ESG投資は世界的潮流! 注目を集める「なでしこ銘柄」とは

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なでしこ銘柄
ESG投資(環境・社会・企業統治への取り組みを重視する投資手法)のための銘柄を探している方は、「なでしこ銘柄」というものがあるのをご存知でしょうか。
2012年から毎年選定されているもので、これは女性が活躍できる組織づくりに取り組むことで、企業価値の向上が期待できる企業の銘柄です。
今回はこの「なでしこ銘柄」について説明したいと思います。

「なでしこ銘柄」とは何か

「なでしこ銘柄」とは、女性の活躍推進に優れた企業から業種ごとに1〜2銘柄を選定するものです。経済産業省と東京証券取引所が2012年度より毎年選定していますが、これは中長期の成長力が期待できる銘柄として投資家に紹介することが目的となります。

「なでしこ銘柄」を選定する背景には、女性をはじめとする多様な人材の確保があります。いわゆる「ダイバーシティ経営」によって、多様化する市場ニーズやリスクに対応できるようにするためです。

さらに企業の経営層にも多様な視点を持つ女性が加わることで、企業の競争力向上につながるといった期待もできます。「なでしこ銘柄」では、そのための女性リーダー育成事業も視野に入れられています。

「なでしこ銘柄」の選定基準について

なでしこ銘柄
「なでしこ銘柄」は具体的に、どのようにして選定されているのでしょうか。
まず対象となる銘柄ですが、2012年度から2014年度までは東証一部上場企業のみ、2015年度からは東証二部上場企業とマザーズ、そしてJASDAQの上場企業も加えられました。さらに2017年度より外国株も対象とされています。

なでしこ銘柄の選定方法

対象企業の選別については、2016年4月施行の「女性活躍推進法」に基づく行動計画を策定していること(但し従業員数300人以下の企業は除く)、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」に「女性管理職比率」を開示していることを条件にスクリーニング(選別)します。

このスクリーニングですが、2018年度より上場会社単体ベースで女性取締役が1名以上いることも条件となりました。

スクリーニングによって絞り込んだ企業の中から、女性活躍度調査のスコアリング結果に財務指標による加点を行い、27業種ごとに1〜2社を選定します。

女性活躍度調査のスコアリングは、投資の実務家や人材活用に関する専門家で構成する「なでしこ銘柄選定基準検討委員会」を設置し、具体的な評価基準などについて検討した上で決定されています。

女性活躍に関するスコアリングの内容

「なでしこ銘柄」の選定で重要なのは、女性活躍に関するスコアリングが、どのような基準で行われているのかということです。この調査項目が適切でなければ、「なでしこ銘柄」の投資対象としての価値が疑問視されるでしょう。

スコアリングは「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」で示される7つのアクションに沿う形で行われます。7つのアクションそれぞれにおける実践状況と開示状況を調査し、その度合いによって女性活躍推進を、どの程度経営戦略として捉えているのかを評価して決定します。スコアリングの枠組みは以下の7つです。

1)経営戦略への取り組み
KPI(重要業績評価指数)・ロードマップの策定や経営トップによるコミットメントなど

2)推進体制の構築
ダイバーシティ推進体制の構築と経営トップの責任の明示

3)ガバナンス
取締役会におけるダイバーシティの取り組みの監督

4)全社的な環境・ルールの整備
属性にかかわらず活躍できる人事制度の見直しと働き方改革の実行

5)管理職の行動・意識改革
従業員の多様性を活かせるマネージャーの育成

6)従業員の行動・意識改革
多様なキャリアパスの構築やキャリアオーナーシップの育成など

7)労働市場・資本市場への情報開示と対話
投資家に対するダイバーシティの方針・取り組みの発信と対話

女性活躍度調査の実施方法

スコアリングのためにはまず、各企業への女性活躍後調査を実施する必要があります。これはアンケートの形で行い、選定対象となる全ての企業に対して実施します。そのアンケートに回答した企業の中からスコアリングを行い、「なでしこ銘柄」を決定します。

2017年度におけるアンケートの回答率は総計で12.7%(発送企業数3547社に対して回答企業数451社)でした。その内訳は以下のようになっています。

東証一部 20.2%
東証二部 4.0%
マザーズ 2.5%
JASDAQ 1.9%

「準なでしこ銘柄」も選定

2016年度からは、企業の将来的な成長を期待するという観点から「準なでしこ銘柄」も選定されるようになりました。「準なでしこ銘柄」のスクリーニングでは、上場会社単体ベースにおいて取締役、監査役、執行役員のいずれかの役職に女性が1名以上いることが条件に加わります。

スコアリングにおいてROEを加点要素とする理由

ダイバーシティは多様な人材を活用することで、優秀な人材確保につながる可能性が生まれるというメリットを持ちます。但し、それが必ずしも企業価値を高めるとは限りません。多様な価値観を持つ人材が集まることで、意見の対立も生じやすくなるものです。

「なでしこ銘柄」の選定においては、女性の活躍に重点が置かれています。しかし、ノルウェーで2008年までに女性取締役比率が40%に満たない企業を解散させるという法案が成立した後、急いで女性の取締役を増やした会社の企業価値が低下したとの調査結果もあります。

そこで、「なでしこ銘柄」を選定するスコアリングでは、女性の活用が実際にROE(株主資本利益率)に反映されていることが評価につながると考えられます。例えば2013年には、女性役員が多いコンビニ企業や化粧品企業が選定から落選しました。これはROEの加点が少なかったのが理由と見られています。

要するに、単純に女性を登用しさえすれば良いのではなく、ダイバーシティの目的はあくまでもその能力を活かすことにあるというわけです。その意味で「なでしこ銘柄」に選ばれる企業は、多様性のある人材を採用して適材適所で活用できる企業とも言えるのではないでしょうか。

「なでしこ銘柄」に投資するメリット

なでしこ銘柄
「なでしこ銘柄」の選定においては、ダイバーシティへの取り組みとともにROEを評価しており、それは人材育成とその活用に優れた企業が評価されるということを意味しています。つまり、「なでしこ銘柄」に投資することは、単に女性を活用しているだけではなく、その能力を効率良く活かせる企業に投資することにつながるのです。

世界における投資の潮流は、スチュワードシップ・コードの受け入れを表明した機関投資家によるESG投資へと移行しています。
ESG投資は持続的に成長できる企業への投資につながります。そして少子高齢化とともに労働力人口が減少する日本においては、女性活躍を推進する企業は持続的成長の実現が期待できます。その意味において、なでしこ銘柄に投資することは、効果的にESG投資を行えるというメリットがあるといえるでしょう。

2016年度の「準なでしこ銘柄」には、不動産業においてレオパレス21が選出されました。
これはレオパレス21が若手女性社員のためのキャリア育成研修、あるいは次期管理職候補の女性を対象にした女性リーダーキャリア育成研修などを実施していることが評価されてのことです。そして、女性活躍を後押しする取り組みに加え、ダイバーシティフォーラムの開催や、男性社員の育児休業取得促進に積極的なことなども、この選定につながったと考えられます。

レオパレス21が「準なでしこ」に選定
https://www.leopalace21.co.jp/news/2017/0324_1431.html

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