【後編】待機児童問題に効果あり! 江東区の「サテライト保育所」とは?『子どもたちの育ちと学びの社会インフラになる保育所へ〜株式会社グローバルキッズ〜』

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駅前など交通至便な分園と十分な広さで多くの子ども達の保育環境を確保できる本園とをつなぐ、江東区の「サテライト保育事業」として、株式会社グローバルキッズは「江東亀戸サテライト グローバルキッズ竪川園」を運営しています。
前編では運営の背景や課題について伺いました。後編では引き続き、同社の田浦秀一施設開発サポート部長(写真右)と白坂美代子施設長(写真左)に園の現状を伺います。

毎日5便のバス運行で、定員186人の本園に通園

サテライト保育所
Q:「江東亀戸サテライト グローバルキッズ竪川園」の運営について、教えてください。

白坂:当園の保育方針は一人ひとりの個性を大切に、子どもを主体とした楽しい保育です。子どもたちがのびやかに安心して日々すごしていけるよう、乳児クラスは子どものペースに合わせ、愛情を持って関わる丁寧な保育を心掛けています。幼児クラスでは各年齢の発達に応じた遊びや体験ができる保育を実践しています。本園・分園ともに保育時間は7時30分から20時30分までで、延長保育は分園でも対応しています。JR亀戸駅から徒歩約4分の分園はスペースが限られるので、定員は1歳児12人です。そこからバスで約10分の本園は、0歳児6人、1歳児20人、2〜5歳児40人の計186人が定員で、0歳児と1歳児が各1クラス、2〜5歳児が各2クラスの10クラスで運営しています。お子さんのお預かり、お迎えは本園でも行いますが、サテライト保育所ということで、分園でも行えるのがこのシステムの特徴です。専用バスで朝は2便、夕方は3便を設定しており、バスのご利用希望は1ヵ月ごとに申請をお願いしています。お子さんがどの便に乗車するかは日々変わりますのでこのシステムが円滑にワークするようにしたり、バス乗車中も大切な保育時間なので有資格者が2人同乗しています。

田浦:日々の運営においては、安全面に気を遣いますね。バス移動を利用するのは2歳児以上になりますが、バス乗車が健康面での負担にならないか、さらには道路渋滞や事故などのリスクもありますので、万全を期すようにしています。

Q:江東区のサテライト保育事業では、本園・分園を同一事業者が運営しますが、そのメリットは何でしょう。

田浦:メリットはやはり、定員186人という規模で保育の受け皿をつくれたことでしょう。本園は区有地ですが、大都市圏でこの規模の施設はなかなか設置できるものではありません。当グループの保育施設も、60〜70名規模のものが多くなっています。また、分園は1歳児のみお引き受けしていますが、次年度以降は本園でお預かりしていくことができますので、保護者の方も安心かと思います。

事業者としては、この規模の保育にチャレンジすることで、現場の保育力やチーム力が磨かれます。定員に比べて園庭やホールは十分な広さではないですが、バスがありますので、クラスごとに大きな公園に連れて行くとか、運動会の練習などを外部で行うことも可能です。目黒区はクラウドファンディングでバスを購入し、園庭のない保育園から広い公園への送迎事業を行っています。そのように、バスを活用すれば園舎のある場所だけではなく、地域交流も含め、様々な可能性を広げていけるでしょう。今後の保育事業において、この事業の経験を活かしたいとも思っています。

本園に足を運ぶことのない保護者の方にも安心してもらえるよう、連絡・報告を密に

サテライト保育所
Q:苦労される点はありますか。工夫していることがあれば、教えてください。

白坂:サテライト保育ということで、保護者の方とのコミュニケーションには、より配慮するようにしています。
例えば、原則として保護者の方との連絡帳のやり取りは2歳児までですが、バス通園のお子さんの場合は3歳以上でも行っています。通常はお迎えの際の保育士とのちょっとした会話でご安心いただくものですが、それを補い、日中のお子さんの様子を少しでも知っていただけるよう、やはり連絡帳を使うことにしました。また、保護者の方からご要望があれば、担当職員がバスに乗り込み分園でお話することもあります。悩みやご相談ごとは早々に解消を、サテライトだからといって疎かにならないように心掛けています。

