【前編】経済産業省が推進する「女性起業家等支援ネットワーク構築事業」が女性の就労を促進! 『女性が働きやすいダイバーシティ社会実現に有効な「起業」〜経済産業省〜』

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働き方改革によって、一億総活躍社会の実現に向けた取り組みが推進されていますが、企業に雇用されるという働き方のスタイルに限らず、「起業をする」という道もあります。経済産業省では、「女性起業家等支援ネットワーク構築事業」を通じて、女性起業家の育成を進めています。

前編では、「女性起業家等支援ネットワーク構築事業」の概要などについて、経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室 関日路美室長補佐(写真右)と、産業人材政策室/経済社会政策室 田中美妃係長(写真左)に話を伺いました。

女性の潜在層へアプローチし「起業」という道を示す

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Q:「女性起業家等支援ネットワーク構築事業」の位置づけについて教えてください。

関:経済産業省 経済社会政策室の仕事は2つのタイプに分かれています。企業の組織自体を女性が働きやすい環境にする取り組みでは、「ダイバーシティ経営企業100選」という表彰制度や、上場企業を対象に女性が活躍している企業を紹介する「なでしこ銘柄」の選定、日本は女性役員が少ないので女性リーダー育成というものを行っています。また、企業に属していない方への支援として実施しているのが、「女性起業家等支援ネットワーク構築事業」と「女性復職支援」です。

Q:「女性起業家等支援ネットワーク構築事業」は、どういった背景からスタートしたのでしょうか。

関:現在、様々な働く場面で女性の活躍が必要とされていますが、女性の就業率はM字カーブと言われる曲線を描いています。現在M字カーブは解消しつつありますが、結婚や出産を機に社会に出て働くのを辞めてしまった方に、また社会に出て活躍できる環境をつくることが重要と考えています。離職している女性の中には、家庭の事情などもあり、自分の生活に合った働き方を望んでいる方が多くいます。ある調査結果では、フリーランスや個人事業主という働き方を希望している女性が半数以上となっていました。女性の起業家の場合、M字カーブは見られず、むしろ30代から40代に近づくにつれて増えています。

実際に起業家で女性が占める割合もある程度高くなっており、以前は4割、今は3割ほどとなっています。政府としては、女性の起業家の占める割合を3割以上維持という目標があります。それに基づいて女性が起業しようという環境をつくることが当事業の目的です。

Q:「女性起業家等支援ネットワーク構築事業」では、どのような方を支援の対象にされていますか。

関:実は起業支援自体は既に様々な地域や機関で取り組まれています。その中でも、私たちはフェーズ0、1、2、3と呼んでいますが、「フェーズ2(起業準備)」や「フェーズ3(起業・事業拡大)」の段階の人を支援する仕組みは、商工会議所や自治体の支援機関など多数見られます。他方で「フェ―ズ0(起業という選択肢を知らない)」や「フェーズ1(潜在ニーズ)」への支援は少ないのです。日本ではそもそも起業したいという人が少数で、潜在起業家と言われる無関心層の人たちに、「起業は面白いし、やりたいことを実現するためには起業という選択肢もあること」を知ってもらうのが重要ではないかということに着目しました。そこで、今まで支援の届かなかった「フェーズ0」や「フェーズ1」の方向けの事業として行うことになりました。

既存の支援機関に対して実施した調査でも、「女性がどのような支援を求めているのか分からない」「広報の手段が難しい」「どうアプローチしたら来ていただけるのか、分からない」といった声がありました。こうした課題を解決するためにも、「女性起業家等支援ネットワーク構築事業」を起ち上げ、支援をスタートすることになりました。

潜在層を女性起業家へと育てていくネットワーク

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Q:「女性起業家等支援ネットワーク構築事業」のスキームについて教えてください。

関:男女共同参画支援センターをはじめ女性が集まりやすい場所と産業支援機関、金融機関更には、サポーター役となる先輩女性起業家などをつなげてネットワークを構築することで、女性の潜在起業家層にアプローチを図っています。

2018年度は、全国事務局の下に10ヵ所のネットワークをつくり、それぞれに地域代表機関を置いて窓口にしました。地域の代表機関は、起業セミナーの開催や起業の相談、支援を受けた女性へのフォローを行うほか、地域支援ネットワークを構築して、支援者同士のノウハウの共有を図る役割を担っています。また、全国事務局では地域代表機関のメンターと言われる支援者の研修などを行っています。

Q:実際にどういった方が相談に来られるのでしょうか。

関:例を挙げると、結婚してお子さんが生まれたのを機に退職されて、今後のキャリアを模索中の時に相談に来られた方は、妊娠中に妊娠糖尿病になった経験からレシピ開発をしたいというお話でした。この方は、この段階では起業したいのかまだよく分からないという潜在層でした。自分と同じ経験をしている人に何とかしてあげたい気持ちがあり、もしかしたら起業することで何かできるかもしれないと関心を持っている段階です。

