めたお金と運用会社の借入金との総和に対しての利益率のことです。つまり借入金を上手く投資に活用できる運用会社ほど、利益率は高くなります。

ROEは純粋に出資者から集めたお金に対する利益率です。ROEは単純に出資金に対する利回りを評価しますが、ROAはそのREITを運用する会社の経営状態の良い悪いも判断できる指標と言えます。

リスクとは購入したREITの価格(基準価額)が変動することにより、購入時よりも価格が下がる可能性のことです。また、ボラティリティとは価格の変動性のことを意味します。ボラティリティが高いほど、大きな利益を生む可能性、あるいは大きな損失となる可能性も高くなります。

ではなぜ、GRESBの評価が高いREITは運用パフォーマンスが高くなりやすいのでしょうか。

そのヒントは、ある不動産信託運用会社が報告した2017年度の株主通信の中にあります。同社は不動産の再生事業を行っていますが、保有不動産の環境性能向上と省エネ設備改修などがテナントの満足度を向上させ、賃料収入が増加したと報告しています。

そこには、LED照明や高効率空調設備の導入により電気代を安くしたことで、賃料を上げる提案をしやすくなったという理由があるようです。賃料が上がれば、そのビルを運用するREITの利益が増え、出資者への分配金も増加します。

日本での不動産におけるESG投資への取り組み

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もともと日本では不動産・建築セクターからの二酸化炭素排出量の削減が注目されていました。それは、1997年に京都で開かれた気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)にて、先進国における温室効果ガスの排出削減に関する法的な枠組みを定めた国際ルール(京都議定書)が採択されたからです。
その後、締約国会議(COP)において何度か取り組みの検討や交渉などが行われてきましたが、2013年以降のルールがない状態に陥りました。そこで、2015年12月に国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が開催され、先進国も発展途上国も同様に目標を設定をした、2020年以降のルールが固まりました。これをパリ協定と言います。

そうした中、2017年12月に国土交通省は「健康性、快適性等に優れた不動産に係る認証制度のあり方について」の中間とりまとめを発表しました。これはESG不動産投資の基盤整備に取り組む方針を打ち出したものです。そして、ESG不動産投資の普及・促進に向けた認証制度の内容について検討しています。

この認証制度では、オフィスビルで働く人の健康性や快適性といったものも評価対象になっています。つまり建物自体の設備以外に、運用管理に関する満足度やテナントで働く人の満足度も評価要素になっているということです。

これらの評価が高まることで、オフィスビルの執務環境の快適性や知的生産性の向上などがテナントの入居率に反映され、不動産市場の活性化や成長を促すことに期待ができます。つまり省エネ性の高い建物を生み出すだけでなく、その運用を手掛ける不動産会社の取り組みも評価の判断につながるのです。

こうしたことから不動産会社はESGにおける取り組みをそれぞれホームページなどに掲示しています。例えばレオパレス21の場合、 暮らしの多様性への対応・働き方と人材の多様性の促進・希薄化する地域社会へ事業を活かした貢献・CO2排出量による環境負荷軽減・ステークホルダーとの対話、開示の必要性などを重点課題として取り組んでいます。

このようなESGへの取り組みによって、不動産投資の利回りは今後さらに向上することが期待できるでしょう。REITの投資先選びにおいても、ESG配慮に対する評価が新たな指針として役立つのではないでしょうか。

世界的に見ても不動産投資はESG投資が主流となりつつあります。日本でも政府主導による認証制度の策定に伴い、投資家も安心して投資先を選べるようになるでしょう。
そして何よりも、ESGに取り組む不動産会社に投資することで、投資家自身が住む社会が環境面においても住みやすいものになると期待できます。

レオパレス21の事業にまつわるESG(CSR)活動
https://www.leopalace21.co.jp/corporate/csr/case/

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