【前編】東京の空き家利活用が地域活性化ビジネスの源に! 『空き家が世界の人々をつなぐ場に? 空き家利活用で生まれたゲストハウス 〜株式会社Little Japan〜』

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昨今では、増え続ける空き家をいかに利活用していくかが課題となっています。
株式会社Little Japanは、空き家を活用したゲストハウス「Little Japan」を2017年5月にオープンさせました。
代表取締役の柚木理雄氏に空き家事業を始めたきっかけや、ゲストハウスとして運用するまでの課題などについてお聞きしました。

空き家を地域の資源として活かしていく

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Q:まず、株式会社Little Japanの概要について教えてください。

A:株式会社Little Japanを設立する前、東日本大震災をきっかけに、2012年12月にNPO法人芸術家の村という団体を立ち上げています。
もともと、私は農林水産省で働いていて、ボランティアの活動として始めた団体です。最初は商店街でのお祭りの開催からスタートしました。
そして、ソーシャルビジネスを起業して社会問題を解決したい人向けに空き家を活用し、シェアハウスやコアワーキングスペース、フェアトレードに基づいたエシカルギフトのセレクトショップを始めました。NPO法人芸術家の村は、NPO活動を支援する場所の運営と空き家の活用という二軸で展開しています。
また、英語を話せる方はまだ良いのですが、英語以外の外国語しかできないと、なかなか溶け込むのに苦労しますので、今年は台東区との協働事業として、日本に住んでいる海外の方と地域の日本人の住民をつなぐ取り組みをしていきます。

株式会社Little Japanは、「地域の資源を活かした事業を創る」をミッションに立ち上げた会社です。
事業の方向性はNPO法人芸術家の村と同じで、これまで私が空き家を活用した事業を行っていたため、最初に立ち上げたのも空き家を活用したゲストハウス「Little Japan」となりました。1階がカフェバーで、2〜4階はゲストハウスです。NPO法人芸術家の村の活動と関連しますが、「Little Japan」が町内会に入ることで、この地に住んでいる外国人と日本人とをつなぐ入り口になるという目的も持っています。

また、株式会社Little Japanでは、多くのサラリーマンのライフスタイルを変える取り組みとして、月定額制でホステルに泊まり放題のサービス「Hostel Life」も展開しています。

Q:空き家事業を始められたのはなぜでしょうか。

A:私は兵庫県神戸市出身で、小学校5年生の時に阪神大震災に被災していたこともあり、東日本大震災が起きて、当時、農林水産省の国家公務員でしたが、自分の手で何かをやりたいという思いがありました。
そこで何ができるかを思案した時に、自分の実家も空き家になっていてその数はどんどん増えている、一方で子どもの数はどんどん減っている状況にある、ひとりの人間が多数の空き家を背負ってしまった時に、それを自己責任で片づけるのには無理があると考えました。
自分自身も空き家の管理に不安を感じていたため、まず空き家を活用する取り組みをやっていきたいと思ったのです。

DIYを取り入れて空き家を多くの人が関わるゲストハウスに

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Q:空き家をゲストハウスとして活用されたのは、それまでの経験が関係しているのでしょうか。

A:大学生の時にバックパッカーとして、40ヵ国を旅していました。
海外に住んでいた経験もあり、親の仕事の都合でブラジルでの生活が3年間、大学院の時にはフランスに1年間留学していました。日本に帰って来てからも、ゲストハウスで住み込みのアルバイトをしたことがあり、その時、旅行者の側でいる以上にホストの側として関わるのが楽しかったことから、いつかゲストハウスをやりたいという希望がありました。

Q:実際にどのような方法で、空き家をゲストハウスにされたのでしょうか。

A:大工さんなどプロの方に行っていただいたのがメインで、自分たちでできるところを一部DIYで施工しています。
DIYで手を加えたのは、内装のデザインや壁に色を塗ったり、家具を運んだりといった部分です。設備面はプロにお願いして、DIYを施した部分も安全性の面から、大工さんについてもらって施工しました。とは言え、DIYには延べ300人のボランティアの方に関わっていただいています。

DIYを取り入れたのは、できることは自分たちで行いたい、多くの人に関わってもらいたいという思いからです。

空き家活用に立ちはだかる建築基準法の壁

Q:空き家事業を行うメリットとデメリットを教えてください。

A:ある物件で「ホテル又は旅館」に建築基準法の用途変更を行う必要があったのですが、その際のハードルが高かったです。
建築確認の確認済証はあったものの図面がないため、どういう図面によって確認済証がおりたのかが分からず、確認済証があってもほとんど意味を成さない状況でした。用途変更するには、当時の建築基準法に耐震基準を含めて適合しているのか、調査をして証明をする必要があり苦労しました。

建築基準法の用途変更の手続きが不要な100m²以下の空き家を活用しているケースはよくあります。
空き家には建築確認の完了検査を受けていない物件が多く、立地が良くても用途変更の手続きの難しさから、100m²を超える物件の活用については実はほとんど事例がないのが実情です。私は空き家の活用をやってみたかったので、手間は掛かっても手続きをしましたが、用途変更の手続きの難しさが空き家利活用のデメリットと言えます。

一方、メリットとしては、ゼロから土地を取得して建物を建てるより費用を抑えられるケースもあるということが挙げられます。
先に述べた物件では耐震基準はクリアできたので、建て直すよりも費用を抑えられました。しかし、建築基準法に適合させるために、階段を削ったり、建物の上部を斜めにカットしたりしています。やはり、建て替えるのと同程度の費用が掛かってしまうケースもあるかと思います。

Q:空き家問題の現状に対する考えをお聞かせください。

A:空き家は今後も増えていくと考えられますが、今のところは空き家を貸したい人よりも借りたい人のほうが多い状況です。
空き家を貸したくないという人が非常に多く、代替わりをしたタイミングで貸し出すケースも目立ってきてはいますが、まだまだ貸すことに積極的な人は少ないと思います。家は人が住んでいないと傷んでしまうので、活用されていない空き家は、持っている方の負担も大きくなってしまいます。空き家が使える状態の内に活用を促進していってもらいたいですね。

後編では引き続き、ゲストハウスの運営で大切にしていることや、空き家事業を通じての地域活性化の試みなどについてお聞きします。

(プロフィール)
株式会社Little Japan
代表取締役 
NPO法人芸術家の村
理事長
中央大学特任准教授
柚木 理雄

京都大学卒業後、農林水産省に入省。2012年にNPO法人芸術家の村を立ち上げ、空き家を活用した場・コミュニティづくりを行う。2017年、「地域の資源を活かした事業を創る」をミッションに掲げ、株式会社Little Japanを創業。2019年4月より、中央大学の特任准教授に就任。自治体と提携し、学生とともに地域の資源を活かした事業を創るという新たな取り組みにチャレンジしている。

株式会社Little Japan
http://www.littlejapan.jp/home-en

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