介護はロボットが担う時代が来る? 見えてきた未来の介護の形

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昨今、様々な産業分野で「人手不足」が取り沙汰され、特に医療・福祉業界においては非常に深刻な問題としてとらえられています。
医療・福祉サービスの発達している日本ですが、もはや「従事者への膨大な負担」の上に成り立っていると言って差し支えないかもしれません。
このような問題を解消するため、業務支援ロボットの開発・導入が医療・福祉サービスの分野でも着々と進められています。
今回は、その中で日本政府が力を入れている介護ロボットについてご紹介したいと思います。

介護ロボットとはどのようなものか?

介護ロボットの目的は「介護職員の労力を減らすこと」ですが、人の身体を世話する介護現場では、その役割は多岐にわたります。そのため介護ロボットも持ち場ごとに専用設計のモデルが必要になるのです。厚生労働省では、この役割を以下の5つに分類し、「開発重点分野」として定義しています。

・移乗支援
・移動支援
・排泄支援
・見守り
・入浴支援

それぞれについて簡単に解説しましょう。まず「移乗支援」ですが、これは介護職員のパワーアシストを行う機器です。装着型・非装着型の2つに分類され、被介護者の体勢を変える時などに活躍します。人の身体を持ち上げるのは非常にハードなことですから、介護職員にとって頼りになる機能を備えていると言えます。

次に「移動支援」「排泄支援」「入浴支援」ですが、これらは被介護者の日常の生活行動をサポートするものです。移動支援ロボットは屋外型・屋内型に分けられ、被介護者の自立歩行や荷物の運搬などをサポートします。排泄支援ロボットは排泄物を室外に自動で流したり、排泄のタイミングを予測したりすることが仕事です。入浴支援ロボットも同様で、浴槽に入るなどの一連の動作をサポートします。

最後の「見守り」ですが、これは各種センサーや外部通信機器によって、被介護者の行動を見守ることが目的です。施設型・在宅型があり、「24時間稼働」「暗所使用可」などの機能のほか、被介護者が転倒した時は、自動検知して介護者へ通報する機能も備えています。また、生活支援機能の一部として、AIによるコミュニケーション機能も開発中です。

80%以上の被介護者がロボットを肯定

2018年11月に公表されたある民間会社のアンケート結果では、介護ロボットに対しての肯定意見が過去最高となりました。このアンケートは2011年より毎年行われているもので、2011年は肯定派が79.0%、2014年は74.3%だったのに対し、2018年では84.3%にまで上昇しています。

肯定派の理由としては、「ロボットは気を使わないから(51.3%)」「本当は人の手が良いが気を使うから(27.2%)」といった回答が挙げられています。さらに、反対派の意見として毎年多かった「人の手で介護されたいから」が、2011年以降初めて過半数を切ったというのです。これは日本の社会において、介護ロボットが受け入れられ始めていることを示すものと言えるでしょう。

政府が介護ロボットの普及を促進

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経済産業省の2018年の発表によると、2035年時点の介護職員は69万人も不足、一億総活躍社会・介護離職ゼロを実現しようとした場合には、79万人もの介護職員が不足すると予測されています。一方、少子高齢化に伴って被介護者の数は増えており、2012年に8.4兆円だった社会保障費は2025年には19.8兆円に達するとも言われています。現状から推計した数値ではありますが、その深刻さが理解できることでしょう。
これを受けて、政府では「持続的な財政及び社会保障システムの維持」という名目で、介護需要増加の抑制と介護サービスの効率化を目指しているのです。

具体的な施策としては、厚生労働省と経済産業省が中心となって、2013年よりロボット介護機器の開発・導入促進に取り組み始めました。民間企業や研究機関への開発支援は経済産業省が、介護現場でのニーズ調査や実証実験などは厚生労働省が担当するような形となっています。開発側と介護現場との仲介として政府が流動的に対応し、試作機の評価などを伝達することにしています。

介護ロボット普及の現状と課題

現在の普及状況は、政府の支援を受けて試験導入を果たした機器があるものの、依然として一般現場での本格的な実用化にはたどり着いていません。これには以下のような課題があり、どのようにクリアしていくかが鍵となってくることでしょう。

・技術力の不足
・現場ニーズとのギャップ
・介護職員の機械リテラシー

まずひとつめですが、現在開発されているロボットでは単一の作業しかこなせないため、職員が負う負担の多くを賄えるほどの性能には届いていないのです。これは、複雑な作業が技術的に困難というよりも、他の部分との兼ね合いが難しいからです。
例えば、作業を多くこなせる介護ロボットは当然それだけ機器が大きくなり、重くなってしまうため、装着型には適しません。
また、複雑化するほどコストも掛かるため、商品化にも支障が出てきてしまいます。全ての面で満足できる介護ロボットを開発するには、少し時間が掛かるかもしれません。

2つめの課題は、現場のニーズとのズレ、即ち職員が本当に求めている機能が実装されていないことです。これには「複雑な作業を行えず、現場での実用性が低い」という理由以外に、「開発者の設計思想と現場のニーズが合致していない」ということが挙げられます。メーカーの得手不得手や設計上の都合などによって、介護ロボットを「使いにくい」と感じている職員も多いようです。

3つめの課題ですが、これは主に職員側に求められるもので、要するに現場職員の介護ロボットに対する理解度が低いということです。介護ロボットへの理解度を高めるというのもなかなか難しい話ですが、扱う人の知識が深まれば、本来の機能を活かすことが可能となるでしょう。ニーズとのギャップも多少は軽減されるはずです。

課題から見える今後の方針

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このような状況を踏まえて、経済産業省は支援体制をより一層強めるとの意向を明らかにしています。まず、従来のロボット介護機器開発は「高機能・高価格・少量」というものでしたが、現場のニーズとのズレがあったため、今後は「シンプル・安価・大量」を掲げての開発が推進されます。政府としては、現場のニーズを考慮しながら、使いやすさとコストカットの追求を進めるとのことです。

また、直接人体の世話をするわけですから、安全面への配慮も従来以上に強化する方針となりました。事実、介護ロボット反対派の意見には「ロボットの安全性が心配」といったものも多く、普及率を高めるには安全性を徹底的に高めることが不可欠なのです。具体的には「安全・性能・倫理」の基準を高水準で作成し、その基準をクリアしたものだけを現場導入する、というように環境を整えました。安全面の基準に関しては、日本主導により国際安全基準(ISO13482)も定めています。

さらに、経済産業省は「ロボット介護機器開発・標準化事業」という支援制度も公開しました。これは2018年から2020年に掛けての事業で、介護ロボットに関する機器の国内市場規模を500億円へと拡大するためのものです。2018年度には11億円の予算が組まれ、それぞれの研究機関は国から補助金を受けることが可能となりました。

介護はロボットが担う時代へ

今後、少子高齢化の影響をダイレクトに受ける介護業界にとって、介護ロボットの導入は急務と言えます。技術力や現場との意思疎通など、幾つか解決すべき点はあるものの、政府も本腰を入れて開発・導入を促進しており、そう遠くない将来「介護ロボットは当たり前」という社会になっていることでしょう。

レオパレス21が運営する高齢者施設「あずみ苑」でも、AIロボット「パルロ」がいくつかの施設で導入され好評なことから、介護ロボットは着実に社会に浸透し期待は高まるばかりです。

レオパレス21の介護施設「あずみ苑」について
https://www.azumien.jp/

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