そのほか、クラスごとに担当職員が、その日に皆でやったことやその様子を記録したクラス保育を本園の玄関ホールに掲示しており、それと同じものを分園にも掲示しています。行事の記録動画なども両方で流すようにして、どちらにお迎えに来られる保護者の方にも同じ情報を伝えるようにしています。また、日常生活の様子をお子さん1人につき、毎月5枚用意して、写真データ販売システムを通じて保護者の方に提供しています。当園ではあくまで日常のご報告として活用しています。保護者の方からは好評で、小さい内はお子さんの姿が大きく写ったものが好まれますし、4〜5歳になると集団で写ったものもご要望が多くなります。他のお子さんとの関わりに、興味を持たれるようです。毎月、各クラス便りを掲示し、お子さんの様子を確認できる情報提供となる事を願っております。

Q:区の事業ということで、場所柄を意識されたりもしていますか。

田浦:江東区には木場という木材にゆかりのある場所もありますので、施設の内装にも木材を多用し、自然に触れる感覚を重視した造りにしています。保育所はお子さんが長い時間を過ごされる場所ですので、家庭の延長のように感じてもらえる雰囲気を目指しました。また、保育施設はご家庭と比べて目や耳への刺激が多くなりがちです。なので、過度な装飾や色の氾濫を避け、視覚的な質と量に配慮しています。子ども達も保育士も長時間過ごす場所なので、心地よく落ち着ける環境整備を心掛けています。

Q:グローバルキッズ社の今後の展望をお聞かせください。

田浦:待機児童解消に向けた取り組みとして当社では、企業主導型保育事業の展開、さらにそれと企業をマッチングするサービスを行っています。企業主導型保育事業は2018年6月に開始し、これにより当グループや運営提携先企業の社員の子育ての受け皿を拡充し、安心して働きやすい環境の整備を推進しています。マッチングサービス「えんマッチ」は、社員の子育てを支援する企業に向け、企業主導型保育園の企業枠の空き部分をシェアする仕組みです。中期的な展望という意味では、昨年当社では理念体系を再構築し、あらたにビジョンを策定しました。「2030 トリプル トラスト」と銘打った新ビジョンでは、2030年 職員と親子と地域に最も信頼される存在になり、子ども達の育ちと学びの社会インフラになる、と謳っています。これから当社が歩む道筋を、職員に選ばれるフェーズ、保護者様とお子様に選ばれるフェーズ、社会に選ばれるフェーズとそれぞれ注力する期間に分け、2030年にはこの「3層:Triple」の「信頼:Trust」が積み重なっている姿を目指すというものです。この実現に向け、職員がいきいきと働きやすい環境や各種制度の整備に加え、いっそうの保育の質向上を推し進めていきます。
実際に昨年来、人と保育にフォーカスした様々な具体的施策を展開しています。
そして、社会に必要とされ誰よりもその要請に応えられる企業としてべく、チャレンジし続けていきたいと考えています。

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江東区の「サテライト保育事業」は、待機児童解消の大きな鍵となることが期待されるものです。同様の取り組みは世田谷区や町田市でも始められています。そして、このように「人数」として受け皿ができれば、次に重要になってくるのは、そこで働く保育士のやりがいや働きやすさと言えるのかもしれません。

(プロフィール)
株式会社グローバルキッズ
施設開発サポート部長
田浦 秀一

大学卒業後、不動産会社、食品メーカーで店舗開発などの営業職を経て、2008年株式会社グローバルキッズ入社。取締役開発部長、保育事業部長を歴任して、数多くの保育園開発に携わる。企業理念である「子ども達の未来のために」実現のため、「“建物を作って終わり”ではなく、50年も100年も、子どもも大人もみんなが幸せに過ごせる園づくり」を目指して日々奔走。また現在は、東京建物キッズ株式会社取締役として、大規模マンション開発と一体となった保育所や企業所内保育所の開発も手掛ける。プライベートでは4児の父として、子育てを満喫中。

株式会社グローバルキッズ
江東亀戸サテライト グローバルキッズ竪川園施設長
白坂 美代子

1968年より保育士として勤務。1992年より公立保育園の園長として勤務後、2013年株式会社グローバルキッズ入社。グローバルキッズ大崎園施設長を経て、2016年より現職。約50年間に渡り保育に従事。200名規模の園児数を預かるグローバルキッズ竪川園では、「どんな環境をも切り開く力を」を保育理念に、日々保育を実践している。

グローバルキッズ
https://www.gkids.co.jp/

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