こういった方に対して、具体的な起業ニーズを引き出すために、まず、セミナーに参加していただいて先輩起業家の話を聞いていただく、そうすると、「あなたのやりたいことは起業という手段で解決できる」ということを知るきっかけになります。そして、「社会に貢献したい」、あるいは「働きたい」という方たちに起業という手段を伝え、相談に乗りながら支援をして、一緒に伴走していきます。

男性の場合、社会経験や起業をした先輩などを通じて、事業化するための手段を知る機会に恵まれやすい傾向があります。女性の場合は人脈や相談相手がないことが多く見受けられるので、「女性起業家等支援ネットワーク」が有効と考えます。

Q:実際に「女性起業家等支援ネットワーク構築事業」を活用すると、どのように実際の起業へと進んでいくのでしょうか。

関:ゼロイチ段階(フェーズ0、1)においては、女性起業家等支援ネットワークでは先輩女性起業家に相談するケースが多いです。もう少し先の起業への気持ちが固まってきた準備段階になると、既存の支援機関に行っていただく、あるいは、資金が必要なら金融機関に行っていただくといった形で、地域代表機関が適切な形でつないでいきます。順序が逆になり、事業が固まっていない段階で金融機関へ相談に行かれたという場合は、そこから「女性起業家等支援ネットワーク」を紹介していただくことも可能となります。

実際に起業するまでの期間は半年であったり、3年であったり、すぐには形にならないこともあるのですが、そういった段階の方を応援するのが当事業の特徴です。

また、様々なイベントも開催しており、東北で「起業女子応援フェア」、中国地方では「キラリ女子フェス」を行いました。あまり起業のイメージを強くすると本当に起業に関心のある人しか来場しないので、幅広い人たちに関心を持ってもらえるものにしています。こうしたイベントへの参加を通じて、起業に至った人もいます。

田中:起業が実現するのには、ロールモデルの存在が大きいと思います。「女性起業家等支援ネットワーク」の支援から実際に起業家になった方もいるので、その方のようになりたいから私も頑張るという人も多いはずです。

関:起業してから1年程度の方に、「1年前、私は今のあなたと全く同じでした」とお話いただくと身近に感じてもらえて、支援もスムーズに進みやすいですね。ただ、ロールモデルとなる方の人数は多くはないので、例えば東京で起業した人を九州に連れていく、九州で実績を上げている方を東北に連れていくといったように、全国のネットワークを活用することでロールモデルを共有できるというメリットにつなげています。

起業で自分に合った働き方を実現し、社会貢献も

Q:働き方改革から見た女性の起業の現状についてお聞かせください。

関:現状、女性の就業率が上がってきているとは言え、非正規社員の割合も多いのです。女性自身も家族の事情などがあって、正規社員としての働き方を望まない場合もあり、自分に合った働き方ができる起業という道が、働き方改革の面からも選択肢のひとつになると思います。

例えば、家庭の事情で、一般の企業では働きにくいという方が会社を起こされた事例があります。ランチ限定の飲食店を運営し、9時から16時まで働いて18時には家に帰れる体制を実現しました。女性起業家の中には、社会課題を解決するために起業するという方も多いですね。

後編では引き続き、女性起業家支援コンテストの概要をはじめ、「女性起業家等支援ネットワーク構築事業」で苦労されている点や反響などについて伺います。

(プロフィール)

経済産業省 経済産業政策局
経済社会政策室
室長補佐
関 日路美

1998年、通商産業省(現、経済産業省)入省。サービス産業課における人材関連サービス等担当、産業人材政策室での産学連携人材育成等担当等を経て、2012年から、2年間、仙台市役所へ出向。新産業創出、スタートアップ支援等を担当。その後、中小企業庁経営支援課、地域経済産業グループ中心市街地活性化室を経て、2018年7月から、現室に着任。女性活躍・ダイバーシティ経営の推進、女性リーダー育成、女性起業家等支援ネットワーク構築事業など女性をはじめとした多様な人材の活躍のための環境整備に取り組む。

経済産業省 経済産業政策局
産業人材政策室/経済社会政策室
係長
田中 美妃

2018年6月、現室に着任。日本企業における女性活躍の推進を担当し、女性リーダー育成、女性起業家等支援ネットワーク構築事業など女性をはじめとした多様な人材がいきいきと活躍できるような社会の環境づくりに取り組む。

経済産業省−女性起業家等支援ネットワーク構築事業について
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/joseikigyouka/index.html

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