超高齢社会の働き方改革は70歳以上の活用がカギに

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2013年4月1日に高年齢者雇用安定法の一部が改正され、希望する人は65歳まで雇用することが企業に義務づけられました。
さらには、少子高齢化の対策となる「働き方改革」のひとつとして「高齢者の就労促進」を進めるために、65歳までの継続雇用年齢を70歳に引き上げる案も出ています。
その実現に向けての課題と企業の取り組みについてまとめました。

少子高齢化が生み出す長時間労働のスパイラル

「働き方改革」の目的は、一億総活躍社会の実現です。具体的には50年後も人口1億人を維持し、職場や家庭、地域において誰もが活躍できる社会を目指すものとなります。

この政策が生まれた背景にあるのは、少子高齢化による労働力人口の減少と生産性の低下です。
少子高齢化で働き手が活躍できる場にかたよりが発生し、その結果、生産性が低下するというサイクルが生じています。生産性の低下は労働時間を増やし、長時間労働は育児に掛けられる時間を減らすことにもつながるため、少子化が加速しかねません。

高齢者の労働力人口の推移

具体的に、日本の労働力人口がどのように推移しているのかを見てみましょう。
内閣府が発表した「平成30年度版高齢者白書」によると、15歳以上の労働力人口は2000年の6766万人をピークに減少を続け、2017年は6720万人となっています。この内、59歳以下の労働力人口を見ると、2000年は5848万人で2017年は5363万人です。

そのような中で高齢者については、60〜64歳は2000年の426万人から2017年は536万人に、65〜69歳が265万人から454万人に、そして70歳以上が229万人から367万人に増加しています。労働力人口とは、15歳以上の人口の中での就業者と完全失業者(就職する能力を持ち就業活動を行うものの就業できていない人)の合計数のことです。

次に高齢者の各年齢層における就業率(人口の中で実際に就業している人の割合)を見ていくことにします。

60〜64歳 66.2%
65〜69歳 44.3%
70〜74歳 27.2%
75歳以上 9.0%

続いて完全失業率を見ていきましょう。

60〜64歳 2.8%(2000年は8%程度)
65歳以上 1.8%(2003年は2.5%程度)

以上のデータから何が読み取れるのかを考えてみます。

超高齢社会での「働き方改革」のカギは70歳以上の雇用にあり

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前項のデータより、65歳以上の完全失業率が低いことがうかがえ、就業を希望する人はかなりの割合で就業ができていることがわかります。
そこで、労働力人口を増やすためには、さらなる高齢者の就業率の向上を目指すのが有効なのではないかと思えます。それには就業を希望する人を今以上に増やすことが必要となってきますが、特に70歳以上に潜在需要がありそうです。現在は希望があれば65歳まで雇用の確保をすることが企業に義務づけられていますが、70歳以上の労働力人口を増やすためには、まずその年齢を70歳まで引き上げる法整備が必要となるでしょう。そして、企業もそれを実現できるようにしなければなりません。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が発表した「企業の高齢化諸施策の実態に関する調査研究」において、60歳以降、最初に支給する基本給が59歳以下であった時の基本給に対してどの程度の割合なのか、そのデータがあります。

これはアンケートによる調査結果ですが、雇用確保措置企業(継続雇用制度で雇用上限年齢が65歳以下の企業)の場合は基本給が平均71.6%、定年が64歳以下で継続雇用上限66歳以上の企業が平均78.7%、そして定年を65歳以上とする企業が平均94.4%になっています。
60歳になると基本給が少なくなることに関しては、企業それぞれに理由はあるでしょう。しかし、高齢者の就業希望者を増やすためには、給与面における満足度を高めることも必要と考えられます。

60〜64歳の正社員や継続雇用者が在籍する企業にとって、この年齢層を活用する上で課題としているのは、本人の健康(65歳以上を定年とする企業では72.8%)、本人のモチベーションの維持・向上(65歳まで継続雇用する企業では67.5%)とのことです。

モチベーションと給与との関連性はここではわかりませんが、基本給の減少とモチベーションの低下に全く関係がないとは言い切れないでしょう。つまり59歳以前の給与水準を60歳以降も維持できれば、労働意欲を高めることが可能なのではないかという考察もできます。では企業は、どのようにして高齢者雇用の人件費を確保すれば良いのでしょうか。

70歳以上の能力を活用することがポイント

ここでもうひとつ気になるアンケート結果のデータを紹介します。60歳代前半層の社員の内、59歳以前と比べて仕事の内容・範囲に変化がないと答えたのは雇用確保措置企業が42.4%、継続雇用66歳以上の企業が55.2%、65歳以上の定年企業が82.6%となっています。

ここまでのデータを総合的に分析すると、70歳以上の人材雇用を増やすためには、その経験と能力を生かせるような仕事を提供することが必要であるとは考えられないでしょうか。と言うのも、59歳までの仕事をそのまま引き継いでも体力や健康面で同じような結果を出すことは難しくなってきますし、企業は当然ながら評価に見合う給料しか支給できません。

さらに高齢者がそれまでの仕事を引き継いでしまうと、その下の世代に仕事を継承することができなくなります。高齢者を雇用し人件費を確保するためには、それまでとは違う種類の仕事を提供して、高齢者の能力を収益に還元する仕組みが必要と考えられます。

70歳以上には若い世代にはない豊富な経験があります。団塊の世代を中心に70歳前後の人材は「アラ古希」と呼ばれるようですが、この世代を活用しようという企業の動きも広がってきています。そのような企業が今後増えることは、高齢者の労働力人口をさらに増やすことも可能としていきますし、長時間労働の解消や出生率の向上にもつながっていくことでしょう。

超高齢社会の日本では「働き方改革」のもとに、高齢者の雇用は不可欠と言えます。しかし、これは単にそれまでの仕事をそのまま提供するということではなく、高齢者ならではの経験と能力を活かせるような仕事を創出するという形で行うのが効果的だと思えます。59歳以下の労働力人口の減少により、その負担が増すことで労働時間も増えています。高齢者、特に労働力人口が少ない70歳以上の雇用を増やすことで、59歳以下の負担を軽減し生産性を高めることができれば、労働時間の短縮にもつながっていくのではないでしょうか。

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