【後編】東京都が働き方改革を推進! 「ライフ・ワーク・バランスEXPO東京2019」とは? 『東京都が10年の経験を持って挑んだ「ライフ・ワーク・バランス」〜東京都産業労働局〜』

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ライフ・ワーク・バランスEXPO東京2019
2019年2月7日、東京都主催による「ライフ・ワーク・バランスEXPO東京2019」が開催されました。
「ライフ・ワーク・バランス」を進めることによる企業の経営メリットについてのパネル・ディスカッションや、「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」の取組事例の紹介など、これは「ライフ・ワーク・バランス」に関する「いま」が分かるイベントであり、今年で11回目を迎えています。開催に当たっての工夫や今後の展望を、前編に引き続き、東京都産業労働局 雇用就業部 労働環境課の猪口純子課長にお聞きします。

子育て中の女性や夫婦、これから社会に出る学生なども来場

ライフ・ワーク・バランスEXPO東京2019
Q:10年間取組を続けてきて、成果も実感されていますか。

A:そうですね。今回の認定企業が11社で、これまでのトータルでは125社に及んでいます。これらの企業の事例を蓄積し発信することで、取組の裾野が広がっていくのではと期待しています。

Q:「ライフ・ワーク・バランスEXPO東京2019」の来場者には、どのような方が多かったのですか。

A:昨年度の来場者数は4417人でしたが、今回は5274人となり、過去最高です。多いのは企業経営者の方や従業員の方たちですが、現在は育児休業中・子育て中の女性の来場が多いのも、このイベントの特徴かと思われます。会場内には託児所もあり、会場のレイアウトや動線も動きやすく考えられていたので、ベビーカーを伴って館内をご覧になっている方も少なくありません。ご夫婦での来場も目立ちましたね。

また、これから就職活動を行う学生の方たちに「ライフ・ワーク・バランス」の視点から職場選びをしていただこうと、学生のツアーも組んでいます。最近の学生にとっては、いわゆるブラック企業ではないか、働きやすい環境かどうかというのが、企業を選ぶ基準のひとつになっていると言われていますので、こうした働き方改革などに取り組んでいる企業は、やはり人材確保の面でもプラスになり、さらには自社のブランド力向上にもつながると考えています。

Q:開催される上で、工夫されている点などはありますか。

A:これだけ働き方改革や「ライフ・ワーク・バランス」への社会の意識が高まっているので、同じ内容で毎年行うと陳腐化していると思われてしまいます。そこで、テーマ設定や登壇される講師の方の選定に留意し、来場された方が持ち帰った時に、自社の取組として参考にしてもらえるようにと、役立つ情報やコンテンツを心掛け、来て良かったと思っていただけることを目指しています。

今回、新企画として取り組んだのが「働き方改革エリア」というコーナーです。多人数で行うテレビ会議システムなどの体験や、リラックスした雰囲気づくりで活発なコミュニケーションを促すミーティングスペース、ストレス軽減につながるオフィス環境緑化サービスなど、様々なご提案をさせていただきました。オフィス家具とテレワーク機器を一緒に配置し、多くの方が機器に触れたりデスクの前に座ったりと、実際に自分が働く場面をイメージして体験していただけたことかと思います。

オフィス費用の削減や生産性向上、通勤時間短縮につながるテレワークに注力

ライフ・ワーク・バランスEXPO東京2019
Q:最新鋭のテレビ会議システムの体験会は、小池都知事も参加されたそうですね。

A:テレビ会議の相手の姿が、ホログラムで立体的に見えるシステムです。まだ開発段階で実用化前のシステムですが、間違いなく将来は遠隔地にいても、あたかもそこにいるかのような形で会議に参加できる時代が来るでしょう。さらに開発が進んでいけば、将来的には国際会議などでも、それぞれの国にいながら同じ場所に集まって会議を行えるような状況へと、これからどんどん進んでいくことが期待されます。そうした新しい情報というのも、国際都市である東京都としては常に発信していきたいと思います。

このようにオフィスのあり方を変え、仕事のスタイルや意識を変えていくと、人の生き方も変わっていくでしょう。誰もが人生・生活をもっと大切に考えてほしいので、東京都では「ライフ・ワーク・バランス」と呼んでいますが、「ワーク」が「ライフ」を変える可能性もあるのではないでしょうか。そういったことまで見据えて展開していければと考えています。

特にテレワークは、働き方改革を進めるにあたり、同時に生産性を上げていくことができ、企業にとっても大きなメリットがあります。例えば、テレワークが進んで広いオフィスは不要になりコストが削減された、従業員が有効に時間を活用しながら仕事の成果を上げることができたといった声がありますし、従業員にとっては通勤時間が短縮されるので、その時間を有効に使えたり、体力的に楽になったりするといったメリットもあります。企業も従業員も双方が幸せになる働き方。東京都としては、そういった点で特にテレワークをしっかりと広めていきたいと思っています。通勤の見直しは、東京2020大会期間中の交通混雑の解決の重要な鍵でもありますから、大命題です。

Q:今後の活動の展望をお聞かせください。

A:常に新しい工夫をしてみたいと思っています。社会が変わっていくのが速く、今年から、残業時間の上限規制など、働き方改革関連法の施行が開始されます。法律だけでなく、企業や働く人が求めるものが今は大きく動いている時代ですので、常にそうした動きに対するアンテナを張って、企業にとって本当にメリットのある働き方改革というものを支援させていただきたいです。そうすることで、そこで働く方が安心して働き続けられる環境や職場づくりを実現させていきたいと思っています。

今後、日本の労働力人口は減っていきます。その中で、東京都としても、経済が発展し続けるためには、都内企業に持続的な成長をし続けていただかなければならないと考えています。そして、その鍵となるのが働き方改革であり、それは企業の経営課題だと考えています。労働力人口の減少に伴い、今後人材獲得競争が企業間、さらには世界との間で起こり、深刻になっていきます。採用だけではなく、今働いている人の定着問題も大きな課題です。育児・介護と仕事の両立が困難な職場では、人材をいくら採用して育成しても離職されてしまうでしょう。特に介護との両立の場合、管理職など職場の中枢を担う、40代50代という働き盛りの世代が直面するケースが多く、そのような方たちの離職というのは、まさに企業の成長や存続自体の問題にもつながってくることです。働きやすい職場づくりは、福利厚生のレベルではなく、経営課題のひとつとして取り組んでいかないと、企業のこの先の成長が難しくなってくるでしょう。加えて、誰もが働きやすいということは、男性だけでなく、女性や高齢者・障がいを持つ方など、様々な人々の活躍にもつながってくるものです。実際に企業にとっても、多様性に富んだ職場づくりはブランド力の向上になり、様々な視点を持つ組織というのは、企業にとっても大きな強みとなります。それは都が推進している、誰もがいきいきと生活し活躍できる「ダイバーシティ」の実現にもつながるものです。そうした意味で、様々な支援や取組が東京都の成長にも直結するものだと考えています。

(プロフィール)
東京都産業労働局
雇用就業部
労働環境課長
猪口 純子

1992年東京都庁に入庁。知事の政策立案を担当する知事本局(現政策企画局)、病院経営本部を経て、2013年より産業労働局。2016年から2018年まで、働き方改革・テレワークの推進・労働相談など労働行政を担当。

ライフ・ワーク・バランスEXPO東京2019
https://www.hataraku.metro.tokyo.jp/hatarakikata/lwb/expo/

東京ライフ・ワーク・バランス認定企業
https://www.hataraku.metro.tokyo.jp/hatarakikata/lwb/ikiiki/

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