ペットの世話なども頼める? 訪問介護で保険外サービスが併用可能に

ケア

関連キーワード
保険外サービス
2018年9月、厚生労働省は介護保険の訪問介護(ホームヘルプ)や通所介護(デイサービス)で利用できる保険外サービスの事例を自治体に通知しました。これまで保険外サービスの提供についての明確なルールはなく、自治体が認めるサービスの範囲に差が生じていましたが、ルールが明確になることで介護事業者が保険外サービスにも乗り出しやすくなり、利用者にとって選択肢も広がることが期待されています。

保険外サービス実施までの流れ

介護保険で受けられるサービスと保険外の有料サービスを併用して提供することを「混合介護」と呼びます。現行の介護保険制度でも認められていましたが、厚生労働省が「介護保険内のサービスと保険外のサービスは、それぞれのサービスを明確にして提供すること」と示していたため、「混合介護」を行う事業者は、ほとんどありませんでした。

2016年に公正取引委員会は「介護分野に関する調査報告書」の中で、「混合介護」の利用促進と弾力化を提言しました。翌年の17年には、東京都の小池知事が都内の介護施設を視察した際に、「混合介護を都内で解禁するよう国に働きかける」と特区として実施したい考えを明らかにし、18年8月から東京都豊島区で国家戦略特区の制度を活用したモデル事業が行われるなど、実施に向けた準備が進められてきました。

具体的なサービス内容

保険外サービス
これまでの制度では、例えば訪問介護員が介護保険制度に基づいて身体介護を行った後に保険外の家事援助を行う場合、一旦事業所に戻って介護保険のサービスを終結させてから改めて同じ家を訪問して家事援助を行うか、別の訪問介護員が家事援助をするなど、異なるサービスであることを示す線引きが必要でした。2018年9月の通知では、次のように示されています。

訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合について

1.訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合
・訪問介護の提供の前後や提供時間の合間に、草むしり、ペットの世話のサービスを提供すること。
・訪問介護として外出支援をした後、引き続き利用者が趣味や娯楽のために立ち寄る場所に同行すること。
・訪問介護の通院等乗降介助として受診等の手続を提供した後に、引き続き介護報酬の算定対象とならない院内介助を提供すること。

2.同居家族に対するサービスの提供
・訪問介護の提供の前後や提供時間の合間に、同居家族の部屋の掃除、同居家族のための買い物のサービスを提供すること。

なお、利用者の分と同居する家族の分の食事を一緒につくるなど、訪問介護と保険外サービスを同時かつ一体的に提供することは認められていません。

通所介護を提供中の利用者に対し、保険外サービスを提供する場合について

通所介護と組み合わせて提供することが可能なサービス

1.事業所内において、理美容サービスまたは健康診断、予防接種もしくは採血を行うこと。

健康診断や予防接種、採血などは、医療法等の関係法規を遵守して行われます。また、鍼灸や柔道整復等の施術を行うことはできず、無資格者によるマッサージの提供が禁止されています。

2.個人の希望により、保険外サービスとして通所介護事業所から外出する時は、個々に対応して同行支援を行うこと。

通所介護を利用中、職員が同行して買い物などを行うことができます。外出に掛かる交通費は利用者の負担となります。外出支援は利用者個人の希望により個別に行うものであることから「利用者個人のニーズにかかわらず、複数の利用者を一律にまとめて同行支援をするようなサービスを提供することは適当ではない」とされています。

3.物販・移動販売やレンタルサービス

事業者による物販やレンタル、別の業者による移動販売やレンタルなどのサービスを受けることができます。介護事業者の中には系列のドラッグストアの商品を卸価格で利用者に販売するなど、既にサービスの付加価値を高める取り組みを行う事業者も現れています。

一方で利用者にとって不要なサービスが提供されることを防ぐ観点から、「利用者の日常生活に必要な日用品や食料品・食材ではなく、例えば高額な商品を販売しようとする場合には、あらかじめ、その旨を利用者の家族や介護支援専門員に対して連絡すること。認知機能が低下している利用者に対しては、高額な商品等の販売は行わないこと」とされています。

4.買い物等代行サービス

買い物代行を依頼できるのは、お米などの食料品や洗剤、トイレットペーパーなどの日用品に限られ、高額なものや嗜好性が高いものは対象となりません。また、外出支援と同様に買い物をする際に掛かる交通費などは利用者の負担になります。

事業者が厳守しなければならないルール

保険外サービス
利用者保護の観点から、事業者には次のルールを厳守するよう求めています。

・保険内・外を明確に区分し、文書として記録。あらかじめサービス内容などを説明し、同意を得ていること。

・保険外の費用を請求する際には、通所介護の利用料とは別にすること。通所介護の提供時間内に、保険外サービスの時間は含めてはいけない。

・利益収受を保険外サービス事業者から受けることは禁止とする。

・外部事業者が保険外サービスを提供する際には、事故発生時の対応を明確にし、苦情・相談窓口などの設置措置を行うこと。

認知症等により理解力が低下している方には、両サービスの区分について分かりやすいよう丁寧な説明を心掛けるとともに、エプロンを付け替える、スタッフを変更する、一旦家の外に出るなど、可視化できる区別を行うことも求められています。

保険外サービスの導入時期

厚生労働省から自治体に通知が行われたものの、保険外サービスの導入時期は未だ明確にされていません。その理由として次のような課題が挙げられます。

・利用者の自費負担による上乗せ料金設定につながりかねない介護保険サービスと保険外サービスの同時提供や、特定の介護職員からサービスを受けるための指名料の徴収、繁忙期・繁忙時間帯に介護サービスを受けるための時間指定料を徴収すること。さらに、介護保険の目的である自立支援・重度化防止に合致しないサービス提供を助長するという懸念。

・家族への生活支援サービスを目的として介護保険を利用し、利用者本人のニーズよりも家族の意向によってサービス提供が行われるおそれがあること。

・社会保険制度の公平性を脅かしかねない、指名料や指定料、長時間の利用料などを支払うことができる一部の利用者が優先される、不公平なサービス提供を生み出しかねないこと。

厚生労働省では規制改革実施計画に基づき、引き続き上記の課題の整理等を行うとしています。国家戦略特区を活用した東京都豊島区の「混合介護」のモデル事業は2021年3月まで実施され、それ以降に課題を検証するとのことです。介護報酬以外にも収益を上げることで介護職員の待遇が改善されていくでしょうし、利用者の利便性も向上します。厚生労働省には課題を解決し、是非とも「混合介護」の解禁を早期に実施してもらいたいものです。

レオパレス21グループの介護サービス「あずみ苑」
https://www.azumien.jp/

その他のおすすめ記事

その他のケアの記事

キーワード一覧

 ページトップ